中丸美繪ブログ

「モーストリー・クラシック」で「鍵盤の血脈 井口基成」連載中。六年目。小澤征爾伝も脱稿間近。

鍵盤の天皇ー井口基成とその血族

2022年05月22日 16時19分09秒 | 日記
月刊「モーストリー・クラシック」に連載中の「鍵盤の血脈 井口基成」が単行本になります。
5月23日、中央公論新社より発売されます!

基成の死までで、タイトルは、

「鍵盤の天皇-井口基成とその血族」 (単行本) ハードカバー
中丸 美繪 (著)

こんなに手のかかった本はありません。企画から20年、連載6年。
その上、まだ連載中なんです。

昨年春に、「そろそろ単行本にしませんか」
基成の死が近いと感じた編集者の言葉だ。
ところが、基成は最期まで精力的に活動する男なので、体がボロボロになろうと、恋愛をしようと、公の仕事も何もかも成し遂げようとするのである。その上、酒好きで付き合いがいいときているので、私の取材した150人ほどの協力者から得られた証言は尽きることがない。

それでなかなか終わりません!

秋の初めになって、「ともかく基成の生涯部分だけでも単行本に。そのあと、井口秋子、井口愛子について連載していたらいいじゃないですか」
「ともかくまとめて読ませてください」
彼も6年待ってくれたのね。

その六年分をまとめて読み、「このまま行けます!」と、彼は結論を出した。
しかし、12月の時点では、まだ基成は生きている!

こうして連載と、基成の死までを描く作業と、ゲラの同時進行が始まったのである。
そんな曲芸、私したことありませんでした。

ゲラで読むと、連載だから冒頭と前回の最後が重なっていたり、途中話が前後していたり、ここはもう少し書き足したい・・・などあって、手間取るのです。

こうして12月は足早に過ぎ、年末年始に全てやることを課されたものの、それはあまりに残酷だ?という声が部長から上がったとか。家族が可哀想とも。私は仕事づけでは、一体誰がお雑煮を作るのでしょうか・・・と思ったものの、お正月は正常心で迎えることができました。
ともかく枚数が・・・・。ページは600ページ超え。ぶ厚過ぎます。

また、
校閲の方も大変なのです。何しろノンフィクション。周辺の時代状況などもバッチリと書いておりますので、その確認作業が・・・・。
こうして、私の持ち時間にずれ込み、なんとこの歳で徹夜をする羽目に!
「三日で戻してください」は、よくぞいってくれました。
凄いよね。

こうして、最初二月末刊行予定は、三月末に。

さらに徹夜で私の脳細胞が壊れたのでしょうね。

私は「殺される!」という妄想を抱くように成り!!!???笑・・・・発狂して、「無理です!!」
「誰がそんなに早く発行することを望んでいるのだ!」
年度内に刊行したいと編集者はいうけれど・・・。

ノルマがあるのですね。
ああ、辛いね、ノルマ。そういえば、保険会社に幹部候補として勤務したものの、最初の年は営業・・・それでノイローゼになってしまった人がいましたっけ。

緊急出版の意味合いもなく、まだ連載は続いているし、このままだと、単行本で基成は死に、連載では生きている。。。。ということになりかねない。
モーストリーの編集長はそれでもいい、、、なんていってくれましたが、どうもそれはおかしい、、、、と思ってしまう。

それに体力持たないです。
600ページ越えを三日とか、一週間とか、・・・・

結局、寄り切りで、5月末刊行としてもらいましたが、それでも最後はバタバタ・・・でした。

というわけで、晴れて、発行の準備が整いました。

カバーから帯から、基成のプロフィールをカバー袖に入れるとか。。。。全部叶えていただきました。

お疲れ様でした。

夫は、珍しく、読んでいます。
ディテールが面白い、、とかいって。。。基成が魅力的だと、時に声を出して笑っています。
ぜひ、読んでください。図書館で注文してください。



内容)

斎藤秀雄とともに、日本の音楽教育をリードし多くの優秀な音楽家を育て、演奏家としても生涯活躍した井口基成。そして、妹・愛子、妻・秋子。「井口一門にあらざれば、ピアニストにあらず」とまで言われ、今日のピアノ界に深く浸透した影響力と、愛憎渦巻く人間のドラマを描くノンフィクション。
1戦前~戦後、終始人気演奏家だった(途中で演奏活動を止めた斎藤秀雄とは対照的)、2人望のあるリーダー格(「男気がある」江戸英雄の評)、3優れた音楽性とレパートリーの広さ(バロックから近代まで、演奏会で音楽史を弾ききれる)、4門弟3000人と言われる名伯楽(妹・愛子、妻・秋子も含めた井口一族から多くの名演奏家を輩出)、子供のための音楽教室設立、桐朋学園音楽学部の創設など、音楽教育への貢献。桐朋学園大学学長をつとめた。5楽譜の校訂者としての業績(春秋社版の楽譜「世界音楽全集」。スカルラッティからドビュッシーまで)
以上、「ピアノ界の天皇」と呼ばれた井口基成の「功」のみならず、スキャンダルや挫折など「負」の側面もあぶり出し、その人間像の全容にせまる。


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