虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

自閉っ子が成長するとき

2014-05-23 12:56:08 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

自閉っ子のAくんのお母さんからこんなコメントをいただきました。

ついでに先日のAくんのレッスンの様子を紹介します。

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先日のレッスンで、懐中時計や掛け時計を作った、自閉っ子の母です。

あの日のレッスン以来、息子の遅延エコラリアと場にあっていない発言が激減しました。

もちろん、全くなくなったわけではありませんが、

家での様子が、以前が10だとすると、今は2~3くらいです。

外で不安を感じているときには増えますが、家で私とふたりのときは大変落ち着いて、

ゆったりと遊んでいます。自閉のため、親の私にも、一体どんな子なのかわかりづらい

ところがあったのですが、本来はこんな子だったんだなあと感じています。

ひとつの物をじっと見る時間が増えたためか、やたらに部屋を散らかすことも少なく

なりました。

先日のレッスン中も、レッスン途中に眠くなっていましたが、あれ以来、以前より早い

時間に寝るようになり、睡眠時間が増えました(以前から睡眠不足だったわけではありま

せんが夕方には眠そうにしています)。

脳のシナプスが繋がって、いま色んなことを吸収しているから疲れるんだろうかと夫と

話していたのですがあながち、間違いではないような気がします。

レッスンで、自分のイメージぴったりの時計を、自分の力で作ることができて突然、

現実とつながったのでしょうか。関わり方で子どもがここまで変わることに、

正直、驚いています。

まだまだ集団では問題も多いですし、指示に従うことも苦手な子ですが

長い停滞期(に、私にはみえた…)が、ようやく終わり、光が差し込んだ気分です。

何より、息子のこれからの成長を心から信じ、希望を持つことができました。

なおみ先生、本当にありがとうございます。

次回のレッスンも、親子で楽しみにしています!長文、失礼いたしました。

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3ヶ月前の2月のAくんの様子は

自閉症の子との会話を継続させる工夫 1

自閉症の子との会話を継続させる工夫 2

で記事にしています。

 

この時点では、それまでのこだわりに基づいた「時計盤の針をぐるぐる回す」遊びと

「エアコン等のリモコンのボタンを押し続ける」という遊びから、

物を床にぶちまけたり、ブロック作品をバラバラに壊してしまったりする行為が、

Aくんのおもな遊びになっていました。

叱ったりやめさせたりするのではなく、何がよくないのか教えながら、

散らかしたり壊したりするたびに「作る」姿を見せていました。

すると「散らかす」「壊す」のあとで、自分でも作ってみようとする姿が、

時折ありました。

 

今回、Aくんは教室に着くなり、「時計、時計」と言いながら、

教具にしている時計盤を探していました。一緒に探したのですが見当たらないので、

Aくんと作ることにしました。

 

Aくんの物事への関心の持ち方にはかなり偏りがあります。

子ども向けのおもちゃには無関心で、

「時計」と「コンセント」と「電化製品のリモコン」に強いこだわりがあります。

 

丸いトレイにストローをとめただけ……という簡単な時計を作ってあげると、

Aくんはとても喜んで、しばらく針に触ってから、「ボーン、ボーン」と言いながら、

時計の下で揺れる振り子の手真似をしました。

「Aくん、ボーン、ボーンって揺れる振り子もつけようか?」と言って

ストローと先につけるビー玉を差し出すと、

Aくんは自分でそれを振り子のある位置に貼りつけました。

 

これまでAくんがコンセントなどに興味を示すたびに、Aくんにも作ることができる

レベルの工作見本を作って見せていたのですが、お母さんに勧められるままに

セロテープを貼ったり、はさみで切ったりするだけで、Aくんが自分から積極的に

物作りに参加することはありませんでした(前回のレッスンで、ブロックでは

自分から作ろうとする姿がありました)。

それが、このときは自分で振り子のことを言いだしたためか、

一生懸命、自分で貼り付けようとしていました。

 

Aくんが、「……ちゅう時計……いちゅう時計」とつぶやきました。

お母さんが、「懐中時計のことだと思います。Aは時計にこだわりがあるので、

時計の名前をよく知っているんです」と解説しました。

 

紙コップの底を2つ切って目盛りを書いてから、

「Aくん、懐中時計って、こんな風?」とたずねると、

Aくんはストローを切って、毛糸といっしょに貼りつけました。

 

自分の思いついた「ボ-ン、ボーン」や「懐中時計」という言葉で作品作りを

したことがよほど心に響いたのか、

一つのことに意識を向けているのが難しく、ひとりごとを言いながら

ふらふら歩きまわっていることが多いAくんが、

この日は工作にずっと集中していました。

懐中時計ができあがると、Aくんは「柱時計」を作りたがり、

その後、目が左右に動く「ふくろう時計」も作りたがりました。

その間、遅滞エコラリアがほとんどありませんでした。

 

次回に続きます。

 


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