「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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医療的な観点から今現在とこれからの原発危機を考える

2011-03-31 02:49:24 | 福島第一原発と放射能

 木下黄太です。個人のジャーナリストとして書いています。まず、最もびっくりしたのは、福島第一原発について、官邸や菅総理がなんとなく「楽観」ムードにあると聞かされたことです。最初、聞いたときには、全く理解できませんでした。現場で高濃度に被曝しながらぎりぎりの作業員が、生死の境の作業を数週間休まずに続けている中で、楽観ムードの官邸?良く分からないし、一体何を考えているのか理解できません。どうして、楽観できるのか全く理解できないので、楽観の理由を聞いたところ、ほとんどの仕事は個別に分担されていて、官邸の中心になればなるほど、なんとなく作業量が減りはじめていて、しかもマスコミも危機を煽らないし、耳障りの悪そうな情報も入ってこない感じだそうです。全く理解できませんが、どうやらお疲れのご様子で、さらに「思考停止」になりはじめているのかなと思いました。僕もいろんなことをペーパーにしたり、情報を出し続ける努力をしていましたが、努力をいくらしても、いくらしても、菅直人という人間には届かないという恐れは、彼個人の元々のパーソナリティから自覚はしていましたが、今夜こういう話を聞いて本当に気落ちしています。具体的な進展があって楽観するのはもちろんありえますが、だとしたならば、それをいち早く国民にオープンにするべきです。しかし、僕が関係者から、説明を聞いていても楽観視するべき材料はほとんどなく、勝手な「思考停止」という色合いを強く見せています。ここまで、本当はぎりぎりのことがつづいているのになぜでしょうか?理解に苦しみます。

 ところで少し考えているのは、チェルノブイリ後の強制移住に基準となった数値のことです。1990年ベラルーシ最高会議は15キュリー/k㎡(55万5千Bq/㎡)以上の住民15万人を移住させています。この基準に到達しているエリアが福島県内で実は多く出ている気がします。例えば、飯館村はこれの基準を大きく上回る可能性が高く、京大の今中先生の推計だと六倍にあたるとも言われています。この点も気になっていて、チェルノブイリでの強制移住レベルの汚染になっているエリアが、今どの範囲でどのくらいになっているのかを、政府は早急に公にすべきです。飯館村は16万3000Bq/㎏を現在検出していますが、土壌1kgあたりの放射能では、1㎡あたりと違って推定で計算式を立てるしかなくて、なんとなく曖昧です。現況よりも大幅に状態が悪くならないだろうという楽観的な見立てを前提に、強制移住すべきなのかどうなのかは、今後の原発周辺エリアの状況を考える上で、とても大切な事柄です。今回の災厄が、今後の展開は予断を許さないことに変わりはありませんが、楽観的なシナリオで展開した場合でもすでに、長期に立ち入りができなくなる場所の範囲が大きく広がっていることは認識したほうがよいと思います。三十キロどころか、風向きによってかなり広いエリアに影響が出ている可能性が強いです。勿論、最悪想定に近い事象がおきればこの話どころではありません。

 こうしたこととも、関係がありますが、原子力発電関連の被曝作業員も多く見続けてきていて、東海村の臨海被曝事故でもかかわりの深い、阪南中央病院の村田三郎副院長と、お会いして話しました。村田先生は大阪大学当時に原子力発電の作業員の被曝による影響について上の教授と見解が食い違い、阪大を出て、現在の病院で仕事をされて、原子力と被曝の問題を包み隠さず追及している立ち位置です。僕自身は、お会いしたのははじめてのですが、東海村の被曝事故の際に科学技術庁と阪南中央病院しか被曝線量に関しての数値の検討をおこなっていて、阪南中央病院の考え方が当時大変に気になっていて、資料を取り寄せてみた記憶があります。科学技術庁と阪南には数値が七倍近く差がありました。阪南の考え方には、十分納得できる観点があり、僕は科学技術庁が出した僕の被曝線量(確か0.14ミリシーベルト)の七倍が最大値と思って納得した記憶があります。こうした、感覚でやっているのは、こちらだけです。

 村田先生は作業員の皆さんの被曝を一番心配していらっしゃいました。恐らく、250ミリシーベルトという被曝限度は本当に限界に近く、一時的にこれを引き上げることがいかに非人道的な行いなのかを訴えられていました。そして、ここで問題となるのが、またしても兵站というキーワードです。五百人の作業員がいても、この高い放射能の環境の中では、限界まで全員が到達するのには、はやければ数日しかかからないかもしれないと。だとしたならば、現場の作業が進行する担保がどこにあるのだろうかとも。このままにし続ければ作業員がパニックになるかもしれないとさらに心配されていました。作業が止まると勿論最悪の事態を招かない担保はありません。

 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の数値を見ていても、今後状況が変化がないと、80キロ圏でも累積で100ミリシーベルトを超えると言われていました。先生が見ている原子力作業員が90ミリ程度の累積被曝で悪性のリンパ腫を発症しているとも。先生はモニタリングポストの数値だけでなく、空気中及び食物、水分などで一定程度の内部被曝をする可能性を指摘していて、外部被曝の数倍、多くて五倍程度は想定するべきだとおっしゃっていました。その上で、累積で100ミリシーベルトに到達していく、もしくは到達しているエリアの、少なくとも妊婦と子どもだけでも避難させらないだろうかとも。

 さらに先生は広島、長崎との比較から、おっしゃったのは原爆症の認定が、3.5キロ圏内でも積極認定となっていて、そのときの被爆線量は5ミリシーベルト程度だということも知ってほしいし、今起きていることの事態はもうそれどころで実は無くなりつつある現実を現実として認識してほしいとも。まったくそのとおりです。先生は公衆被曝を守るなら、年間で1ミリシーベルトを超えないためには、毎時0.12マイクロシーベルトで年間1ミリシーベルトになるとも。毎時2.4マイクロシーベルトが出続けると、妊婦ではないが、妊娠可能な女性で放射線従事者の三箇月で5ミリシーベルトという限界も越えると。この限界は公衆被曝以上に、影響が出ないための強いガードラインともおっしゃいました。もちろんモニタリングポストは外にあるから、家や職場の中を中心に過ごせば、減りますが、空気や水、食物からの内部被爆の可能性も考慮に入れると、本当はもっとシビアに考えるべきかもしれないとも。この話を受けて、先ほど福島県災害対策本部の最新の数値を確認しましたが、原発から北西40キロの飯館村で毎時7.46マイクロシーベルト、西58キロの福島市で毎時2.94マイクロシーベルト、北西61キロの郡山市で毎時2.52マイクロシーベルトでした。後は計算してみてください。東京はちなみにここのところ、毎時0.1マイクロシーベルトレベルです。

 つまり、かなりの数の皆さんが実は一定のレベル以上で、もうかなり被爆しているということです。過去に例のない尋常でない数です。東海村ですと、累積1ミリ程度の被曝を受けた600人あまりの皆さんがずっと健康診断でトレースされています。この観点から考えると健康調査も今後継続的にすべきでしょうし、被爆手帳も必要になるかもとも。村田先生は、政府が「安全」「安全」とウソをつかず、時間が経過すればどのような影響が出る可能性があるのかを明確にしなければならないともおっしゃいました。私も同感です。「人体に直ちに影響が出ない」という言葉は、今すぐに影響がでないという言い訳を伝えているだけであって、数年から十数年後に何かが起きても関係ないと言いつのる可能性は十二分にあると思います。飯館村などについてきちんと国が判断しない感覚は村田先生にも、僕にも理解できません。こんなシビアな状況が継続しているのに、「楽観視」し始めている菅直人という存在が事実ならば、もはやこの国はどうになってしまうのかという暗澹たる思いにとらわれます。

 皆さん、間違えていただきたくは無いのですが、現況の状況による分析が以上です。医療というのはおきたことに対する対処ですから、どうしても、ここまでです。そして、事態が悪化すれば状況はさらにひどくなります。きょうの東京電力の勝俣会長会見でも、核燃料を冷やすのには時間がかかると話しています。専門家の見解は早くて一年かかるといいます。最良の選択肢として、一年この状態が継続し、放射能がある程度出続けるということ。もしくは、さらなる炉心崩壊による水蒸気爆発があれば、事態は急激に悪化し、関東圏に大きな被害が出る可能性は否定できません(風向きと高度という運次第)。こうしたことが明日どうなるのか分からない中に僕らは居続けていることを嫌でも我慢して考えていただきたいと僕は思います。

 

「追記」

福島第二原発の配電盤での小さい出火らしきものがあったようです。まさか第二原発も異常事態とならないように祈るばかりですが。

 


