虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

雑誌を読んで、「えっ」と思う

2013-04-23 08:50:35 | 教育論 読者の方からのQ&A

(過去記事です)


教育系の雑誌を読んでいると、「えっ?」と感じる所があって、
そのあと、もやもやと何だかしっくりしない気持ちを抱えて過すときがあります。

この間も、+3だったら、ずっと+3ばかりするといった
易しい問題を子どもにやらせるのは……○

難問をさせるのは……×

と言い切る記事があって、「うーん」と考えこんでしまいました。

こういう記事って、文章として読んでいると、うんうんうなずいて納得してしまうかもしれないし、+3だったら、ずっと+3ばかりすることで、
回数をこなすうちに理解にいたるタイプの子どもたちもけっこういるのは事実。

なら、どうして納得できないのかというと、
「+3だったら、ずっと+3ばかりする」といった繰り返しを極端に嫌って、
そうしたプリントが多いと、たちまち勉強に強い拒絶をしめす子も
かなりの人数いるからです。


そして、そういう子の中には、
新しい効率的な方法を見つけ出すのがうまく、理解力が高い
利発な子がたくさんいます。

私が何に、もやっとするのかというと、
『子ども』というだけで、ひとっからげに同じ人種のように見て、
この方法は○、この方法は×と決め付けてしまう態度なのです。
大人なら、エンジニア、画家、学者、サラリーマン、弁護士、クリエイターと職種も違えば、性格や能力も違う人がたくさん認められてますよね。
「大人は、簡単な問題しか好まない」
なんて言い方はしないはずです。

たとえば、易しい問題をやらせるとぐずぐずして嫌がって、
難問をさせるとたちまちいきいきとして飛びついてくる子たちがいるのですが、そういう子たちは、
『易しい問題を子どもにやらせるのは……○
難問をさせるのは……×』と言い切ってしまう方々にすれば規格外の
問題児。
いくら難しいものができても易しいものをたくさんこなす根気がないと意味がないとして、ダメな子のレッテルを貼ってしまいます。

そうした決め付けのもとでは、
そうしたタイプの子の気づく力や思考力、考えることを愛する性質などは全て
無価値なものとして扱われてしまいます。

教室の子は、コツコツするのは苦手だけれど、
考えることが好きで、難問に燃えるタイプの子。
コツコツがんばるけれど、初めて見る問題は、解き方を教えてもらうまで
手も足も出なくなる子といろいろいます。
そのどちらも、長所は長所。
その子の得意にスポットライトを当てて、
苦手なことを克服する勇気が出るようサポートしていくと
伸びていきます。

「この方法が正しい!」「絶対、こうしなければ!」と唱えて、
どの子もその方法がイメージする子ども像だけであらわしてしまうと、
その陰でとても苦しい思いをする子も出てきます。

教室に学習に困難を抱えているアスペルガー症候群の3年生の子が来ています。
その子は、障害特性から、
先生から指示されたことを、どんなことがあっても守らなくてはならないという思いを抱えています。

学力は本当は学年よりも2~3学年 下ではあるのですが、
必死に訓練して、何とか、その学年の計算はできるようになっています。

ただ、一問一問、ものすごく苦しい思いをして、長い時間かけて解いているのです。それにたくさんしたから定着する子ではありません。

今、その子のクラスでは大量の計算問題の宿題が出ていて、
その子は宿題を終えるのに毎日2時間かかっているのだそうです。
学校だけでも必死で通っているのに、そのせいで心が折れそうになっています。

親御さんが前年は半分に切ったプリントを宿題にしてもらって
やっていたので、今年も学校にお願いしているのですが、聞き入れてもらえないそうです。
半分やり残してプリントを提出したらいいのでしょうけど、
その子はどんなに大変でも時間がかかっても、
宿題をしないでいるということはできないのです。
そうしたことに、ものすごく強い不安感と恐怖心を抱いています。

全国テストで少しでもよい成績を出さなきゃならないのかもしれないけど、
『大量に練習させたらさせるほどよい』といった考えは、
ひとりひとりの子どもの現状を見ずに実施されると
困ったもんだな~と感じています。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
学校との対話 (MU)
2013-04-23 10:07:38
うなずきながら読みました。

うちの子は、算数の難問が大好きで、家では自分で最レベに嬉々として取り組んでいます。

学校では算数は退屈、計算テストはあっという間に終わるというので、「終わった後は何してるの?」と聞くと、他の子がテストしている間の30分くらい、学級文庫を読んでいいことになっているとのこと。「でも同じ絵本ばかりで飽きた」というので、先生に連絡帳で「違う本を入れてもらえませんか?少し難しい本や図鑑など」とお願いしましたが、クラスの所有物だから一人のために変えることはできないとのお返事。

学級文庫の一番のヘビーユーザーのために1冊か2冊増やすだけでいいのに、と納得いきません。できない子のためには工夫を色々されていますが、できる子のための配慮はしない、というのが公立小学校の原則らしいです(先生がそのようにおっしゃいました 涙)。

凹凸があっても、子供に合った方法で長所を伸ばす、という方針でやってくださればいいのに、、と思うのです。

もうすぐ、家庭訪問なので、先生に直接お話するチャンスです。でも、どのように話を進めれば分かってもらえるか、悩んでいます。

なおみせんせい、先生との対話方法、アドバイスがあれば、教えてください。
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はじめてコメントいたします。 (こじ)
2013-04-24 08:07:20
はじめまして
いつも楽しく読んでおります。
教室での工夫はとても為になり、家庭学習の参考にしております(私の住む街にも虹色教室があったらと、日々思いつつ…)
今日のお話はまさにうちの小3の長男の事だなぁと思いました。
まだ診断は出ておりませんが、発達障害の傾向がみられるそうです。
今のところ学校からは大量に宿題が出ることはありませんが、彼も学校の先生のおっしゃる事は絶対なので、時々泣きながら宿題をしております。
「出来ませんでした」と言えない彼の苦しさは見ているこちらにもひしひしと伝わり、親として何がやってやれるのか日々自問自答しております。
長々と愚痴のように書いてしまい、すみません。
虹色教室の取り組みは、毎回目から鱗で参考になる事ばかりです。
これからも家庭学習や子育てのヒントとしてブログ楽しみにしております。
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