犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム>捏造された洪水、東岩取入口は残ったが(その31)

2017年05月05日 | 辰巳ダム
工業用水の件に関して少し内容を詳細に説明するために、平成13年8月27日現在のメモを掲載する。

●住民監査請求で指摘する内容の背景
 辰巳ダムは治水と利水の二つの目的を持っている。利水について検討してみたところ、犀川水系の利水のために築造された犀川ダム、内川ダムで大量の水あまりがあることが判明。大量に水が余っているにもかかわらず、辰巳ダムで河川維持用水のためにダム貯水量240万m3を開発しようとしているのは、ダムの容量案分で40億円に相当する無駄遣いにあたる。犀川ダムの工業用水にかかるダム貯水池207万m3を転用すれば、費用ゼロで目的を実現できる。

●住民監査請求をするに至った経緯
 平成13年5月9日に、金沢市長および金沢市企業局長に対して、犀川ダムおよび内川ダムで開発した工業用水と上水の水余りを指摘した公開質問状(金沢市長宛(PDF)、金沢市企業局長宛(PDF))、を提出した。これに対して、平成13年7月12日に金沢市長および金沢市企業局長より回答を受領した。工業用水と上水ともに余剰ではなく、貴重な用水あるいは水利権であり、現状のまま維持するべきであるとの回答があった。当方が具体的な数値を根拠に水あまりを指摘したのだから、回答も具体的な数値を根拠に説明してもらえるように要望したにもかかわらず、何の根拠もなく、貴重なものであるとの回答であり、全くのゼロ回答であった。
 議論しようにも議論のデータも示さないで貴重だとオーム返しに回答されても全く埒があかない。このような経過から、法律にもとづいて「住民監査請求」をすることにした。

●住民監査請求の内容
 金沢市は犀川ダムで開発した工業用水(3万m3/日)を使わないまま、34年間、犀川ダム管理費負担金を毎年、石川県へ払い続けている。これからも使う当ても無いのに、年に二千万円近い負担金を支払うのは不当な支出にあたる。
 問題は二つで一般財源で支払っているということ。工業用水は使用者からその費用を回収するべきで、不特定の住民の福祉等に向けるべき一般財源で支払うのは不当である。すでにある「工業用水特別会計」で支払うべきである。
 もう一つは、使う見込みがないにもかかわらず負担金を払い続けていること。犀川ダム建設当初に見込まれた工業用水の需要は急速に縮小し、石川県は昭和56年にダムで開発した工業用水の需要見込みを
 13万m3/日(手取川ダム10万m3/日、犀川ダム3万m3/日)から
 5万m3/日(手取川ダム5万m3/日、犀川ダムゼロ)へ変更している。石川県は余剰の5万m3/日は上水道用水に転用した。この時点で、金沢市は余剰の3万m3/日を他の用途へ転用するなどして精算するべきでしたが、放置した。
石川県は昭和65年(1990)から、金沢臨港地区へ工業用水の供給を開始する予定でしたが、10年を過ぎた今でも、供給の見込みは全くたっていません。需要がないからです。
 金沢市歳入歳出決算書によれば、工業用水にかかるダム管理費負担金は昭和42年から平成12年までの34年間で総計322百万円にも達している。平成12年度は18百万円を支払っている。
工業用水3万m3/日は35年間未利用およびダム貯水池207万m3遊休化を解決するために、金沢市長に対してつぎの三事項を措置請求する予定です。
 工業用水(水利権3万m3/日)を転用するべきこと。
 ダム管理費負担金は「工業用水特別会計」より支払うべきこと。
 支払ったダム管理費負担金は金沢市へ返還すること。

【関連情報】
中登史紀のHPへ
2001年10月31日 渡辺寛氏(ナギの会代表)より監査についての投稿あり!
2001年10月24日 石川県内のダム開発による工業用水の惨状!
2001年8月30日 金沢市の犀川ダムの未利用工業用水に関して住民監査請求!
2001年7月25日 7月12日の回答に関するコメント
2001年7月12日 金沢市および企業局より「公開質問状」に関する回答(PDF)
2001年5月9日 金沢市企業局へ「犀川ダム貯水池の遊休化に関する公開質問状」を提出!(PDF)
2001年5月9日 金沢市へ「犀川ダム貯水池の遊休化に関する公開質問状」を提出!(PDF)

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