犀川の河川整備を考える会

犀川の辰巳ダム建設を契機に河川整備を考え、公共土木事業のあり方について問題提起をするブログ。

辰巳ダム>捏造された洪水、東岩取入口は残ったが(その30)

2017年05月04日 | 辰巳ダム
住民監査請求(工業用水の水利権問題の提起)

 事業主体が石川県である辰巳ダムは、治水目的のほかに、利水目的を加えて計画された。犀川は2級河川であり、県管理の河川であるので、治水は県の事業であるが、他方、利水は県の事業であるほか市の事業も含まれている。その一つが、間接的に関連している金沢市の工業用水である。
 辰巳ダムの利水計画にあたって、金沢市の持つ工業用水の水利について与件として扱い、その使用実態にもかかわらず、確定的に扱っていた。石川県の立場としては、金沢市のことに口だしするのは越権行為かもしれない。しかし、石川県県民の立場からすると、明らかに無駄を放置している事態であった。
 金沢市の持つ工業用水水利権は、34年間、一滴も使用しておらず、将来の見通しもない状態であった。にもかかわらず、石川県の担当者の説明によると、金沢市の持つ水利権であり、石川県がとやかく言うことのできる問題ではないという対応だった。
 石川県が動かないのであれば、市民として金沢市へ働きかけを行うことにした。金沢市に遊休水利権を放棄して河川管理者である石川県へ返上させるためである。返上させることができるのであれば、辰巳ダムの利水目的はほとんど解消する。
 中登史紀の専門は、水道技術であり、関連するデータも整理収集していたので、整理分析をすることで問題を指摘することにした。
 金沢市に対して、公開質問と提案という形で申し入れをしたが、「市民の貴重な権利であり、維持すべきものです。」との返答であるため、単に申し入れという形ではなくて、法的な手段で強力に訴えることにした。
 2001年(平成13年)8月30日、金沢市の犀川ダムの未利用工業用水に関して地方自治法242条に基づいて住民監査請求を行った。
 2001(平成13)年9月19日、関連して、金沢市議会で質疑も行われた。
 金沢市監査委員会は、「決定」において、手続き上問題はないとして棄却あるいは行政の裁量権の範囲として却下し、請求を退けたものの、「本請求における工業用水については、当初の計画と現在までの実績とがかい離している顕著な例である」として適切に解決するようにとの「付言」をつけた。
 以後、紆余曲折はあるが、最終的に工業用水水利権を返上することになった。
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