何事もいいことばかりではない。だが、ことを進めるにあたって、いいことしか言わないのが一般的である。行政も同じである。
北河内ダムのパンフレットには、つぎのようにある。
・ダムは私たちの住むまちを洪水の被害から守ってくれます (治水)
・ダムは暮らしに必要な水をいつも貯水してくれています (利水)
・ダムができることで魚や生物が今より住みやすい川になります (環境)
治水や利水については、一理もあるかなと思われるが、環境については疑問が多い。環境のキャッチフレーズのつぎに「ダムから安定した水量が河川へ補給されるため、魚や生物がより住みやすい川となります。」という説明がついている。水量が安定して補給される、つまり、水量を均して変動を少なくすると魚や生物が住みやすくなると主張している。自然の河川は、雨が多ければ川の水量は増え、晴天が続けば水は少なくなる、日照りになれば干上がることもある、特に日本の川はその変動が大きいのが特徴である。だからといって、昔は川に魚や生物が少なかったかといえば、逆に町野川では魚や川ガニが豊富でこれを食材にした料亭が上町川と町野川の合流点付近に何軒もあった。水量を補給しなくてももともと魚や生物が住みやすかったのである。ダムを造って水量を調節することで魚や生物がより住みやすい川になるというのはマユツバである。仮になにがしか効果があるものとしよう。水質についての説明はない。ダム湖に水を湛水すると①栄養塩が蓄積して富栄養化し、藻が異常発生したりすること、あるいは②豪雨の後に貯留された濁水による長期にわたる川の濁りなど水質悪化の問題がある。北河内ダム湖の場合、いずれの懸念もある。湛水して2年目の今年、早くもその懸念が現実化した。今年9月20,21日の2日間で300ミリ近い雨があった(輪島測候所日降雨量、19日31.0mm、20日157.0mm、21日120.0mm、22日42.0mm)。ダム湖は濁水で満杯となり、ダムからの放流で下流の川に濁水が流れつづけた。豪雨から、20日程度経過した10月12日の写真を紹介する。写真1は、濁ったダム湖のようすである。写真2は、ダム湖から1kmほど下ったところに位置する五十里橋測水所地点の濁水のようすである。30センチメートルくらいは透き通って見える(濁りの程度を簡易にあらわす透視度が30センチメートル)が、これは汚水が浄化槽で処理されたくらいの濁り具合である。川の水が全部汚水処理水になったといっても差程違わない。清流に住む魚はとても住めない。ダム湖直下にある五十里浄水場(ダム湖から直接取水している)では精密に濁り具合を測っており、濁度は20度であった(おおよそ透視度30センチメートルと同程度)。 幸いにも10月20日過ぎには改善が見られ、1ヶ月あまりで濁水がめだたない程度までになった。いつまでつづくのか心配したものである。その後、雨のたびに川の水は濁るが、上流にダムがない川と同じように1日ほどたてば改善している。ダムがなければこのような心配をする必要はなかったものである。造ってしまったものは仕方がないので末永くおつきあいをしていかなければならないのでしょう。ダムの維持管理は、奥能登土木総合事務所河川管理係のT主幹とT技師です。主幹は、落ち着いた、物腰の柔らかい方です。文句があってもあまりきつい文句はいわないようにしましょう(冗談です(^_^;))。
2011Nov30,naka
写真1
写真2
北河内ダムのパンフレットには、つぎのようにある。
・ダムは私たちの住むまちを洪水の被害から守ってくれます (治水)
・ダムは暮らしに必要な水をいつも貯水してくれています (利水)
・ダムができることで魚や生物が今より住みやすい川になります (環境)
治水や利水については、一理もあるかなと思われるが、環境については疑問が多い。環境のキャッチフレーズのつぎに「ダムから安定した水量が河川へ補給されるため、魚や生物がより住みやすい川となります。」という説明がついている。水量が安定して補給される、つまり、水量を均して変動を少なくすると魚や生物が住みやすくなると主張している。自然の河川は、雨が多ければ川の水量は増え、晴天が続けば水は少なくなる、日照りになれば干上がることもある、特に日本の川はその変動が大きいのが特徴である。だからといって、昔は川に魚や生物が少なかったかといえば、逆に町野川では魚や川ガニが豊富でこれを食材にした料亭が上町川と町野川の合流点付近に何軒もあった。水量を補給しなくてももともと魚や生物が住みやすかったのである。ダムを造って水量を調節することで魚や生物がより住みやすい川になるというのはマユツバである。仮になにがしか効果があるものとしよう。水質についての説明はない。ダム湖に水を湛水すると①栄養塩が蓄積して富栄養化し、藻が異常発生したりすること、あるいは②豪雨の後に貯留された濁水による長期にわたる川の濁りなど水質悪化の問題がある。北河内ダム湖の場合、いずれの懸念もある。湛水して2年目の今年、早くもその懸念が現実化した。今年9月20,21日の2日間で300ミリ近い雨があった(輪島測候所日降雨量、19日31.0mm、20日157.0mm、21日120.0mm、22日42.0mm)。ダム湖は濁水で満杯となり、ダムからの放流で下流の川に濁水が流れつづけた。豪雨から、20日程度経過した10月12日の写真を紹介する。写真1は、濁ったダム湖のようすである。写真2は、ダム湖から1kmほど下ったところに位置する五十里橋測水所地点の濁水のようすである。30センチメートルくらいは透き通って見える(濁りの程度を簡易にあらわす透視度が30センチメートル)が、これは汚水が浄化槽で処理されたくらいの濁り具合である。川の水が全部汚水処理水になったといっても差程違わない。清流に住む魚はとても住めない。ダム湖直下にある五十里浄水場(ダム湖から直接取水している)では精密に濁り具合を測っており、濁度は20度であった(おおよそ透視度30センチメートルと同程度)。 幸いにも10月20日過ぎには改善が見られ、1ヶ月あまりで濁水がめだたない程度までになった。いつまでつづくのか心配したものである。その後、雨のたびに川の水は濁るが、上流にダムがない川と同じように1日ほどたてば改善している。ダムがなければこのような心配をする必要はなかったものである。造ってしまったものは仕方がないので末永くおつきあいをしていかなければならないのでしょう。ダムの維持管理は、奥能登土木総合事務所河川管理係のT主幹とT技師です。主幹は、落ち着いた、物腰の柔らかい方です。文句があってもあまりきつい文句はいわないようにしましょう(冗談です(^_^;))。
2011Nov30,naka
写真1
写真2