原子炉の状態から、今後のシナリオ想定をする

2011-03-30 02:04:32 | 福島第一原発と放射能

 木下黄太です。個人のジャーナリストとして書いています。ジャーナリストは何をすべきなのかを、最近、良く考えることがあります。もちろん、いろんな答えがあるのですが、よく思うのは大政翼賛会的な戦前に近い感じの報道状況になった場合、そこに反旗を翻せるかどうかは、本質的な意味でのジャーナリストであるかどうかということのメルクマールと僕は考えています。しかも、戦前と同じく、多くの人々に影響がある状況であればあるほど、本質的に自分が取材分析し、できるかぎり皆さんの役に立ち、正しいと思う中身をきちんと伝えられるかどうかが、ジャーナリストの仕事と思います。今回の場合は、政府や東京電力の言うがままに、「思考停止」に伝える事ではなく、自分の頭で考えて、いろんな情報を精査し、やるべきことをやるのみだと考えています。そういう観点で、お前の取材や言説が、ジャーナリストと名乗るレベルに届いていないという批判は、甘んじて受けますが、それ以外の理由で、僕がジャーナリストを名乗るなという単純な脅しには、屈するつもりは全くありません。大政翼賛会にはジャーナリストはいなかったのです。戦前のジャーナリストは、ジャーナリストであり続けるためには、国家から殺害される可能性も含めた覚悟が必要でした。21世紀の日本ではそこまでの事はありません。仮に私益がほとんど失われる事があっても、公益が少しでも多く達成されるなら、やはりジャーナリストの本来あるべき仕事をし続けるのが、肝要と僕は思います。僕の友人、長井健司は命を懸けても、ミャンマー大衆の置かれている悲惨な状況を伝えました。それに比べれば、僕はまだまだだなあと思います。

  すいません、前置きが長くなりました。現在の状況で最も気になるのは、一号機の原子炉の表面温度が、一時、設計温度を超える329.3度まで上昇しました。その後、水を入れて下がり始めたようですが、高度な放射能におかされた水が大量にたまっていることもあり、やれることは大変に難しくなっています。原子炉の内部は、活発に続いていて、大変危険な状態が継続しているということです。この状態の中で、冷やし続けることしかありませんが、これだけ大量の水でも、冷やし続けることは難しいです。ちゃんとした循環器的なシステムが修復されないと根幹的な対策はありません。一号機も大量の高濃度の水をどうしようもなく、注水の量を抑えた結果が今回の状況です。方法はあまりありません。

 僕はきのう午後、大阪の泉南エリアにある、京都大学の原子炉研究所に行ってきました。今、原子炉が、原子力発電所関係でなくて、大学などにあるものは極めて少なく、この京都大学の原子炉が例外的なものです。ここに、助教の小出裕章氏がいます。原子力施設の工学的な安全性の解析がご専門です。原子炉を直接扱っている経験がある中で、原子力発電所というものについて、一貫して反対のスタンスを取り続けた、極めて珍しい立場の専門家です。現実に考えてみてください。自分自身が原子炉を専門にしているのに、それを用いた原子力発電を反対する立ち位置は、なかなかできるものではありません。しかし、小出先生は、ある意味反対するという立場が強い感じで出ている政治的な色彩の人ではなく、冷静な知識人というべき感じの方で、僕はヨーロッパ的な感覚の人だなあと思いました。四六時中、先生宛に、電話は掛かってきていましたが、足をのばした利点もあり、いろんな観点から今回の福島第一原発について、伺えました。小出先生自身、一号機から三号機まで運転は安全にとまったものの、原子炉の中での破壊はじわじわと続いている状態だと考えています。ジルコニューム菅は発熱反応で確実に破損→ヨウ素やセシウムの放出は続き→すでに多鄭変なことのだという感覚です。小出先生が都内で15日の昼ごろに取った空気中のサンプリングでは、ヨウ素が一時間に2マイクロシーベルトくらい内部被曝する量があったと話されました。モニタリングポストの値よりも、空気中などから摂る放射性物質を勘案すると、モニタリングポストの数値よりも数倍から十倍くらいの放射能に侵される可能性もあるとのこと。内部被曝が一番の問題で、まずモニタリングポストで必ず毎時何マイクロシーベルトになると、積算線量でどうなるのかということを考えながら、空気中の物質などによる内部被曝をさらに勘案してどう推し量るかがポイントのようです。ただ、小出先生は、避難の目安をどうするのかは、その人個人の生き方や人生観があるので、実は政治的判断以外に決めづらいかもと話しています。明らかに一定レベルを超えている地域は、30キロ圏の外でも避難させるべきなのと、特に自己判断が難しい、子どもが最も影響が大きいこともあるので、それでも子どもや妊婦だけでも避難させることはできないのだろうかと話していらっしゃいました。

 ところで、小出先生の内部被曝に関しての今回の説明をうかがったこともあり、吉岡先生の指摘もあったので、私自身が周辺関係者(子どもや妊婦、妊娠可能年齢の女性)に言っている避難目安の数値を僕の中で、変更しました。もろろん、僕が個人的な関係性のある方に言うことですので、全ての皆さんにあてはまるとは限りませんが。吉岡先生にならっています。

毎時2マイクロシーベルトで出来れば避難。毎時10マイクロシーベルトで避難。毎時20マイクロシーベルトで緊急避難。

 小出先生が考える今後のシナリオですが、まず炉心の大崩壊を何らかの方で食い止めることに成功した場合、格納容器も圧力容器も部分的に壊れている状況で、今のままのような状態で放射能の放出が続き、これに濃淡はそのときそのときの流れでありますが、おおきなクラッシュにはならないということです。しかしながら周辺領域も含めて、多大な放射能被害は一定程度継続されるということです。これが、ミドルリスクレベル。運がいいほうです。

 それでは、最悪想定はどのような場合でしょうか。最悪想定は、炉心の大崩壊が食い止められないということです。勿論、再臨界がおきないと主張される人々の感覚が理解できないというご様子でした。大崩壊すると当然水蒸気爆発の状況になりますから、大量の放射能が空気中に出ることになります。それだけの、爆発が起きますと周囲は線量が高すぎて、完全に作業停止となり、他の号機も時間差で次々と大崩壊→爆発のプロセスを歩むのではないのかということです。福島第一原発の核燃料はどんなに少なく見積もってもチェルノブイリの四倍程度はありますから、事態は最悪です。やはり、被害程度がどう変わるのかは、風向きと風の高度しかなく、運を天に任せるしかないという感覚です。

 さらに、現場作業員がぎりぎりの努力を続けていることに期待している立場ながらも、具体的に兵站が尽きる可能性も指摘されていて、この点からも最終的には神のみぞ知る状況とも。(僕の友人のメーカー技術者で福島第一原発関係者の懸念も同じ)

とにかく炉心の大崩壊がおこると、水蒸気の大爆発(前回以上)が必ず見られるから、これが来れば本当の危機で、風向きで風下から逃げたり、数時間は到達にかかる場所では、大掛かりな移動も検討するべきとの事。また、周辺のモニタリングポストの反応にも要注意で、特に子ども妊婦には警戒してほしいとも。

また、今飛んでいる物質でなく、バリウム、ランタンやセリウムが大量に飛んで出てくると危ないので、これらにも注意されたしと。

また、僕が当局情報として書いた、「ドライベント」は、小出先生自身「もう漏れまくりだから、格納容器の気圧は低いから、僕は必要ないと思うが」という見解でした。いずれにしても、ここまで長引く話になるとは思えなかったのが、行き着くところまで来つつある途中なのだよと僕に冷静に話されます。結局冷やしきるまで長ければ数年、早くても一年はかかるという小出先生。鉛とコンクリートや石棺作戦は燃料を冷やせないと意味が無いとも。

 原子炉の中を見られない以上、どうしても推測は多くはなりますが、小出先生の説明は、原子炉というものを知り尽くしている方からのぎりぎりの言葉でした。推進サイドの専門家から聞こえてきていません。

「危険な状態はまるでかわっていないし、本当に大量の放射能が出続けているが、現場が何とかやってくれることを願うしかないんだよ。破局は避けたい」と話す小出先生。原子力に反対している専門家が東京電力や政府批判を言い出さずに、冷静に事態の推移を見守る文言を言い続けられる姿勢は、ある意味すさまじいものがあります。もちろん、政府は今日まで小出先生には何も聞いてきていません。こういう場合こそ、ある意味国とスタンスの違う専門家にも助言を求めるものでしょうが、当然のように、何もないとの事。本質的なリスクコントロールの概念を理解しないのが日本にあるほぼ全ての組織であることを考えてみた場合、予想される結果ではありますが、「それでは、一体、あなたたちは何が大切で生きているのか?」と問いただしたくなります。破局を免れるためには、敵味方ではなく、本質的に役立つ知見を総動員するのが、僕は兵法の要と思います。そういう観点から考えた場合には、この国の政府も、東京電力も、どのような組織や会社も機能不全であるのが、今回の恐るべき事態の本当の本質であるかもとさえ、僕は思います。災厄はどこかから忍び寄るものにも見えますが、実は集合体や一人一人の心の持ち方が、その災いを余計に招くのではないのかという気さえ僕はしています。

 

「追記」

田坂広志氏が内閣官房参与になったそうです。サンマーク出版などから出ている彼の著作物を店頭で確認すれば、どのようなタイプの方かよくわかります。また、僕が長年取材していたオウム事件で、オウムサイドとの具体的な関係もあり、オウムの裏バイブルの著者でもある中沢新一氏を絶賛され、中沢氏と共著も出されている方です。このギリギリの状況のときに、菅直人という人間が、内閣官房参与に追加するのが、このような人物であることは、今の菅直人の精神状態を正確に推し量るメルクマールと思います。危機がどうであるのかを考える際に、政府トップの精神状況も大きなファクターの一つですから。

 

 

 

 


「福島原発災害にどう対処すべきか」 という専門家の直言

2011-03-29 01:20:08 | 福島第一原発と放射能

 九州大学の吉岡斉副学長・教授と話しました。吉岡教授は原子力についての社会史的な著作も書かれていて、日本では、数少ない原子力政策についての専門家です。90年代から現在までは、特に原子力開発・原子力政策・原子力問題に関する社会史的研究が中心で、97年から2000年まで、総理府原子力委員会専門委員。2001年から現在まで、内閣府原子力委員会専門委員をされています。原子力について、一歩引いた観点から研究を続けている方です。今、テレビで出ている、大半の原子力推進側の専門家と大きく見立てが異なり、吉岡教授は次のように話されています。

 まず、今後の事故展開シナリオを評価尺度をつけて、複数のシナリオで考え、作業員や住民の推定被曝線量を見積り、避難・屋内退避の目安線量を決定し、周知させることが必要と認識されていて、首都圏のような巨大都市での被曝を想定した場合、住民は公衆被曝の年間1ミリシーベルトまでが妥当ということです。

 最悪想定の場合、手のつけられなくなった福島第一原発敷地内で、原子炉および核燃料プールの破壊が次々に起こり、本当に大量の放射能が放出され、それが、数か月以上にわたって続くことも想定され、風向きや粉塵が舞い上がる高度によっては、首都圏への影響は大きく左右されるとみていらっしゃいました。

 もちろんミドルレベルでは、応急的な冷却作業が継続され、本格的な冷却機能復旧ができず、放射能の漏洩が拡大していくことも考えられ、作業不能になれば最悪想定になるとのこと。ただし、ドライベントのような緊急措置がなどにより状況を変化させられるかもしれない。ただし放射線レベルの大幅上昇の可能性もあり、一進一退の綱渡り的状況が、数か月続くことも考えられるそうです。

 勿論、望ましく終了することも想定はできるそうです。

 また、吉岡教授は作業員・住民の避難・屋内退避の目安線量については以下の点を認識してほしいとされています。
(1)緊急時には、作業員の大量被曝を、容認するものとなっている。平常時とのダブルスタンダードとなっている。
(2)緊急時には、住民の大量被曝を、容認するものとなっている。平常時とのダブルスタンダードとなっている。ただしそれは原子炉など核施設周辺の少人数の被曝を事実上の前提としたものである。

 この中で、吉岡教授が気にされていたのは(2)についてです。緊急時における公衆被曝に関する基準が緩すぎると考えられていて、現行の基準では屋内退避の目安が累積10ミリシーベルト、避難の目安が累積50ミリシーベルトとなっていること。さらに国際機関のICRP2007年勧告で示された緊急時の公衆被曝の「参考レベル」として、年間20~100ミリシーベルトの導入が検討されていることを指摘した上で、ICRPが想定している事態は、原子炉など核施設周辺の少人数の被曝を事実上の前提としたものであって、首都圏のような巨大都市に、この基準を適用すると、大量死を容認することになるのだと批判していらっしゃいました。

 それは、放射線の危険性についてのある考え方では、集団全体で足し合わせて20000ミリシーベルトを浴びるとその集団でのがん死が1名増加するという想定があるそうです。首都圏の人口は3500万人なので、集団が一様に10ミリシーベルトを浴びると、計算上では首都圏でのガンによる死者が17500名増える可能性があり、50ミリシーベルトでは、87500名の増加の可能性があります。先生は、このような大量死を容認するような基準の適用は妥当ではないとして、平時と同じ年間1ミリシーベルトを目安が望ましいという考えでした。
 

 そして、最も僕が緊張したのは、次の話でした。吉岡教授は、毎時2マイクロシーベルトで脱出の準備。次は毎時10マイクロシーベルト、さらに毎時20マイクロシーベルトで緊急脱出することを目安にせよといわれました。僕自身は毎時10マイクロシーベルトと毎時30マイクロシーベルトを目安に考えていて、他の誰よりもこの点については、かなり厳しく見積もっていたつもりだったのですが、吉岡教授に「お前はまだ甘いよ」と言われたような気分になりました。

 実はかなり多くの専門家と個別に話すと、オフレコベースでは、悲惨な想定を語る人も実はいるのですが、公に話す力のある人はほとんどいません。それもあって、吉岡教授の話を皆さんにきちんとお伝えしたいとまず思いました。

 さて、ついにプルトニウムも検出されたきょうこの頃、これで大丈夫と思っている人々やメディアの感覚は僕には理解できません。さらに福島第一原発の北西約40キロの飯舘村で、過去最悪の放射性セシウム287万ベクレルを検出。どうしようもない放射能汚染が続いている現実をなぜ認識しないのでしょうか。

 さらにトレンチにあった、高い放射線量で汚染された水の処理について、班目原子力安全委員長は「どのような形で実施できるか、原子力安全委員会では知識を持ち合わせていない」とまで話しています。原子力安全委員会は原子力の全ての専門家のトップ集団で、権能もあるはずなのに、事実上のギブアップです。なんで、彼らがここまで話しているのに、事態が切迫していることを、人々は気づかないのでしょうか。僕には理解できません。

とにかく、おきている事柄の一つ一つのピースをきちんと繋いでください。おきている事柄の実相がはっきりわかります。よろしくお願いします。

 この記事も木下黄太が書いています。とにかく個人として、ジャーナリストとしてぎりぎりの感覚で書いています。お話がある方は、メールに電話番号をいただければ、こちらから折り返しいたします。内部からの情報提供をして頂ける方は、是非ご連絡下さい。

 

 

 


東京電力は本当のことをどこまで言っているのか?どこまで事前に説明するのか?

2011-03-28 04:46:07 | 福島第一原発と放射能

  とにかく東京電力が一体、本当のことをどこまで言うのか、まったくよくわからないと思っている人が多分、世の中の大半の人々が思っていることのような気がします。僕も同じ見解です。恐らく、きのう伝わってきた、ヨウ素134の半減期が五十分くらいとかなり短いため、1000万倍というニュースが、間違いかもしれないという話になり、再調査するという感じでつたわってきています。もちろん、単純ミスの可能性もありますので、大変な現場にそういう間違いだけでしたら、詰めよる必要はないかもしれません。しかし、これがもしも間違いでなく、情報をきちんと精査せずに出したところ、ある状況を説明しなければならないために、情報を変えようとしているだけかもしれません。つまりどういうことかというと、このくらい半減期の短い放射性物質が、もしこれだけ大量に出ているとしたら、活発な核分裂反応がおきつづけている疑いを否定できないということです。これが、一定の条件が揃った再臨界というところまで、すすむのかどうか、僕には現在のところわかりません。しかし、活発な核分裂がもしおきているのなら、再臨界に進む可能性を全面的に否定することは難しいと僕は思います。そうとしたならば、この最初の発表が本当に間違いなのかどうかきちんと検証をする必要があると思います。というのも、今回の具体的なデータに関しては、実際、ほとんど東京電力が握っていて、ある意味彼らのコントロール下で情報が出されていることは否めません。ここを突き崩して、きちんとした生のデータがとれるかどうかは、実際は東京電力内部で志があって漏らしてくるような極めてまれな人物がいない限り、恐らく大変厳しい取材になるということです。ディープスロートになりうる協力者が内部にいないと本当に厳しいと思います。とすれば、ここでおきているミスが本当にミスなのかどうなのかを具体的に検証することが今の時点では難しいです。だから、疑う姿勢を僕自身は持ち続けるしかないと感じています。

 僕が、なぜこのようなことを言うのかというと、ここまで、既におかしな話があるのです。東京電力は15日午後に、3号機の周辺で400ミリシーベルトの高濃度の放射線量を計測と発表したのですが、これは午前中に枝野長官が同じ数値を発表したものです。しかし当初、東電はその内容を知らないと言い続け、事実上、否定していたのですが、結局後で、渋々認めたということがあったからです。なかなか気づかれにくい話ですが、要はできる限り、都合の悪い情報を、小出しに後出しにしていく感覚が東京電力の人々から、垣間見えてくるのです。このような状況は、大きく情報を開示するスタンスを東京電力が取っていないのではないのかという疑いを持つことにつながっています。

 どうして、きょうこんなに、東京電力の情報の取り扱いを気にしているかというと、実はこれから行う可能性があることを、東京電力が、国民に対してあきらかにしないまま、おこなう可能性も否定できないと感じているからです。官邸の当局者ときょう一番、議論になったことはドライベントをもし行う場合に、それをきちんと、国民に事前に伝えることがなされるかどうかということです。僕の知人の当局者は、ドライベントを国民に告げずに行うことは「裏切り行為」という認識をもっていますから、必ずおこなう日時を事前に告げるように、政権最高首脳に働きかけるとは確約してくれていますが、まず最高首脳が適正な判断ができるかどうかが一つのポイントになると思います。その上で、もう一つのポイントは、政府側にきちんと通告せずに東京電力サイドのみで、ドライベントをおこなう可能性があるかないかが、ギリギリ分からないのではという恐れが完全に否定できない気がするのです。

 もちろん、多くの国民の身体の安全を守るために、ドライベントの事前通告は、不可欠です。これを政府や東京電力がおこたらないよう監視の目を強くするべきですし、少しでも志がある記者の皆さんは、官邸や東京電力、保安院の会見でしつこく確認することをお薦めします(性格が悪い僕の与太話と思っていただきたいのですが、官邸にしろ、保安院にしろ、東京電力にしろ、会見に出ている記者の皆さんの大半は、詰め寄るというよりも、常に紳士淑女的な応対に終始されていて、こんな問答で相手から言質を取ることができるのか本当に不思議な気がします。国民の身体安全がここまで侵されている状況に直面している状況だから極論言うとどうやっても構わないと思いますが。まあ、僕があまりにも性格の悪い人間で、人を詰め寄るのが平気だからかもしれませんが)。

 ドライベントは当局者は放射能が最大現在の100倍といわれましたが、ある別の専門家からは10倍程度におさまるかもといわれました。それでも、避難範囲はやはり、50キロから60キロが妥当という見解でした。いずれにしても、情報開示を事前にした上で、避難範囲を適正な範囲まで広げることが必要だと感じています。

 現在の放出された放射能は、専門家によれば既に数万テラベクレルともいわれています。これは間違いなく、レベル6です。レベル7のチェルノブイリは、200万テラベクレルが放出されたともいわれています。そして福島第一原発の原子炉の中には、それよりも多い放射能が含まれています。爆発しなくても、これだけ長期間、放射能が出続ける状態が続けば、どのくらいの周辺環境に影響が出るのか、本当のところはわかっていません(チェルノブイリ以外に類例ケースはありませんし、共産圏ですから当初は情報が隠蔽された話ですから)。僕の懸念は、おさまっていません。

 

 

 

 


退避のタイミングを考える時に、ドライベントの要素から考慮してみる。

2011-03-27 04:05:10 | 福島第一原発と放射能

 この記事も木下黄太が書いています。とにかく個人として、ジャーナリストとしてぎりぎりの感覚で書いています。お話がある方は、メールに電話番号をいただければ、こちらから折り返しいたします。

 週明けにドライベントを行うと仮定してみて、当局者から聞いていいるとおり、100倍の放射性物質が放散されると仮定してみます(あくまで仮定)。わからないのは、ドライベントの影響がどのくらい時間続くのかが、いまひとつ想定できないということです。仮にドライベントをおこなってから、二、三日の間にどうゆう事がおきるのか考えて見ました。これまで、東京都では3/15から3/16にかけて、一定程度は数値はあがっていますが、17日から20日にかけて平常に近いレベルまで数値は下がっています。この後21日からこれまで0.14マイクロシーベルト程度でやや高めで推移しています。若干高めの状態なのは理由はよくわかりませんが、多分世の中で報じられているほど、原子力発電所の中でうまく処理が進んでいないのだろうと解釈しています(三号機の中はジャングル状態でどうしようもないと聞いていますから、そんなイメージで考えています)。

 これも仮に(本当に仮に)、発生二週間で平均して毎時0.14マイクロとしてみて×24時間×14日=積算線量47.04マイクロシーベルトとなります(勝手な計算式です)。この上にドライベントで100倍の放射量が二日間だけ続くと仮定してみました。すると、100×0.14×24時間×2日=672マイクロシーベルトになります。これで積算線量は、もちろんずっと屋外にいたという想定ではありますが、都内でもドライベントのあとには、700マイクロに達することになります。1ミリシーベルトは1000マイクロシーベルトですから、700マイクロシーベルトは0.7ミリシーベルトになります。公衆被曝という概念からすると、一般人の年間被曝は元々1ミリシーベルトです。放射線従事者の妊娠可能な女性は三ヶ月で5ミリシーベルトですから、都内でもドライベントは結構な感じです。東海村の臨界事故での発生二時間後より二週間の取材での僕の被曝線量は0.14~0.98ミリシーベルトの範囲内ですから、一般の都民の皆様と、東海村で長期間前線取材をした、ぼくの感じが似てくる気がします。まあ、これで全てが収まるのなら、まずは問題はないかもしれないのですが(僕は東海村の臨界事故後、最低数年間胃のレントゲンをやめました。数年間胃のレントゲンを撮らなければ線量的には考慮する必要がほぼなくなるという感覚からです。恐らく具体的に僕が問題はないかもと考えるのはそんな個人的な体験からもきています)、ただ、果たして一回で収まるのかさえも、僕は神のみぞ知る世界のような気がしています。こうして考えてみると、ドライベントを行うときに都内でさえ、妊婦や乳幼児がいるべきなのかは、僕にはかなり疑問です(少なくとも屋内退避は不可欠と思います。過剰に被曝するメリットはまるでない)。

 僕はリスクコントロールは大きく構える立ち位置の人間です。このため、現在、ある周りからは「過剰だ」と、問題視されるような人間だと認識して下さい。それを踏まえて聞いていただきたいのですが、例えば妊婦や乳幼児、子供、さらに妊娠可能年齢で将来妊娠をしたいという女性には、自分の所在近くのエリアのモニタリングポストが、一時間あたり10マイクロシーベルトを超えた場合は、できるなら脱出することを個人的には薦めています(一般の皆さんに薦めているレベルの話ではありません。僕が個人的に信頼している人間にだけ話していることです。「お前は放射能を過剰に恐れすぎだ」と批判されることは承知の上です)。その時の事情で、出ることが無理でも、準備はせよと薦めています。そして、一時間あたり30マイクロシーベルトを超えた場合は、すぐに脱出しなさいと告げています。もちろん、一時的に数値が上がっただけで、数値が数時間から数十時間単位でおさまることも考えられますから、馬鹿ジャーナリストの非科学的戯言だと批判されることは、覚悟して書いています。人の安全を考える、特にこどもや女性をどう守るのかということは、社会を未来につないでいく発想からの責務だと僕は思います。この感覚だけで、書きつづけているとご認識下さい。

 30キロ圏外の浪江町で一日で公衆被曝が1ミリシーベルトを超えているそうです。23日からの24時間に外でいて、1.4ミリシーベルトだということです。均すと一時間に60マイクロシーベルトでしょうか。このレベルのことを放置する菅直人氏の感性は、勿論、理解不能です。なぜ最低、50キロ圏だけでも、退避させないのでしょうか。さっき、ルモンドが書いていた記事を読んだのですが、民主党と連合が近いため、労働組合に配慮している、つまり連合傘下の組合の親企業に遠慮して対応が遅れているという批判の内容でした。東京電力労組、東芝労組、日立労組に配慮するあまり、親会社にも過剰に配慮しているという記事でした。もしも、そんなことがあったら許されない話ですが、私には本当なのかどうかは、判断がつかないです。ただ、「最悪の事態は、東日本がつぶれることも想定」という発言を菅直人首相が話した相手は、笹森清内閣特別顧問です。笹森氏は菅氏が選挙で最も頼りにする、連合の元会長です。そして東京電力労組の出身者です。なぜ、笹森氏がこの話を記者たちに、わざわざしたのかも、僕には大変訝しい事なのです。

 他に気になる話があります。アメリカのパスポートをもっている人は、今週金曜日の夕方までに、都内のニューサンノーホテルで、ヨード剤を配布されていたことがわかりました。 ヨード剤は、このような甲状腺の放射性ヨードの取り込みをブロックするためのものです。大量の被曝の数時間前にとれば、甲状腺ガンは食い止められる可能性があります。アメリカは都内にいるアメリカ人にも、飲むときには指示するという前提で、やれるだけのことはやっているという現実は、日本人も認識しておくべきだと僕は考えています。

追記

なぜ米軍から提供されているグローバルホークの原子炉映像を政府が公開しないのか理解不能です。日本側が撮影したものとおなじくらいというのが政府説明ですが、だとしたら公開しない理由が判然とはしません。グローバルホークの鮮明映像を公開できない裏事情があるのか疑います。

 

 


原発事故や菅総理会見からマスメディアとジャーナリズムを考える

2011-03-26 09:34:34 | 福島第一原発と放射能

この記事も木下黄太が書いています。とにかく個人として、ジャーナリストとしてぎりぎりの感覚で書いています。お話がある方は、メールに電話番号をいただければ、こちらから折り返しいたします。

福島第1原発は予断許さない状況、事態収拾に全力=菅首相(トムソンロイター) - goo ニュース

昨夜の菅直人総理の会見を見て、まあ予想通りだったのは、ご本人が自分自身で、政治の最高責任者として、突っ込んだ判断を自分の言葉で伝えることが、国民に対しておこなうことが全く出来ないということです。本当は官房副長官どまりの人材とよく言われた感じです。「イラ菅」ならまだましなのですが、この会見で、「逃げ菅」である側面も国民の目にははっきりとしてきている状態になったと思います。僕は二十年ほど前に、彼と話して、実際にはどのような人物かよく知っていますし、僕の身の回りには彼と長い付き合いのある人々も多いので、「菅は責任をとりたがらない」「自分が決めた形にして責任を背負わされるのが嫌だから、そうした局面から逃げ続ける」ということは、常識としてもっていましたが、このような重要な局面で、やはりはっきり出てきたと思います。能力面は世の中の人々が知っているよりも、実は認識する能力はあるのですが、「決断」「判断」というワードから最も縁遠い人物だと思います。僕はよく知らない人に説明するのですが、菅氏は、ターミネーターみたいなもので、機械として機能は機能するのですが、与える情報を正確に誰かがインプットし、何をそれによっておこなうかも全部インプットして、さらに誰かがgoしないと全く機能しない機械であるということです。そして、今回おそらくは、彼のキャパシティを、起きている事態が大幅に超えていて、オーバーフローしているのは、間違いありません。本人が状況を正確に捉えられていないことが、公での「光明」発言、さらに僕がお伝えした「山は越えた」発言にあらわれていると思います。だから、ああした本質的な中味が全くない会見をすることになると思います゜。国民に対して国のトップとして、責任をもってきちんとした判断、状況、そして決断を伝えるのが、総理大臣としての責務なのですが、全くそうしたことがなされない状況です。ひどすぎます。論外です。

 さて、こうした時にメディアが何を伝えるのかですが、NHKの総理会見の中継を見ていても、中味が無いためでしょうが、中継した後に全くスタジオでも受けず、ニュースの次の項目に進むという判断をしていました。ある意味では良心なのだと思います。伝える意味がほとんどないことを、項目的にフォローしないことで示していると思いました。

 NHKに限らず、多分、現在のマスコミのしていることを見ていると、踏み込んで報じることを微妙に避け続けていて、安全に近づいているという感覚を醸し出すことに専念しているようです。ほぼ全てのマスメディアに共通していると思います。これは、公にもおのおのの組織内で語られているかもしれませんが(煽るなとか風評被害を避けろとかというワードで)、それよりもなんとなく自分達も含めた危機が目前にあるかもしれないという状況を直視したくないという微妙な「思考停止」になっていると思います。もちろん、その「思考停止」的なマスメディアの感覚が正しければ、僕は何も言うことはありませんし、僕自身が、判断を誤ったジャーナリストというだけで終わる話です。ただし、一つ一つ、おきている事象や状況を考えたときに間違いなく、事態の状況は大きく好転していませんし、この情勢を危機的な感覚だと本来伝えるべきというのがマスメディアがあるべき姿と僕は思います。

 ただ、マスメディアが難しくなっているのは、事態が複雑になればなるほど、確定的な事実がつかめないことです(現状でも、政府官邸さえ全ての情報を掌握していない疑いまで、僕は持っています)。ほとんど政府発表、東京電力発表を流すことに専念し、ほぼ全ての専門家が多かれ少なかれ、原子力を推進していた人々の言説で埋められていくということになっています。「何が正しいかわからない」という事から、実は「政府広報機関」「東京電力広報機関」の役割以外に役割がなくなりつつあるというのが、今のマスメディア実際の状況だろうと僕は考えています。僕自身にとって、そこは最もひっかかるところの一つで、ジャーナリズムという観点から考えていく場合、マスメディアのスタンスと僕個人のスタンスは大きく異なるという感覚が凄まじく強くなっているということです。

 本来、危機が訪れているかもしれないという警鐘を鳴らすのが、ジャーナリズムであって、ジャーナリストの仕事だと僕は思います。平時でもそうですが、今はまさに有事です。こうした時にこそ、ジャーナリストは、自分が間違えた場合には、後々罵られる可能性も踏まえた上で、自分が知りつかんだ情報や公の情報をベースにして、今何が起きているかということを、そればかりか、これから何が起こりうるのかということを、自分の分析と判断に基づいて、公に語ることこそ、ジャーナリストの本質的な仕事だと僕は確信しています。ぎりぎりの判断をしながらも、語り続けなければならないと僕は確信しています。これが責務です。その観点から考えると、現在、僕が出来得ることはこのブログを通じて、語り続けることしかできないかもしれません。マスメディアと比べれば、まったく非力です。ただし、この状況の中で、自分が何をおこなうかという事が、僕自身の人生にとって大きな判断だと思うものですから、こうしたことをおこなっています。自分がどこまで、ジャーナリストとしての能力があるのかどうかを、自分で自分を問い詰めることしかないと感じています。

今回の事態の関係者にお願いです。もし何か伝えられないことで、伝えるべき中味があればメールで連絡してください。こちらから必ずお電話いたします。

 

 

 

 


“緊急速報”ドライベント検討。大気中に100倍の放射能も。

2011-03-25 16:57:57 | 福島第一原発と放射能

申し訳ありませんが、情報ソースは明かすことはできません。勿論、当局者です。

現在の作業がうまく行かない場合、近日中にドライベントをおこなう可能性を示唆されました。

関東は数日、好天で雨が降らない可能性が強いこともあります。

破局をむかえるよりは、もちろん、よい方策ではありますが、

結果的には大気中に最大で100倍程度の放射能が出る可能性があるともいわれました。

圧力がここまでになり続けている以上、やるしかないでしょうが、僕の知り合いの福島原発に過去に携わった技術者は、容器などの破損などがおこるまでにやった方がよかったとはいっていました。少し遅すぎると。

周囲100キロの退避は、かなり現実味をおびてきていると僕は感じています。

もちろん、ドライベントはこちらが意図しておこなうことですから、

風向きなども最大限配慮しておこなうとは思います。全て計算どおりにはいかないとしても。

とりあえず重要な情報なので、速報としてお伝えしておきます。

 

この記事も木下黄太が書いています。とにかく個人として、ジャーナリストとしてぎりぎりの感覚で書いています。お話がある方は、メールに電話番号をいただければ、こちらから折り返しいたします。

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ドライベント

英語:dry vent

原子炉圧力容器から放射性物質外部排出する際に、水を通さないで排出すること。

通常原子炉内で発生した放射性物質は、水を通して外部排出される。これにより、放射性物質の量が減るとされる

ドライベントでは、通常排出方法よりも多い放射性物質外部排出される。

現時点での僕の提言

2011-03-25 13:49:48 | 福島第一原発と放射能

原発から20~30キロ圏内の自主避難呼びかけ 枝野氏(朝日新聞) - goo ニュース

僕は、いまだに、自主退避という言い訳を続けている政府の考えを承服できません。このようなずるずるとした判断の遅れが大きな致命傷となります。きちんと、国民の安全を考えて、即時に判断し、政治主導で思い切った判断をするべきです。それが政治です。放射能は漏れ続けています。四十キロエリアでも高い放射能は出ています。政府には一刻の猶予もなりません。

以下は、現時点での僕の考えの提言です。

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現況の放射線量で、一定期間このままの状況が続くと仮定して、まず周辺半径40キロのエリアでも、外部に居続けた場合という特異な想定ではあるりますが、積算線量が100ミリシーベルトを超える被曝の可能性が出たことがポイントです。
 積算線量というのは、公衆被曝という考え方であれば、本来年間1ミリシーベルトを越えるべきではありません。  ICRPP2007による公衆被爆は年間1ミリシーベルトがラインです。もう少し、幅を持たせて考えてみても、、放射線関連の業務従事者というレベルで、被曝線量がどこまで許されるのかは、妊婦ではない、妊娠可能な女性という場合でも、三ヶ月間につき五ミリシーベルトを超えないようにするのが法的な枠。とすれば、積算線量で五ミリシーベルトは一般人に許容させていい本当の限界(勿論望ましくはない)。大きく悪化もしない変わりに、現在の状況が大きく好転しない想定で、屋外に居続ける想定で、発生からの積算線量が、発生から一ヶ月間を経過した時点で(現在二週間経過)、五ミリシーベルトを越える範囲は退避させるべき。既に100ミリシーベルトを越えている地点(四十キロエリア)などは当然のことです。近隣県ではそのレベルはないと思います。とすれば、福島県内の福島第一原発の半径五十キロは現時点のみの情報でも、全面退避を判断するべきだと思います。ある専門医も「 小児の甲状腺がんが将来的に出てくる可能性は十分に考えられるレベルの数値」とのことです。現況がそうなのです。この判断を誤ると、将来、政府が判断が遅れたため、子供がガンになったとして、国が訴えられる可能性も出てきます。国の判断ミスが問われます。この事態を先取りして、対応する必要があります。最低でも、半径五十キロの全面退避の英断をすべきと強く進言いたします。

 次の想定は、もっと何かがおきたときに、どう考えるのかということです。三号機の状況なども見ると事態は「光明が差した」というレベルではありません。この福島第一原発に過去に長期間、関わった、メーカーのある技術者は、「人的な体制から考えると、たぶん、もうもたないと思う。」と話しています。彼の見立てだと、作業員が実際に現場に入れる作業時間が、線量が高くて、一人当たり短時間しかたぶん機能できないため、どうにもならないだろうということです。あそこで作業のできる
能力がある作業員はそもそも少なく、現場がジャングルのような状態で、元々建設時から携わっていない人々が無茶苦茶になっている配管をつないでいくこと自体、極めて難しい作業だろうと話しています。さらに、例えばある作業員が1回当たりに
入れる時間が三十分。一日3回程度が限界とすると、ほとんど実効性ある作業がままなりません。しかも、家族などが「死なないために、会社をやめてくれ」と懇願しているのが普通の感覚で、そうした中で命懸けの作業がすでに二週間。極めて厳しいです。作業員があそこまで、被曝をしている状態を考えると、3号機の原子炉が損傷しているのは、ほぼ間違いないでしょうし、プルサーマルであることを考える
と、プルトニウムも出ている可能性もあり、危険度は、ウランよりも増大することは間違いありません。何かのアクシデントで高濃度の放射性物質がさらに漏れ出す可能性は否定できません。
 その場合、本当に高濃度の放射性物質が広範囲に降る可能性は否定できません。アメリカが自国民は80キロ圏外に避難させています。これと同じ感覚で周辺100キロ圏を退避させるべきと思います。少なくとも肉体的に影響が大きいと見られる、妊婦、乳幼児、小学生などの子供、妊娠可能な若い女性だけでも、優先順位をつけてこのエリアからは退避させるべきだと思います。

 中性子線が、12日から14日に計13回検出されていたことは要注意です。東電は観測データの計算ミスで、わずかな量だったと説明はしていますが、中性子線がどのような形で出続けているのか、もうないのかを徹底して確認をしてください。
中性子線は大きなメルクマールです。

