考えるためにはいくつか方法の続きです。
光の屈折のせいで、水の中のウルトラマンは小さくなったように見えます。
でも、それを4歳の★くんが理解するのは、まだもっと先の方がいい気がしています。
それよりも何か大きなものが小さなものに変化する理由で、
★くんにとって考えて検証しやすいことを
話題にして、
「こうじゃないかな」「ああかな?」とおしゃべりするのは楽しいです。
「ウルトラマンがね、お水の中でせっけんみたいに溶けてしまったのかな?
溶けちゃったから小さくなったのかな?」
とか、
「ふうせんみたいに空気がブクブク抜けちゃって小さくなったのかな?」
とか、
「魔法の呪文をかけたのかな?小さくなあれ、小さくなあれって」
など。
こうした会話は、光の屈折という正しい答えを早く知って欲しいと
あせっていたとしたら、
意味のない無駄なおしゃべりにすぎません。
でも、大きなものが小さくなる不思議について思いをめぐらせるなら、
どんな場合、大きなものが小さくなるのか、それにはどんな条件がいるのか、
うさんくさい間違った考えというのは、どんなところがおかしいんだろうと気づくようになるには、
子どもが目で確かめて、「でも、それちがうよ。おかしいよ。だって……」と指摘できる内容で
こうじゃないか、ああじゃないか、と知恵を絞る経験がたくさん必要だな、と感じています。
「どうして、空の色は変わるの?」と
たずねられたなら、子どもの生活の中で色が変化するのはどんな場合か考えて見ると、
「お空に誰かが絵具を流したのかな?」
とか、
「空の電気を点けたり消したりしているのかな?」
「虹の色が、溶けていったのかな?」
などと話をすることができますよね。
その後も子どもとの生活の中で「色が変わる」というものに気をつけておいて、
「洗濯機の中でぐるんぐるん回したら、茶色い靴下が白くなったね。
お空は、風がヒューヒューぐるんんぐるんきれいに洗ったから、洗濯物みたいに違う色になったのかな?」
とか、
「☆ちゃんがわんわん泣くとね、ほっぺたが真っ赤になるね。恥ずかしい時も赤くなるね。
空も悲しいことがあって、色が変わるのかな?恥ずかしいから、色が変わるのかな?」などと
声をかけていると、
子どもは色の変化にはさまざまな要因があることに気づくでしょうし、
それぞれの違いを観察しながら理解するにつれて、
自分なりに「どうして?」という疑問の答えを探りはじめるかもしれません。
こんな方法を身につけると考えることが上手になります。
1 よく観察する。いろいろな視点から眺めて見る。
2 実際にやってみる。いろいろと試してみる。
(ウルトラマンを持ってきた★くんは、教室のさまざまな素材やサイズの人形を水につけてみて、
小さくなるか確かめていました)
3 他のよく似たものと比べて見る。同じところと違うところについて話し合う。
4 「こうじゃないかな」と推理してみる。
推理が正しくない理由を言う。推理が正しいと思う理由について話しあう。
5 疑問を抱いたものの原理がわかるような物作りをする。
実験をする。
(はさみはどうしてにぎると、ぱちんと閉じるのか……といった疑問を持った子とは、
割り箸を輪ゴムでとめて、シンプルなしかけを作りました)
↑ 空洞内をゴミに見立てた発泡スチロールの玉がくるくる舞う
掃除機を作りたかった■くん。
でも、100円ショップのミニ扇風機を取りつけて、作ってみると、思うように空気の流れが
作れず、悪戦苦闘していました。
狭い空間内で、風はどんな風に動くのか、
作ることでいろいろな気づきがあったようです。
「泡はいったいいくつまでできるのか」知りたい◆くん。
シャボン玉液にストローを入れて、息を吹き込んで行くと
大量の泡がつくられていきます。
できた大きな泡をつぶすと、今度はどんどん泡が小さくなっていき、
泡の数も増えていきました。