暑苦しいときに、暑苦しい画像で恐縮だが、ストーブを焚いたという話題ではもちろん、
ない。
年に一度のストーブメンテと煙突掃除が、この時期にずれ込んでしまっただけだ。
ここユー地区は、初夏を迎えるまで10度以下の冷たい日が続くこともあり、そんなときに、
ほわっと薪ストーブに暖を入れる贅沢をしたりするので、掃除が後回しになり、いきおい
メンテの時期が遅くなる。
この日は、蒸し暑い日の間に涼しい日が一日挟まったので、重い腰を上げた。
この冬に、薪を焚いた状態そのままの炉内。
灰があった方が保温が効くので、完全に除去しないためだ。
たとえは悪いが、ウサギを飼っているときに盲腸糞を巣に残すようなものか。
(違うか)
そういった訳で、まず、炉内の灰を下の灰受けに落として除去し、手前の二本の角のような
アンダイアン(薪止め)を取り外す。
この後の手順もあるので、奥の鉄板(ファイアバック)の溝に溜まっている灰も残らず取り去る。
右は、触媒装置を覆う鉄製のフードを外したところ。
奥に触媒装置の一部分である、白いセラミックボックスが見える。これを交換するとなると
ストーブ自体を分解しなければならないが、今回は掃除のみ。
ちなみに、ストーブの中などに残った灰を吸い取るために、この「水掃除機」を使う。
吸い取ったゴミや灰を、いったん掃除機内に入れた水を通すので、排気が家の中に還流しない
優れものだ。
ハウスダストのアレルギーがある家庭などで使われているようだが、薪ストーブを使う者にも、
かなり愛好者がいるようだ。
わが家では専用機器になっているので、お出まし願うのは年に一度。
メンテ用の道具も、だんだん増えてきた。
しかし、この道具入れがなければ、その、年に一度の儀式?もおぼつかない。
炉室のドアーに付いたタールを、キレイに拭き取る。
専用のクリーナーも販売されているが、炉内にある灰を濡れタオルに付けて磨いても
十分効果はある。
ただし、完全に冷えてからやらないと、ガラスが割れたりするので注意が必要だ。
(このガラス、特殊な耐熱ガラスのため目が飛び出るほどお高い)
ファイアバックを外すと、セラミックボックスの全貌が現れる。
右は、さらにボックスカバーを取り去り、中に鎮座するキャタリテックコンバスター(二次燃焼の
ための触媒装置)を外したところ。
これが、キャタリテックコンバスターだ。
特殊金属をメッキした網状の装置中を燃焼ガスが通ることにより、触媒作用で二次燃焼し、
よりクリーンな状態で排気することができる。
また、二次燃焼によって得られる輻射熱も、燃焼効率を高めた相乗効果だ。
煙突掃除が年に一度で済むのも、こういった装置が付いていることが大きい。
米国では、大気汚染防止のため80年代に薪ストーブの排気規制が強化されたことで
こういった触媒装置を備える薪ストーブが広く発達した。
今でも、北欧とともに米国産に優れた鋳物の薪ストーブメーカーが多いのは、
そのためだ。
途中経過。
ストーブの炉内は、ほぼキレイになった。
煙突を取り外すと、こんな感じ。
さすがに、触媒が付いているとはいえ、一冬焚くと煙突内に厚く煤が溜まる。
固定された煙突部分は、内と外に灰受けの袋を付けて、掃除用のブラシで掻き出す。
こういった手順をきっちり踏まないと、家の中は煤だらけになってしまう。
取り外した煙突もブラシをかけてクリーニングするが、特に「曲がり」に付いたタールは、
マイナスドライバーのような金具で、こそげ落とさないと除去できない。
タールを付けたままにすると、煙突火災の遠因にもなるので、できるだけ除くが完全には
難しい。
外の立ち上がりも、同じ手順でブラシを通す。
残るのは煙突トップだが、急勾配で高い屋根に上らなくてはならないので、
ここだけは、隔年で屋根屋さんに頼んでいる。
かくして半日。
薪ストーブの炉内と、煙突掃除を終えることができた。
こういった作業なので、猛暑の日などを選ぶと大変な思いをしなければならない。
真夏の薪ストーブメンテは、涼しい日を選ぶことがとても重要だ。
毎年思うのだが、メンテや掃除を終えた薪ストーブと煙突は、芝刈りをした後のスッキリ感に
通ずるものがある。
後は、乾燥した薪を小屋に運び入れれば、いつ冬が来てもいい状態になるのだが、これは
秋口に本当に涼しくなってからの仕事。
気ままな野良?仕事にも、順番がある。