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《参考》

『放射線業務従事者の被ばく限度』

第四条  事業者は、管理区域内において放射線業務に従事す
る労働者(以下「放射線業務従事者」という。)の受ける実効
線量が五年間につき百ミリシーベルトを超えず、かつ、一年間
につき五十ミリシーベルトを超えないようにしなければならな
い。

2  事業者は、前項の規定にかかわらず、女性の放射線業務
従事者(妊娠する可能性がないと診断されたもの及び第六条に
規定するものを除く。)の受ける実効線量については、三月間
につき五ミリシーベルトを超えないようにしなければならない


第六条  事業者は、妊娠と診断された女性の放射線業務従事
者の受ける線量が、妊娠と診断されたときから出産までの間(
以下「妊娠中」という。)につき次の各号に掲げる線量の区分
に応じて、それぞれ当該各号に定める値を超えないようにしな
ければならない。
一  内部被ばくによる実効線量については、一ミリシーベルト
二  腹部表面に受ける等価線量については、二ミリシーベルト
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木下黄太です。とにかく個人として、ジャーナリストとしてぎりぎりの感覚で書いています。お話がある方は、メールに電話番号をいただければ、こちらから折り返しいたします。

 


日本産科婦人科学会のメッセージを精読してください。

2011-03-24 21:32:10 | 福島第一原発と放射能

水道水などに関しての産婦人科学会の表明です。

大手メディアは今の水道水を問題のない根拠として、この文書に基づいてニュースを作っていますが、ニュースのニュアンスと文書のニュアンスはかなり違います。今、NHKのニュースを見て、その後、確認をしてかなりびっくりしました。ご自身でご覧になって、確認してください。学問的に、安全を担保しているとはかなり言い難いと僕は読みます。

http://www.jsog.or.jp/news/pdf/announce_20110324.pdf

発生当時、かなり隠蔽されたチェルノブイリ以外に、これだけ広範囲に放射能汚染がおこったケースは世界的に一度もありません。間違わないで下さい。皆さんが直面している事態は、かってだれも経験していない事柄です。本当にこの事態でもどのような影響があるのか、はっきりわかっている人は、一人もいません。推察があたる保証は実はありません。僕は現在、一個人の立場で綴っていますから、少し前の僕とは異なり、メディアへの影響力はほぼゼロです。ゼロである以上、自己責任しかありませんが、ジャーナリストは本来、その立ち位置しかありません。というか、ジャーナリストというものは本質的にそういうものだと僕は自覚しています。メディアが全体としてジャーリズムとして機能する場合は、大本営発表にならないように、思考停止しないように、きちんとした現実把握と現状分析に基づいた上での、一定の批判精神に基づいて、この事態を伝えるべきだと思いますが、国内のほぼ全てのメディアは、その状態ではないとしか僕には思えません。大丈夫なら、本当に大丈夫なら、これほど望ましいことはありませんが、そうならない想定を立てないメディアが、「メディアとしての機能を果たした」と、何ヶ月か後に胸を張って言えるのでしょうか?僕には理解できません。

 

 


屋内退避は非現実。全面退避圏を広げなければ政府の責任は重い。

2011-03-24 20:38:05 | 福島第一原発と放射能

木下黄太です。一個人として、できる限り書き続けたいと思っています。組織ではなく、僕個人が、ジャーナリストとして戦いを続けています。何かお話がある方がいれば、電話番号を明記したメールをいただければお電話します。

今後どうなるのかということとは、全く別として、現段階で、二十キロ以上三十キロ以内を、屋内退避をさせていることには意味が無い。物資葉の搬入もままならないまま、屋内退避をさせるという感覚が全く理解できません。現況の状況のままが仮に続くという想定の場合でも、健康被害を防ぐためには、最低限50キロの全面退避をさせることが、政府には迅速に求められていると僕は考えています。(発生から外に居続けた場合、四十キロ圏で100ミリシーベルトの被曝試算を一体どう考えているのでしょうか?僕には理解できません)

今おこっていないことで、判断しろと言っている訳ではなく、現況おきている状況を考えると、避難は拡大するしかないのが僕の考えです。それは、最低五十キロです。次におこることを想定したら、百キロ圏での全面退避しか選択肢はないと僕は思います。

悪いイメージを広げたくない、パニックはおこしたくない。気持ちはわかります。「指示を出すことで危険がさらに広がったという間違ったメッセージになってはいけない。社会的な必要性を精査している。」こんなことを言うのは官房長官として事態が進んだときの言い訳にすぎません。こんな言い訳を続けることが一体国民に何のメリットがあるのでしょうか。必要があれば、必要があった時点で退避させる。事前に言い分けするメリットは僕には全く感じられません。時間は刻一刻と過ぎてゆくのです。

間に合わなければ、政府の責任は決定的になります。

 

 

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20~30キロ圏の避難検討=農家補償、政府買い取りも(時事通信) - goo ニュース

20~30キロ圏の避難検討=農家補償、政府買い取りも

2011年3月24日(木)20:03

 

 枝野幸男官房長官は24日午後の記者会見で、福島第1原発から半径20~30キロ圏内の屋内退避対象者について「長期にわたってきており、今のままのやり方で屋内退避を継続できるかどうか検証を指示している。放射線の問題とは別に社会的な要請で対応をどうするか検討はしなければいけない」と述べ、同圏内からの避難を検討する考えを示した。

 屋内退避対象地域では、既に圏外に避難した人も多く、店舗が閉店したり、生活物資が届きにくくなったりしている。24日の政府と与野党との震災対策合同会議実務者会合でも、野党から「(住民は)飢え死に寸前だ。避難勧告を出すべきだ」(斉藤鉄夫公明党幹事長代行)との意見が相次いだ。

 ただ、枝野長官は会見で、避難勧告について「そういった指示を出すことで危険がさらに広がったと間違ったメッセージになってはいけない。社会的な必要性を精査している」とも語り、慎重に判断する姿勢を強調した。

 一方、枝野長官は野菜などから放射性物質が検出され、出荷制限を受けた生産農家への補償について「あまり遅ければ、当面の生活に関わってくる。(農作物などを)買い上げるのは一つの提案だ」と述べ、政府による買い取りも選択肢との認識を示した。 

[時事通信社]


原子力安全委員会は国民の安全を守れる可能性があるのか。

2011-03-24 10:16:01 | 福島第一原発と放射能

 木下黄太です。一個人として、できる限り書き続けたいと思っています。組織ではなく、僕個人が、ジャーナリストとしてぎりぎりの戦いを続けています。少しでも、わかっていただける方がいれば嬉しいです。何かお話がある方がいれば、電話番号を明記したメールをいただければお電話します。

 原子力安全委員会の班目委員長の夜の会見は気になるポイントはやはり原子炉です。彼は1号機はかなり溶融している可能性を指摘し、、最も危険な状態が継続という認識のようです。圧力の上昇と温度上昇が続いています。もともとの設計だと大体300度想定なのが、すでに一時は400度を上回ったそうです。「炉の破壊を防ぐ検討」という言葉からしても、実はかなりの危険がありうると想定すべきです。圧力もかなり不安定です。というか圧力は上がっています。圧力を下げるためには圧力容器の弁を開けざるおえず、本日中にもその決断をせざる終えないのかもしれないようです。圧力容器が大きく破損する事態になったら、大変な状況ですから、開ける以外の方法はないのでしょう。それは理解できます。しかしながら、当然のことですが、水蒸気に混じってある程度、濃度の高い放射性物質が多く出ることは間違いありません。きのう書いた、水道水や食品にまつわる危惧は、良い方向に動く可能性はさらに低くなったと私は思います。多分、きょうの作業はぎりぎりの判断なのだろうと僕は思います。うまくいけばよいのですが。現在のところ先ほどの保安院の会見によれば、一号機はかなり圧力が変化し始めているようですので、少し様子を見るのかもしれません。ただし安心は出来ないと思います。温度と圧力の微妙なバランスは続いています。ちなみに、三号機は黒煙がとまっているようです。こちらも微妙な状況です。

原子力安全委員会の委員長が今回の事態を受けて、これまで公の場で発言を初めてです。本当なら事態が掌握されつつあるので、委員長が出てきたと好意的に解釈したいところですが、会見の内容を聞いていると、原子力政策全体が、元々大きく間違えていたのではないのかという思いを強くするばかりです。国民に対して安全を説くこともろくに出来ず、どうやら混乱する官邸とともになすべきことを見失っている様子がよくわかります。原子力の政策にまつわる知見を決定的に有しているという人々が、このレベルで絶対安全というワードを錦の御旗に掲げ続けていたことに驚愕するばかりです。

 さらに注意しなければならないのは、この人たちがきちんとした形で最悪想定をたてているのか。さらに、たてている最悪想定をきちんと国民にオープンにする担保があるかどうかが、きちんとわからないということです。原子力安全委員会は、昨夜、はじめて放射性物質の拡散予測の試算を公表しています。被曝線量を予測する「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」によるものですが、半径30キロの屋内退避の外、おそらく40キロのエリアでも、100ミリシーベルトを超える内部被曝の可能性を示唆しました。下記に文書のリンクをはっています。もちろんきわめて厳しい条件(発生からずっと外に居る)で計算しているので、通常はこうはならないと話していますが、厳しい条件とはいえ、100ミリシーベルトという被曝線量が、あわせてですが、カウントできる状況というのはというのは僕には、驚きです。僕は東海村の臨界被曝事故の際に、発生二時間後から現地入りをして、夕方まで東海村周辺で取材し、夜は一旦水戸まで退避しましたが、翌日すぐに、東海村に戻り、二週間以上現地におりました。僕の被曝総量は、政府による後の推測計算でも、総量は1ミリシーベルトにも満たないものでした。このときは、このくらいでもぎりぎりの判断を迫られた記憶があります。僕は元々、緊急事態を踏まえて全面的に100キロ圏外に退避することを主張していますが、この被曝のような状況があるのであれば、今すぐに、50キロ圏の住民をなぜ政府が退避させないのか、僕には全く理解できません。思っている以上に周辺にも被曝は広がっています。ただちに健康被害は出ないということと、将来にわたっても大丈夫だと政府が担保しているわけではないということです。事態が本当に切迫して、どうにもならなくなるまで、恐らくは、明確に全ての情報がオープンにされる訳ではありません。政府が判断していることが、絶対に大丈夫といえることは無いと思います。官房長官が自らが、楽観的な報道をしている向きもあるが今後の推移はわからないと発言しているのは、ぎりぎりの感覚の中で、枝野氏は発言しているとは思います。ある意味、「思考停止」していて、国民本位の感覚を喪失しているマスメディアよりもまともかもしれませんが。もちろんだからといって現政府がまともとはいいません。特に「山は越えた」発言の菅総理は論外です。

http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf#search='SPEEDI'

後、気になるのは正門付近で、中性子線が、12日から14日に計13回検出されていたそうです。東電は観測データの計算ミスで、わずかな量だったと説明はしていますが、中性子線は決定的なメルクマークなのでさらに注意したいと考えています。

 

 

 


各地で放射性物質が検出され、放射線量もあがっているという懸念

2011-03-23 21:33:10 | 福島第一原発と放射能

 木下黄太です。一個人として、きょうも、できる限り書き続けたいと思っています。組織ではなく、僕個人がジャーナリストとしてぎりぎりの戦いを続けています。少しでも、わかっていただける方がいれば嬉しいです。何かお話がある方がいれば、電話番号を明記したメールをいただければお電話します。

 この時点で、もう書くまでもないことですが、東京都の金町浄水場の水道水は、22日朝にヨウ素131が、210ベクレル検出されました。一歳未満の乳児の基準の二倍以上になります。今回だけ検出されて、これ以上検出されないのなら、特に問題はありませんが、今回限りという担保もありませんし、普通この状況が続くのであれば、常識的に考えて、こうした放射能汚染が減少していくと推測するのが変です。半減期から考えても、専門家は三箇月は減らないだろうと考えています。専門家は、乳児、子供、妊婦は避けたほうがよいと僕には話しています。粉塵が舞っているわけですから、放射性の粉塵は舞い続けています。事態は間違えないで下さい、続いています。雨は今晩も降っています。東京の水道までこの時点で影響が及んできているのをどう考えるのかということです。現時点で摂取しても問題が無いということは、あくまで現時点の一時の放射能は問題がなくても、これを毎日毎日、摂取し続けたり、さらに放射性物質の検出量が増え続けると、早晩とんでもないことになります。常陸太田でも二倍以上の水道水の検出があったそうです。

野菜や土壌でも気になる数値が出始めています。周囲四十キロあたりでも、土壌で放射性ヨウ素が117万ベクレル、放射性セシウムが16万3000ベクレルが検出。これも現時点で問題ないというフレーズがありますが、本当に問題のないレベルの数値とは思えません。常識的に考えると、このような四十キロ圏でも、居ていいとは思えません。できれば、従来から指摘しているように、100キロ圏内の皆さんを、できる限り安全に退避させるべきと思います。せっかく奮闘している現場の力を考えると、その延びた時間の中で、万が一の場合でも、安全な人々を増やしたいと強く願いたいです。

こうした数値を考えるときに、いろんなことを考えてゆくと、実は検体のサンプリングの場所がなぜどうしてここなのかを問い詰める作業は必要です。サンプリングがどういう場所でなされているかで、数値を下げても見せる可能性もあります。検体の数も重要です。検体を一定数きちんとサンプリングしているかどうかも大切です。野菜などもどの部分も計っているのか、野菜を洗浄したかしてないかも、ポイントです。浄水場も入りと出口で数値が違う場合は大きいです。また各家庭の蛇口で数値を計っているものがあるかどうかもポイントになります。これが、行政にとっては一番つらい数値だそうです。数値を取るときに適正な数値を出そうとするばかりではありません。極力数値を低く見せる努力をする場合もあることを忘れるわけにはいきません。

  ある専門家にいわせれば、子供と妊婦は、少なくともこの放射性物質の被曝について、厚生労働省は緊急対策を取るべきだと考えています。アメリカと話して、きちんとした量のヨードを与える作業を進めるべきと話しています。体の中に放射性物質が、実は都民でも入り始めている状態があることを、いい加減もう認識すべきではないのかという見解です。

この専門家によれば、この状況の中、日本のために、守るべき順番は次の通りです。①妊婦、②乳幼児、③子供、④出産可能な女性。この人たちが、線源から極力遠ざかるべきでしょうし、汚染されている水や野菜を取るべきではないという立場です。

シビアな状況です。福島県内のみならず、北関東、さらには都内の水道まで、事は広がってきています。これを甘く見る話ではありません。事態は混迷していますが、もっともっと状況は悪化する可能性が高くなっているということです。

さらに本日も、三号機から黒煙が出ています。黒煙です。水蒸気ではありません。何が原因かわからないということですが、まともな状態ではもちろんありません。あれだけ壊れている三号機の原子炉周りが、電源を通して冷却装置などが完全に復旧できると考える方が不思議です。四号機のプールの状況は改善したという見立てもありますが(アメリカが最も心配していたのは四号機と聞きました)、綱渡りは、今も続いていると考えるべきです。僕の懸念は全く変わりません。最悪想定は可能性は減っていないと思います。ほとんど姿を見せない菅直人は一体何をやっているのでしょうか。下に当たるしか能が無いイラ菅をいつまで続けているのでしょうか?

 追伸

微量の放射性物質が付着していてFCR画像に黒点が映る現象がおきているそうですね。http://fujifilm.jp/important/article_20110322.html

 


もし何かがおきたときの被害想定を考える

2011-03-22 18:10:52 | 福島第一原発と放射能

木下黄太です。この記事も、僕、一個人として書いております。何かお話がある方は、電話番号を明記したメールをいただければ、お電話します。

もし万が一の(私個人は万が一という低い確率とは考えておりませんが)事態が起きたときにどう考えればよいのでしょうか。こうした際に被害という見地からある専門家に聞いてみました。もちろん、その専門家も「絶対にこうなります」と断言することはできません。それでも自らの知見の中で、出来うる限りのことをするしかないと考えています。彼は、かって東海村の臨界被曝事故の際に住民やJCO職員の被爆によるDNA破損を調べたこともあり、近年、被爆という問題についてはかなりビビットな専門家です。僕自身は、もちろん原発専門のジャーナリストではありませんが、東海村の臨界被曝事故の際には、発生直後に現場近くに向かい、役場で中継対応などもしましたし、中性子線がおそらく出ていることがわかり、一旦、東海村役場を退避したものの、結局その後二週間ほど東海村で現場キャップをやり続けた経験があり(おそらく最後までいたのはNHK地元デスクと僕だけでした)、自分の被爆量に関しても厳密にチェックした記憶があります。国が算出する被爆量は少なめで、おそらく反原発グループとの間に七倍近く開きがあったことがあります。このため、国以外の専門家にも自分の被爆による影響を調べるために色んなことをしてみたのですが、まだ学問的には厳密に正しいかどうかははっきりはしていないものの、一応目安になるものとして、DNAの破損をある方式で調べてみたことがあります。こうしたことも踏まえている専門家の話です。

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連鎖爆発はあるが、瞬時に連鎖的におこるのは使用済み核燃料のみ。
破壊レベルの爆風のレベルは首都圏までは及ばない。
ただし、爆発の規模があのくらいの使用済み燃料の量で実際どのようにどうなるのかはわからないが。いずれにしてもむき出しの使用済みの核燃料が極めて危険。
格納容器の中のものは一定時間はともかくはもつけれども(一定時間ですけど)、
むき出しのものは連鎖して爆発する。爆風のレベルはたいしたことが無くても、
高濃度の放射性物質となって大気中に放散される。粉塵。このところの
風の方向から見て、首都圏か太平洋の海側に流れるかどちらかの可能性が高い。
海側に流れれば被害は少なくなる。最良のシナリオ。そういうこともあるのか、CNNは最近福島近辺の風の方向を細かく報じている。
首都圏方向へは場合、特に福島→栃木→埼玉→東京と旋回しながら動く風の可能性が割合に多いこともあるようだ。この場合は首都圏は高濃度放射性物質で蝕まれる可能性が極めて高くなる。
しかも、粉塵暴露は人体には長い時間かけて蝕まれていく。
発ガンリスクは高い。

