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ノーベル平和賞受賞について「核兵器廃絶を訴えてきたすべての人、広島と長崎の被爆者の受賞だ」として、核兵器禁止条約に日本政府も署名しなければならないと語った。

2017-10-09 | 国連の動き

日本政府がICANのノーベル平和賞に当惑する理由

登録 : 2017.10.07 23:38 修正 : 2017.10.08 20:46

 

世界唯一の被爆国だが米国の核の傘に依存 
ICAN推進の核兵器禁止協約にも反対票投じ 
被爆者・市民団体、日本も参加してこそ圧力高められる

今年ノーベル平和賞を受賞した非政府組織団体の連合体である核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の会員たちが6日、同団体の本部があるスイスのジュネーブで記者会見をしている。左端がベアトリス・フィン事務局長=ジュネーブ/EPA聯合ニュース

 日本政府は、全世界の核兵器廃止を目標とする非政府組織(NGO)団体の連合体である核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が今年ノーベル平和賞を受賞すると当惑した。日本は世界で唯一核兵器の被害をこうむった国家だが、韓国と同じように米国の“核の傘”に依存していて、7月に国連総会で採択された核兵器禁止条約に反対票を投じた。

 

 日本政府は、核兵器廃絶国際キャンペーンのノーベル平和賞受賞が発表されて一日が過ぎた7日午前まで政府レベルの公式論評を発表していない。河野太郎外相は個人のツイッターに、核兵器廃絶国際キャンペーンに対する評価は省略して「引き続き核保有国を含む核軍縮と核の不拡散を推進する」とのみ明らかにした。

 

 日本の市民団体は、今回の受賞を歓迎して政府に核兵器禁止条約に加入するよう要請を続けている。日本の市民団体「ピースボート」の共同代表であり、核兵器廃絶国際キャンペーンの国際運営委員でもある川崎哲(かわさき・あきら)氏は6日、核兵器廃絶国際キャンペーンのノーベル平和賞受賞について「核兵器廃絶を訴えてきたすべての人、広島と長崎の被爆者の受賞だ」として、核兵器禁止条約に日本政府も署名しなければならないと語った。

 

 実際、核兵器廃絶国際キャンペーンが核兵器禁止条約推進運動をする時、日本の被爆者も活躍した。核兵器廃絶国際キャンペーンのベアトリス・フィン事務局長は、50カ国が核兵器禁止条約に署名した先月20日、「(日本の被爆者が)してくれた証言と努力、そして条約実現のための多くの貢献に感謝している」と話した。高校生の時に広島で被爆したカナダ在住のサーロー節子氏は、自身の被爆経験を世界各地で語り、日本も核兵器禁止条約に参加するよう求めてきた。

 

 だが、日本政府が核兵器禁止条約賛成に態度を変えることは容易ではなく見える。日本政府は最近、北朝鮮の脅威を理由に核兵器禁止条約に反対する米国との同盟関係を強化している。安倍晋三首相は8月9日、被爆地の長崎で被爆者団体と面談した際に、核兵器禁止条約への参加について尋ねる記者たちの質問に「(条約が)核兵器保有国と非保有国の間の溝を深め、核兵器のない世界をむしろ遠ざける結果をもたらしてはならない」として、否定的な返答を述べた。

 

東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )


何よりもその根幹をなす米国と北朝鮮との関係が改善されなければならないだろう。それは、北朝鮮核問題の解決プロセスとも一致する。

2017-10-09 | 世界を知る

[寄稿]北朝鮮核問題の地経学的解決策

登録 : 2017.10.09 03:17 修正 : 2017.10.09 06:37

 

北朝鮮の朝鮮中央通信は7月28日夜、金正恩労働党委員長が参観した中で大陸間弾道ミサイル級「火星-14」型ミサイルの2回目の試験発射を実施したと29日報道した//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の核をめぐる昨今のゲームは「クジラの喧嘩でエビの背が裂ける」(強い者同士の争いに弱い者が巻き込まれて被害を受ける)と言われていた朝鮮半島に起きた異変だ。東西古今で類を見ない弱小国と超大国の対決だ。何がこの“不可能”を現実のものにしたのだろうか。

 

