虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもの個性に添った次のステップアップのためのアイデア

2014-02-15 19:52:34 | 子どもの個性と学習タイプ

4歳半の★くんは、もう長い間、鬼のかぶりもの(黄色い髪の毛に二本のツノがついた

もの)や小道具作りにはまっていて、教室に来るたびに、かなり迫力のある鬼の

子どもに扮して現れます。

劇の衣装を作るのも好きだけど、同時に役になりきって

周囲の人をびっくりさせることが楽しくて仕方がないようです。

 

★くんは極度の恥ずかしがり屋で神経過敏気味の子なのですが、

いったん何かの役を演じだすと、大胆に積極的に振舞い始めます。

個性って、本当に面白いなと感じます。

 

レッスン中、★くんのお母さんから、

この頃、工作がとても得意になって自分で物をどんどん作っています。

そろそろ次の段階に進む時期のようなので、(動くしかけのような)アイデアを

教えていただけたら……といったお話をうかがいました。

ちょうど一年前、★くんの工作する姿を記録した

お母さんがひとこと言いたいところを我慢したら……

という記事を思い出して、あの頃、お母さんは★くんが工作を通して

一つのことにじっくり集中して関われるようになってほしい、と強く望んで

おられけれど、今、その望みはすっかり叶って、今度は知恵を使ってより高度な

何かを作り出せるように・・・と考えておられるんだなと嬉しい気持ちになりました。

 

といっても、こんな場合に、

わたしが物作りや新しいアイデアのお手本を見せるとすると、

大人の期待を満たすような良いものを提供することは滅多にないのです。

これまでやったことがあるものだったり、未完成なものだったり、

本当にささやかなちょっとしたことだったりします。本当のことをいうと、

そうした手本なり見本なりを教えることが目的ではなくて、

そうやってこちらから何か投げかけることによって、その子が何に惹かれるか、

どんなことに夢中になるか、何に対して敏感か、どんなときに目を輝かせるか、

それをくわしく知りたいと思って、教えるふりをしているところがあります。

そうして子どもから返ってきた反応に対して、さまざまなことを感じ取ったり、

こちらも新たなアイデアを出したりすることを繰り返しながら、

子どもの個性が何かを生み出していく過程を見守っています。

 

★くんの次の工作の段階……と聞いたとき、わたしは一番に、

数日前に教室内で影絵劇を演じていた小学生たちの遊びを連想しました。

 

 

グループレッスンをしている子たちは教室に着いたとき、

その日、何をやってみたいか話し合います。

 

小学生たちが来る前に、幼い子たちがコピー用紙のスクリーンで

影絵遊びをしていたので、「これで影絵でも演じてみたら?」と言うと、

「影絵やりたいけど、こんなに小さいのじゃ嫌。もっともっと大きい画面で……!」

「天井から布を吊り下げて!」と大騒ぎになりました。

そこで、スクリーンを吊るところまで手伝ってあげると、

あとは自分たちだけで夢中になって、

観客に向けての注意書きを作ったり、即席の物語を演じたり、小道具を用意したり

していました。友だちに自分の考えを説明したり、

自分のアイデアをすぐさま実行に移してみたり、それを人に見てもらったりするのが

楽しくてたまらないようなのです。

 

創造力は、絵画のように、個人の作品として目で見て評価できるものでだけ発揮される

のではありません。

アイデアを言葉にするのも、小道具を探してくるのも、

舞台を作ったり椅子を並べたりすることも、友だちと協調して作業に参加するのも、

役になりきるのも、音楽や音を奏でるのも、即興で物語を語るのも

自分の創造的な力を活かすわくわくする活動です。

 

鬼のかぶりものや小道具を作っては、鬼を演じて大喜びしている★くんには、

もっと高度な工作技術というより、

自分がこれまで作ってきたものを使って、観る人を魅了するような

表現方法についてのアイデアを教えてあげる方がいいんじゃないかな、と思いました。

 

空き箱にビーズや小石を入れて動かすと、波の音などが作れます。

カセットテープに、鬼が現れるときの音やお話を吹きこんでおくのも面白いです。

トイレットペーパーの芯に赤や青のセロファンをつけて、懐中電灯で照らすと

ライトアップを楽しめます。

これまで教室でエレベーター作りやケーブルカー作りなどをしていますから、

そうした物を動かす基本の技で、小道具を動かすこともできます。

お祖母ちゃんを観客として招く際に、舞台あいさつを考えたり、花束を贈呈したり

するシーンを考えさせるのもいいかもしれません。

(小学生の子たちでしたら、舞台の最中に火災が発生して避難するシーンなんかも

遊びに取り入れるでしょうが……)

 

レッスンのあとで、★くんのお母さんからこんなコメントをいただきました。

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先日はレッスンありがとうございました!

今回は、自分で椅子を持っていったり、やってみる?と聞かれて即座にウン!と

答えたり、お!?と思う事が多かったです(笑)。まあ、やはりゲームには参加できず、

寝転がって眠い~!!と連発し、ご迷惑をおかけしましたが・・。

最近思うのですが、95点取ってきて、なんで100点じゃないの?という対応(身内の

体験談です・・・)にならないように、辛抱強くいきたいと思います。

(ご一緒させていただいたお母様方、騒がしくして本当にすいません!!

素敵なお母さんたちでした!)


「動く鬼」は実は奈緒美先生のとこに行ったら、作りたい!と言うと決めていたこと

なので、結局自分で言えた訳ではなかったものの、すごく嬉しかったようです。

記事の実験もレンズも「パパやばーばたちに手品してあげる!」と張り切って、

実際歓声を受け、大喜びでした。レンズは大流行りですね!

お友達遊びでもきっと盛り上がると思います!

レッスン後、京都の東寺に行きました。一寸法師はもちろん、

最近は大江山の酒呑童子や羅生門の鬼がブームなので、相当ワクワクしたらしく、帰りた

くない!!!とだだをこねていました。ちょうど五重の塔の初層公開中だったので私も

しめてラッキーでした!そうだ!都!!と、ほんの思いつきだったのですが、「まっくろ

だね、金太郎(坂田金時ブームです)がいたときからあった建物なのかな?「こういうと

こで剣の稽古したのかな?」「お姫様はお琴の稽古かな?」「鬼、あそこの陰に隠れてる

かも!」などとおしゃべりしながら、歴史的建造物に触れられて、それも私が触れさせた

いからではなく(←これでいつも失敗!)、ぽんすけが行きたいから、と一緒に大好きな

お寺巡りができて本当に良い時間を過ごせました。

実は残酷描写の地獄の絵本ばっかり見て、描く絵も工作も鬼だらけだし、

ちょっとどうしたもんかな?と考えていたのですが、帰ってきてからは閻魔様に似て

いると気に入った不動明王や五重塔を描きまくっているし、京都駅では仏像のガチャ

ポンを欲しがったりしているので、これは、単に残酷なものとざけるより広げてあげ

なくちゃ!と早速図書館にいって、鬼の伝承や地獄についての考察などいろいろな児

童書を一緒に借りてきました。仏教も奥が深いし、宗教学が好きな主人にいろいろ話

をしてもらったらぽんも楽しいかな?と考えています。もう毎日、地獄の絵本を読ま

されて辟易していたのですが、(あまりに絵面が残酷で・・)上手に広い知識欲につ

ながるように誘導したいです!!(笑)

合気道の発祥はお侍さんなのに全然興味持ってくれませんけどね・・(^^;)

ツナのおにぎり持って「渡辺綱と一緒だからこれ!」、仏像のガチャポンは「持国天」

だったのですが、「地獄に似てる!!」(違うし・・)と喜んでいるポンすけを見てい

ると子どもってほんとに面白い、と思ってしまいます!

私は相変わらずカッっとなって怒ってしまいますが、ぽんの方は「そうだね」と

冷静に反応してきて、ウギャー!!となるかと思っていたこちらが反省してしまう・・

といった日々。子どもは親をおいて成長しますね。精進精進!!

 

 

 

 

 

 

 

 


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2 コメント

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早速やってみました♫ (ぽんみかん)
2014-02-17 11:35:01
記事にしていただいてありがとうございます。

レッスンではぽんすけ、ほとんどダダをこねているか、かんしゃくを起こしている。
恥ずかしがって何を聞かれても返事もできない、何を作ってもらっても興味が無いそぶりをしているのに、
先生の洞察力はすごいなあ・!!と敬服いたします。
レンズやライトで遊んでいたときも、ぽんがいつまでも綿を触りたがってグズグズしていたのをすかさず
綿にあてたらどうなるかな?と巻き込んでしまうテクニックもさすがです・・!!
以前の記事で大人の教え方を洗練させていくことの大切さがあげられていましたが
あーーほど遠い・・といつも思います(--;)。

あんな態度ではありますが、レッスン後はいつもすごく何かかしら刺激を受けたなと感じます。
自分でもまずいなと思うのか、とても聞き分けが良くなり、
今回は急に絵がレベルアップしてびっくりしています。(突然多色使いがはじまり、細かくなりました)

帰ってから数日、いろいろと小道具作りも一緒にしてみました!
照明もぽんは前から○先生がやってた赤とかぐるぐるするのやりたい!と興味を持っていましたし、
園で見た大好きな鬼の劇も、最初のピアノの導入の音楽を自分でめちゃくちゃながらキーボードで弾いたり、最後の舞台挨拶も同じBGM曲を要求したり、先生が出演者にインタビューするところまできっちり再現したがります。
衣装系だけでなく、大道具も途中の効果音も笛やら太鼓やらもこだわって一通り準備したがります。

ですから今回の”ちょっとしたアイデア”はなるほどーー!と、いろいろと勉強になりました!!
箱に細かい貝殻をいれてざらざらざら・・「三途の川の音!」とやったり、
三色の照明はタピオカ用の太いストローでグルグル回せるようにすると大喜びでした!
その後、パパが休みにまた本格的な照明にグレードアップしてくれましたが、両方気に入って使っています。
昼間から雨戸を閉めて電器消して!!とうるさいです・・
(壁に綺麗に色が映るので・・)

カセットテープレコーダー、いいですね!懐かしい。
ぽんもiPhoneで写真撮ったり動画で自分の劇を撮っては見るのが好きですが、
まさにブラックボックスというか、カセットのあのカチッっと押す感じや、テープが伸びて音が変になるとか、いろんな仕組みを考えるきっかけになるものは今の便利な製品にはどんどんなくなっていますものね・・。
昔の物を知っていると、進化して行くのを見るのもそれはそれでわくわくしますが、
今の子は赤ちゃんのおもちゃですら高機能ですもんね~!!

縦じゃなくて横に広げるアイデア、おかげ様でいろいろ浮かんできそうです!
ぽんすけから出てくるアイデアを活かして創るって楽しい!と思えるようにしてあげたいな~。
ちなみに飛び出す仕掛けは紐の材質がいまいちなのかいろいろ変えてみましたがすべりません??
エレベーターのときもそうでしたが、パーツを変えるといいときもあります。
(パーツによって隙間にも誤差があるのでしょうか・・?)
デュプロで地獄の釜を作ってそうべいたちが飛び出してくるようにしたかったのですが、
横にしか動かせなくて、でもぴょんぴょんしているのがお湯につかって歌っているようで
ぽんには受けていました!!
うまく行かないときこそ、転んでも只では起きない、そこから考えたり工夫したりが大切なんだなって少しずつ実感できるようになってきました。

最近ちょっと思いついて10の合成なども、閻魔様が2匹の鬼を呼んで「今日は10人の子分を連れて行くから残りをつれてこい!!」なーんてやると、それはもうくいつきます!!(^^;)
幼稚園のマラソンもいつもビリ、ビリ2、3、って感じなのですが、
最近は鬼ごっこ!(文字通り本物の鬼がおいかけてきます!)でマラソン練習しよう!と本人が言い出して意欲的。鬼様々です・・!!
算数も運動も遺伝的には期待できないなと思うのですが、(算数はタイプにもよりますね)
楽しそうに取り組んでいるのをみると嬉しいですね!
苦手意識を持ったり自己肯定感が下がらないように親が協力でできることもいろいろあるかなと思います。
ゲームにも拒否反応の強いぽん・(説明が聞けない、思いついた自分のやり方でやりたい・・)
次は地獄双六!かな?と話を振ると、かなり!!興味あるみたいです!
お友達と上手に遊べるようになるまで、ゆっくりじっくりつきあってあげたいなと思います。

毎日毎日ものすごい集中力で真剣に工作している姿に、行き詰まったらつまんなくなっちゃうかな?
何か次の階段にあがる手伝いができないかな?とちょっと焦っていましたが、
いつも本当に的確なアドバイスをいただき感謝しています!
私の集中力と体力が続くかという別の戦いでもありますが(^^;)、
私も楽しんで一緒に遊んでいきます♫

欽ちゃんの仮装大賞を見てからヤマタノオロチにも興味が!
オンライン教室の蛇!参考にしました!ありがとうございます♫
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なるほど京都か (しまなみ)
2014-02-22 06:33:01
ムスメは、5歳半、日本史大好きです。ぽんみかんさんのひろげかた、あっぱれだなあ、と思います。恐竜や元素、数字、偽札好きだったころは、堂々と、応援していましたが、日本史好きにシフトしてから、アタマを抱えていました。2ヶ月経過して、もう恐竜には戻らないな、と、諦めがついたので、ボソボソと、ひろげにかかってます。飛鳥時代すごろく、歴史新聞、あやとりの天守閣や、兜の折り紙につなげたけど、次は料理かなあ。
性別や外聞を気にしてしまう情けない母です。
あ、朝起きは相変わらず不良ですが、風呂前の脱衣は手早くなりました!食事も手伝いが必要ですが、こぼしてもパニックにならなくなりました。
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