教室では、子供の内発的な動機づけに火がつくように、常に環境に気を配っています。
内発的動機づけとは、好奇心や関心など自分自身の内からなる動機づけです。
効果は長期的で創造的な領域に関して効果を発揮しやすいです。
一方、外発的動機づけとは、外からの報酬からなる動機づけです。効果は短期的ですが、
強い関心や好奇心がない領域に関しても有効に働きます。
Deci と RyAn自己決定理論によると、
本当のやる気(内発的動機づけ)は、次の3つがもとになっていると指摘されています。
<1> 自分でやりたい。
自分で選んで、行動したいという欲求
自律性(自分で考え、選択し、行動することです)
自己決定感(人にやらされるのでなく、自発的にやりたい)
<2> 自分にもできる
有能感 自己効力感(自尊心とは異なります)
自分に目標を達成する能力を得たいという欲求 がんばれが環境が変わるという思い
<3>関係性
他者と交流し、他者から重用され、受け入れられているという思い。
他者と結びついていたいという欲求
内発的な動機づけのために気を配っているといっても、こればかりは、
それぞれの子の心次第、個性やその子のタイミングによりますから、
できるだけそうした状態が起こりやすくなるよう工夫しているという程度です。
でも、そうしたことを意識して環境を作ることで、
最初に期待した以上に、やる気が子供たちの間で飛び火することが
たびたびあります。
内発的な動機が生じるには、その領域への子供自身の興味や関心が
必要です。
子供の興味や関心に火がつく瞬間というのは、
大人からすると物足りなく感じたり、遠回りに見えたり、カオスに思えたりする
場合がほとんどです。最初は小さなこと過ぎて、何が子供を夢中にさせているのが
原因がわからない方もよくいます。
今年のユースホステルのレッスンでは、こんな時に子供の意欲が高まりました。
<1> 足りない。なくなりそう。ほんのちょっとした不安感。
もしかして自分の分がないかもしれない……とちょっとした欠乏感や
危機感を感じたとたん、子供が急にその対象に魅力を感じて、
やりたがることはしょっちゅうあります。
「べつに~めんどくさい」と毒づいていた子も、
自分の分がないかもしれないとなると、必死になって飛びつきます。
また、子供の数に対して、物が少なめで、
「やりたい!やりたい!」と声をあげないと
自分の番が回ってこないかもしれないような状態を一度でも経ると、
次から真剣に取り組みだします。
今回のユースで、ベイブレードとタイマーを持って行って
ベイブレードの回転持続時間を計算で求める練習をしました。
ベイブレードにチャレンジしたい子たちは、幼稚園の子も
積極的に時間の計算にできるところまでチャレンジしようとしていました。
そうするうちに、最初はベイブレードを上手に回すことへの興味から
出発していましたが、時間の計算をマスターすることに強い関心を持った子も
何人かいました。
<2> 子供同士の盛り上がり
子供同士の関わりが、いつも励ましあい、認め合える温かいものになるよう
気遣っていると、友達と和気あいあいと取り組む楽しさや
友達と協力しあってチャレンジする面白さで、算数の学習も大いに盛り上がっていました。
ゲームの作り方や遊び方学び方は、虹色算数オンライン教材で
くわしく紹介しています。
<3> 自分で作る
<4> 感動 美しさ
五感を通じて、感動を味わったり不思議を感じたりする時も、
好奇心や関心が高まります。
下の写真は光で遊んでいるところです。
部屋中に輪ゴムをはりめぐらせて光遊びをすると、 まるで蜘蛛の巣の上で
遊んでいるような錯覚に陥りました。
幻想的な美しさに、その場に集まった子供たちはうっとりしていました。
<5> 自分の好きなこと、得意なことに没頭する
自分が好きなことに全力投球すると、自分の能力に対する自信がみなぎってきます。
子供が自分の有能感を感じている時に、ちょうどいい課題を与えると、
それまではちょっとしり込みしていたことにも取り掛かる
ようになる子が多いです。
上は「くるくる回転する棒」と「回転させると光る」しくみ。
作った子たちは、お互いに意気投合していました。