虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 3

2013-01-01 07:15:38 | 国語

読む力がおぼつかず、

一字一字読むことに精一杯で

何が書かれていたのか記憶できない、理解できない、

という問題を抱えている子にどのようなサポートをすればいいのでしょう。

 

ひとことで「読んだ内容の記憶や理解に問題がある」といっても

その程度と問題のありかは

ひとりひとり異なります。

 

大きく分けて、

 

「忘れたり理解できなかったりするのは

文字を読む場合だけで、話し言葉の場合は

聞いた内容を覚えているし、理解もしている」

 

という子と、

 

「耳で聞いたことも、聞いた先から忘れていくし、

会話がちぐはぐになりやすい」

 

という子では、困り感もサポート法もずいぶんちがってくるはずです。

 

また

「耳で聞いたことも、聞いた先から忘れていくし、

会話がちぐはぐになりやすい」という子の中でも、

 

「2つ以上のことを続けて言われると、

一方だけしか覚えていない」という子と、

 

「言葉をあまり知らないか自己流の使い方をしていて、

言われていることを正しく理解していない」という子では

サポートの仕方が異なります。

 

子どもが自分で自然に克服することは難しいと思われる

困り感をたくさん抱えている時は、

それらのひとつひとつをできるだけ正確に把握することが大事だと思っています。

 

そのように正しく問題点を浮き彫りにした後は、

一度に複数の課題を混在させるのを避けて、最も重要で

練習次第でできるようになりそうなことに特化した練習をするようにします。

 

たとえば、「耳で2つ以上のことを記憶できない子」には、

買い物ごっこやレストランごっこで2つ以上の注文を正しく実行するルールで遊んだり、

短い文を読んで何が出てきたのか2つ以上当てるゲームをしたりします。

文章を区切る場所が間違っているため

読み方がちぐはぐになる子には、区切るところで手拍子などを入れながら

区切りに注意して読む練習をします。

 

とはいえ、教える相手が広汎性発達障害の子の場合、

子どもが何ができないのか、何に困っているのかは重々承知しているし、

何を教え、何を訓練させたらいいのかもはっきりしていても、

学習上の困難とは別の問題で、周囲が何のサポートもできない「お手上げ」状態に

陥っているのもよく見かけます。

 

できないところを取り組ませようとすると、

「そんなの知ってるし」「わかってるからしなくていい」「どうせできない」

「やりたくないからやらない」「何でやらなきゃいけないんだよ」「宿題じゃないし」などと

反発して意地でもやろうとしなかったり、

「テストなんて0点でいい」「別にまちがってもいいもん」と言いながら涼しい顔をしていたり、

寝転がったり、うろうろしたり、学習課題をぐちゃぐちゃにしてしまったり、

まったく無言のまま好きな遊びに興じていたりする子がいるからです。

 

そうした態度がエスカレートして

小学2,3年生になってから授業中に立ち歩いたり、

できる問題があっても、白紙のテストを提出して0点ばかり取ったりする

元凶ともなるのは、

「決定権を誤解している」

「理由がわかっていない、言えない」

「社会的感情が育っていない」という

という3つの問題点にあると思います。

 

発達障害を持っている子を育てる上で、

子どもに誤解を持たせないように、

「決定権」「理由づけ」「感情のコントロール(社会的な感情の育成)」の3点を

根気よく身につけさせていく大切さについては、

 

決定権を誤解する子 理由を言えない子   湯汲英史  小倉尚子 かもがわ出版

 

という著書にていねいに書かれています。

発達障害を持っている子を育てている多くの親御さんに読んでいただきたいとてもすばらしい本です。

 

広汎性発達障害の子を育てる上で、

「決定権」「理由づけ」「感情のコントロール(社会的な感情の育成)」の3つの問題を意識しないで

ただただ可愛がって、受容するだけでは、

いずれ大きな壁にぶつかる原因を作ることとなりかねません。

また、知的な面で伸ばすだけでも、たとえ学力が一般的な子たちよりも

順調な伸びを見せていても、そこにばかり注目して育てるのは

問題の先送りにしかならないと思っています。

 

 

 

次回に続きます。

 


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