 北朝鮮の核を生み出したのは、朝鮮半島の地政学的対立だ。そのルーツは冷戦時代に遡る。冷戦が終結する時、ブレジンスキーは、ソ連の崩壊がブラックホールを形成し、将来新しい政治的な危険の源になると予見した。実際、米ソ間の対決と均衡の二元構図が崩れ、ユーラシア大陸の「心臓地帯」は地政学的真空状態に陥った。東欧社会主義圏が崩壊し、至る所で戦乱が起きた。

 

 ソ連の解体は、北東アジアの朝鮮半島にも例外なく地殻変動をもたらした。過去の東西冷戦が理念が支配した地政学的同盟の時代だったならば、北東アジアはその遺産をそのまま受け継ぎ、朝鮮半島にバランスの崩れた冷戦構図を定着させた。シカゴ大学のニコラス・スパイクマンは、大陸勢力と海洋勢力が衝突する舞台、つまり「リムランド」(rimland)を制する者が世界を制するとした。北東アジアのリムランド、朝鮮半島を制するために、米国には朝鮮半島の冷戦構図が必要だった。

 

 米国の地政学的戦略に対応し、北朝鮮は核開発を選んだ。北朝鮮が核開発にすべてを賭けられたのは、まさに「地政学的地位」のためだった。米国は、地政学的戦略のために北朝鮮の核を30年近く“放置”しており、北朝鮮の地政学的位置のために北朝鮮の核を軍事力で解決できなかった。北朝鮮はこの地政学的な要素を存分に活用した。結局、この地政学的要素が北朝鮮の核開発に30年近い時空間を許した。

 

 北朝鮮核問題の解決策は依然として地政学的に進められている。米国も北朝鮮も、依然として力の論理に基づいて対決を追求している。米国は北朝鮮を完全に封鎖すれば、北朝鮮がついには屈服すると考えており、北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)で核弾頭を米国本土に飛ばせられれば、米国が両手を上げると思っている。互いに最後まで突き進めば、衝突するしかないだろう。戦争説が流れているのも、そのためだ。

 

 北朝鮮の核が地政学的軋轢の産物ならば、その解決策は地政学的要素を弱めることにあるのではないか。その中心には米国という要素がある。東アジアに対する米国の地政学的戦略が朝鮮半島に留まる限り、朝鮮半島の地政学的要素の弱体化は期待できない。米国による地政学的要素が浮き彫りになるほど、韓国は小さくなり、北朝鮮は大きくならざるを得ない。韓米同盟が「絶対的価値」と言えども、だからこそ韓国は身動きが取れなくなる可能性もある。結局、朝鮮半島で対決の地政学的要素が弱体化されるには、何よりもその根幹をなす米国と北朝鮮との関係が改善されなければならないだろう。それは、北朝鮮核問題の解決プロセスとも一致する。

 

 北朝鮮は米国を百年の宿敵といっているが、誰よりも米国との関係改善を望んでいる。経済発展を図り、国際社会の一員になることを願っている。金正恩(キム・ジョンウン)政権は中央に集中していた権力を地方や企業、開発区、農村へと分散させる事実上の改革を断行し、北朝鮮経済を上向きにしてきた。それに“市場経済”の要素も全国に広がっている。地経学(geo-economics)的アプローチが可能な要素である。地政学的観点から核とミサイルだけを見るのではなく、これからは地経学的観点から北朝鮮のこのような変化の可能性も見るべきではなかろうか。

 

 

金景一・北京大学教授//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は大統領選挙の公約として、朝鮮半島を3つのベルトにして開発し、これを北方経済と連携して、北東アジア経済協力のハブとして跳躍するという「朝鮮半島新経済地図」を掲げた。一見すると、地経学の創始者であるルトワックが「経済文法」(Grammar of Commerce)で描いた、北朝鮮の核問題の地経学的解決策ともいえる。このような地経学的要素を浮き彫りにさせるには、地政学的要素の核心である米国を説得せねばならない。韓米軍事演習の中断や対北朝鮮制裁の解除で核・ミサイルの凍結を交換すると共に、地経学的環境を造成していくべきだ。朝鮮半島に地経学的要素があふれれば、北朝鮮が核を放棄することも不可能ではなくなるかもしれない。

 

金景一・北京大学教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr)