「何年に1回の洪水か」のブログについて、長野のKさんから、メイルでいくつかのご指摘を受けましたので、当方の頭の中で理解できたものを一部、紹介します。
関心のある方はおつきあいください。
Kさんへのメイルの返事にも代えたいと思います。
まず、
【指摘1】「治水安全度(基本高水流量の流量確率)が計画規模の雨量確率とは異なることを理解いただきながら、ピーク流量群の平均値の治水安全度が雨量確率と同じであるとの理解に至らないのは残念です。
(省略)959m3/sのピーク流量を生起する314mm/2日以上の降雨の年超過確率が1/200の場合に、314mm/2日以下の降雨の年非超過確率が1/200であり、雨量にかかわりない959m3/sの年超過確率が1/100になるとの持論に賛同いただけないのは残念です。」
【当方の考え】
前半の「ピーク流量群の平均値の治水安全度が雨量確率と同じである。」というのは、多分そうだと思います。
ただ、理由が、後半に記載されていることだとすると、よくわからなくなります。
「959m3/sのピーク流量を生起する314mm/2日以上の降雨の年超過確率が1/200」とあり、
(多分、314mm/2日以上の降雨ではなく、314mm/2日以上の降雨。超過という言葉にも以上の意味がありますから、以上の以上ということになる?)、
つぎに、
「314mm/2日以下の降雨の年非超過確率が1/200」とありますが、
1/200ではなく、(99/100)×1/2のような気がするですが。
314の年非超過確率は、1-(1/100)=99/100であり、ピーク流量の非超過確率が1/2ですから。
合計すると、1/200+(99/100)×1/2=1/2となり、つまり雨量にかかわらず1/2となるのではないでしょうか。
つぎに、
年超過確率と超過確率のことですが、
【指摘2】「年超過確率の逆数が確率年で、その雨量や流量が平均して何年に1回発生するかを示します。超過確率は確率分布に関係する表現で、確率分布として正規分布を考えた場合に平均値の超過確率は0.5でこれは2回に1回発生することを意味します。年超過確率と超過確率は確率年の式で関連付けられています。たとえば雨量確率1/100の降雨において超過確率0.5の年超過確率は1/200になります。」
【当方の考え】
この考えに対する当方の意見は、以下のように2つの解釈が成り立ちますので、わかりやすさは欠けますが、紛れがないようにするため、前回のブログで記載したような言い方にした方がいいと思います。
雨量年超過確率1/100 × 超過確率1/2 = 年超過確率1/200
は、つぎの2つの解釈ができます。
雨量年超過確率1/100 × 雨量超過確率1/2 =年超過確率1/200
雨量年超過確率1/100 × 流量超過確率1/2 =年超過確率1/200
その意味を明確にするために、
年超過確率1/200とするのではなく、「年超過確率1/100の降雨が生起した場合のピーク流量959m3/sの超過確率は1/2あるいは0.5である。」とした方がいいような気がします。
そして、最も大きな疑問は、つぎのことです。
【指摘3】「『100年確率の雨が降ったときに959m3/s以上の流量が発生する確率は50%である』は間違いありません。治水安全度の場合には雨量にかかわらず959m3/sの流量が発生する確率が知りたいのです。観点を変えて959m3/sの流量を生起する雨量の確率分布を考えます。」
【当方の考え】
「314 → 959」方向はそのとおりだと理解できます。この逆方向「959 → 314」ですが。959の流量確率がわからないところから出発しています。そして、この流量が生起する雨量の確率分布が314を中央値に持つ雨量の確率分布と同じものかどうか、1/100かも、理解にまだ到達していません。多分、そうだろうと思うのですが。
最後に、
【指摘4】「実測流量から流量確率を求め治水安全度に見合う基本高水流量を決定する方法は流量確率手法といわれ、ヨーロッパでは広く使われています。しかし日本では信頼に値する実測流量のデータが不足で流量確率手法は使われていません。つまりないものねだりになります。現状雨量から流量を計算するいわゆる雨量確率手法を採用せざるを得ないのです。」
【当方の答え】
犀川では、昭和53年から実測流量を観測しています。今年は、昭和87年にあたり、34年のデータが集積しています。「100年確率流量を統計的にある程度の正確さを持って超過分布関数を定めるためには30~40年程度のデータ数が必要であることが国内外の水文統計学の研究によって知られています。」(京都大学防災研究所 寶教授)といわれていますので、実測流量から流量確率は求めることができます。実際には、求めていて、雨量から求めた959は、実測流量から求めた流量確率1/100に近似しています。
関心のある方はおつきあいください。
Kさんへのメイルの返事にも代えたいと思います。
まず、
【指摘1】「治水安全度(基本高水流量の流量確率)が計画規模の雨量確率とは異なることを理解いただきながら、ピーク流量群の平均値の治水安全度が雨量確率と同じであるとの理解に至らないのは残念です。
(省略)959m3/sのピーク流量を生起する314mm/2日以上の降雨の年超過確率が1/200の場合に、314mm/2日以下の降雨の年非超過確率が1/200であり、雨量にかかわりない959m3/sの年超過確率が1/100になるとの持論に賛同いただけないのは残念です。」
【当方の考え】
前半の「ピーク流量群の平均値の治水安全度が雨量確率と同じである。」というのは、多分そうだと思います。
ただ、理由が、後半に記載されていることだとすると、よくわからなくなります。
「959m3/sのピーク流量を生起する314mm/2日以上の降雨の年超過確率が1/200」とあり、
(多分、314mm/2日以上の降雨ではなく、314mm/2日以上の降雨。超過という言葉にも以上の意味がありますから、以上の以上ということになる?)、
つぎに、
「314mm/2日以下の降雨の年非超過確率が1/200」とありますが、
1/200ではなく、(99/100)×1/2のような気がするですが。
314の年非超過確率は、1-(1/100)=99/100であり、ピーク流量の非超過確率が1/2ですから。
合計すると、1/200+(99/100)×1/2=1/2となり、つまり雨量にかかわらず1/2となるのではないでしょうか。
つぎに、
年超過確率と超過確率のことですが、
【指摘2】「年超過確率の逆数が確率年で、その雨量や流量が平均して何年に1回発生するかを示します。超過確率は確率分布に関係する表現で、確率分布として正規分布を考えた場合に平均値の超過確率は0.5でこれは2回に1回発生することを意味します。年超過確率と超過確率は確率年の式で関連付けられています。たとえば雨量確率1/100の降雨において超過確率0.5の年超過確率は1/200になります。」
【当方の考え】
この考えに対する当方の意見は、以下のように2つの解釈が成り立ちますので、わかりやすさは欠けますが、紛れがないようにするため、前回のブログで記載したような言い方にした方がいいと思います。
雨量年超過確率1/100 × 超過確率1/2 = 年超過確率1/200
は、つぎの2つの解釈ができます。
雨量年超過確率1/100 × 雨量超過確率1/2 =年超過確率1/200
雨量年超過確率1/100 × 流量超過確率1/2 =年超過確率1/200
その意味を明確にするために、
年超過確率1/200とするのではなく、「年超過確率1/100の降雨が生起した場合のピーク流量959m3/sの超過確率は1/2あるいは0.5である。」とした方がいいような気がします。
そして、最も大きな疑問は、つぎのことです。
【指摘3】「『100年確率の雨が降ったときに959m3/s以上の流量が発生する確率は50%である』は間違いありません。治水安全度の場合には雨量にかかわらず959m3/sの流量が発生する確率が知りたいのです。観点を変えて959m3/sの流量を生起する雨量の確率分布を考えます。」
【当方の考え】
「314 → 959」方向はそのとおりだと理解できます。この逆方向「959 → 314」ですが。959の流量確率がわからないところから出発しています。そして、この流量が生起する雨量の確率分布が314を中央値に持つ雨量の確率分布と同じものかどうか、1/100かも、理解にまだ到達していません。多分、そうだろうと思うのですが。
最後に、
【指摘4】「実測流量から流量確率を求め治水安全度に見合う基本高水流量を決定する方法は流量確率手法といわれ、ヨーロッパでは広く使われています。しかし日本では信頼に値する実測流量のデータが不足で流量確率手法は使われていません。つまりないものねだりになります。現状雨量から流量を計算するいわゆる雨量確率手法を採用せざるを得ないのです。」
【当方の答え】
犀川では、昭和53年から実測流量を観測しています。今年は、昭和87年にあたり、34年のデータが集積しています。「100年確率流量を統計的にある程度の正確さを持って超過分布関数を定めるためには30~40年程度のデータ数が必要であることが国内外の水文統計学の研究によって知られています。」(京都大学防災研究所 寶教授)といわれていますので、実測流量から流量確率は求めることができます。実際には、求めていて、雨量から求めた959は、実測流量から求めた流量確率1/100に近似しています。