幼児、子供、妊婦はできれば早く遠方に逃げた方が良い。妊娠可能な未婚女性がそれに続く。

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ちなみに、さっき見つけたのですが、北里大学で緊急時も含めてどうするのかを書いたサイトがあります。

http://csnw.ahs.kitasato-u.ac.jp/_ts/quake/

これも参考として読んでください。勿論一般公開したものなので、とりあえずは楽観的な見地から書いています。特に大規模爆発は起きないという想定だと。しかし、何かが起きた場合に、どう逃げられるのか、あるいはどう逃げられないのかを詳しく書いているのを、どう考えるのかだということです。僕は文脈の読める人に対して、実は書いていると思っています。どういう状況だと逃げやすくて、どういう状況だと逃げにくいのでしょうか。

 僕が考える一例ですが、高層ビルの場合は特にむずかしいかもしれません。離れることが許されない業務を進行することを会社から強制される場合、数千人単位でビルの中にいると脱出はきわめて難しくなりくます。粉塵がくるまで、おそらく、数時間の余裕があっても、脱出手段が用意されることは考えにくいです。水道水が飲めず、空調が止まり、その中でビルの中に数千人の人間がいると、ペットボトルとカンパンくらいなら2,3日しかもちません。ガラス張りのビルだと空調無しでの温度調節も厳しいです。人数が少なければ何とかなることも、人数が多ければ大変です。高濃度の中を命懸けで脱出するのか、ビルの中で凄惨な状況を迎えるのか、二つに一つの選択肢しかない場合も想定できると僕は思います。
 今回のことが何が難しいのかというと、本当にどのような事態になるのかをわかっている人は専門家にも一人もいないということです。経験値が無いことを人間はいったいどういう風に考えて生きていけるのかということです。僕個人は、「妄想が強い臆病者」と言われるレベルの人間ですので、世の皆さんと違って十二分な知見があるとはいいません。それでも、自分が近年起きた東海村のケースも遭遇していることやその後原子力という問題について、ずっと疑問を感じていたこと。たまたま現政権、総理大臣菅直人氏をはじめ官邸内部に、取材を介してではなく、直接知っている人物が複数いることで、ある程度の状況が直接わかること。菅氏本人の人間としての能力、こうした非常時における決断力や情報の精査を適正に行えるのかどうかという能力に、僕個人として、大きな疑問を持っていること(菅氏とあることで二十年ほど前に飲み屋でサシで長時間議論したことなどからの判断です)。いろんな状況を見て、これ以上は何もおこらないという幸福な結末に至ると、僕は、現在、強くは思えていないということです。

緊急時が起きた場合にどうするのかということは、個人個人に求められる判断です。その人が自分の生き方をどうするのか、どう考えるのかということです。これは誰も決めてくれません。あなた個人が決めることです。津波の映像でびっくりしたのは、一目散に逃げる人ばかりでなく、迫り来る波を暢気に見ていた人もいたことです。こうなってくると、人間というものは不思議なものですし、リスクということを目前に突きつけられても、見たくない人々が大多数であるのが、実は現実なのだとも思います。もちろん、リスクはリスクですから、常に悪い事態にはなるとは限りませんが、それでも襲ってくるものは襲ってきます。世というのは、そういうものです。

 



       


福島第一原発の100キロ圏内の皆さんを圏外退避させるべきだとおもいます。

2011-03-21 14:48:42 | 福島第一原発と放射能

木下黄太です。

このブログは現在は僕個人の見解を述べているものです。
今回も、個人のジャーナリストとして、
一人の人間として、僕がこう思っていることを伝えます。
この震災がおきてから、原発についての事を書くべきなのか
ここ数日、僕は逡巡しました。

皆さんにパニックをおこさせたいとは思いませんが、
このまま事態が決定的に好転しない中で、
何も話をしないわけには人間の良心として許されないと
僕は思いました。

勿論、
僕が「妄想」を喚きたてているとおっしゃっている
「良識人」もいらっしゃいますので、
僕の見解を、極力、冷めた目で聞いていただきたいです。
「妄想癖」のあるおかしい木下が喚きたてている戯言と
思われても、それはそれまでと感じながら書いています。

このブログはジャーナリストの長井健司がおこなったことから
カメラの返還をもとめる署名を僕がスタートさせて、
外国政府が
長井さんの命を奪ったことに対しての
怒りを伝えることが大きな目的になっています。
長井さんは、自分の命を犠牲にして、
ミャンマーの民衆がおかれている状況を
伝えたことで世界に衝撃を与えました。

しかしながら、長井さんと僕の考え方の違い、
というよりも根幹のスタンスの違いは
ジャーナリストは生死を掛けるものではあっても、
極力その危険を避けるべきであるということです。
僕は長井さんよりも、臆病者であって、
卑怯者であると自覚しています。
しかしながら危険に身をさらすことを
どこまで自分が許容するのかという根幹について
安易なヒロイズムは絶対に避けるべきと
僕は感じているからです。

それでも、僕の友人でもあった長井さんが存命ならば、
おそらくこの福島原発の惨状が本当は何であるのか、
命懸けで現地に潜入し、
証拠映像を撮影し、世間に公表することで
状況を変えようとしたのではないかとも思います。

ただし、臆病者の僕にはとてもできません。
なぜなら放射能は人間が勝てる相手ではありません。

僕が何ができるのかずっと考えました。
まず当初の東日本大震災報道であれば
人命の救助に少しでもつながる情報を
メディアを通じて出来る限り出し続け、
考えられる限りのことを政府関係者にも話しました。

それは福島第一原発の問題がはっきり認識されたところから
大きくフェィズがことなりました。

福島第一原発は
基本的に原子力の利用に心理的には
元々反対の気持ちが強い僕にとっては
福島の浜通りにある老朽化した施設という印象が
きわめて強いものです。
もちろん海岸沿いにあったので
当然、震災や津波には一定程度配慮をしていると
これまでは勝手に思っていました。
しかしながら、
補助電源が海側にあるなど
きちんとした配慮がなされていない発電所であったことは
あきらかだなと僕は今は思います。

さらに今回の異常事態は
僕の情報源からの情報では
全く想定外の出来事の連続であったことがわかっています。
僕はこの原発に
オペレーション上にどのようなことがおきるのか
色んな形で想定を考えて
シュミレーションを策定している人々がいます。
こうした人々の想定を
はるかに超える状態が続いていると僕の情報源は話しています。

もちろん、いろいろな形で水で冷やし続けるというのは
最も重要な方法で、
まっとうな方法は、極論するとそれしかありません。
それを命懸けでされ続けている
消防、警察、自衛隊、東京電力関連作業員の努力には感謝し続ける以外、言葉はありません。

ただこれはあくまで対処方法です。
根本的な解決にはなりません。(もちろん、時間は稼げます)
電源の復旧がうまくいって、冷却装置が稼動して、
問題なく回復すれば、何も言うことはありません。
そうなることを願い続けてはいます。

しかしながら、うまくいかないことも
僕は想定すべきだと考えています。
映像で見る限り、水素爆発で
破損程度のかなりひどい三号機は素人目に見ても
電源が通れば冷却システムが
復旧するという話が御伽噺にしか聞こえません。
もし、それで何とかなるのなら、
どうして東京電力は直ちに電源に手をつけなかったのか、
僕はずっと疑いの目で見ています。
うまくいかなかった場合、一体何がおこりうるのか
僕はわからないと考えています。

ここで気になっているのがアメリカの判断です。
スリーマイル島の事故も経験し、
原子力の開発について兵器レベルでも
圧倒的な知見を有していて、
なおかつ日本国内でも大気中のサンプル採取なども
独自に行えますし、
偵察機や衛星などで、福島原発についての独自情報が
収集しできて、
さらに日本政府からも情報を
容易に得られます。

そのアメリカは
マニュアル的な手続きではありますが
自国民を
半径80キロ圏内から退避させました。
この圏内にはいてはいけないということです。

関東圏では二百キロ以上は離れている
横田基地や厚木基地などから家族の国外退避は
すでにはじまったときいています。
さらに、横須賀の米軍基地では、
万が一の場合を想定して、
佐世保に本部機能を移すための準備作業が
おこなわれているとも僕は聞いています。
部隊とともに移動を打診された人もいます。

チェルノブイリと状況も違いますので
同じレベルになるとは確実には言えませんが
あのときは高濃度の放射性物質が
半径200キロから300キロくらいでも
降った事は間違いありません。
下記の地図を見れば一目瞭然です。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/07/Chornobyl_radiation_map.jpg
もちろん風向きがおおきな要素です。
そこによって状況は大きく異なります。
そして、今回の福島原発の事態が、悪化して事が起きた場合、
周囲100キロくらいには確実に影響が出ると僕は想定します。
専門家の中で同じよう最悪想定を立てている人はいますが、
あくまでオフレコベースでしかありません。
そして、いつも
「木下君、実際どうなるのかは本当はわからない」というのが
決まり文句になっています。

たまたま、現在の官邸の中には
複数、知人もいるので
色んな形で僕は懸念を伝えました。
返ってくる答えは
「関わっている専門家で最大リスクを話す人と、
木下君の懸念は同じ感じだよね。
でも、多数決はもっとリスクの低いという人が多くなるから」
といわれました。
「こういうときは、結局多数決しかないかも」とも。

勿論、低いリスクに収まればうれしいと僕は思いますし、
その場合は「木下は妄想癖のある臆病者で屑野郎」と
罵られても致し方ないと覚悟はしています。
むしろ、喜ばしい結末が訪れたのですから。

ただ、リスクというのは起こりうる中で最悪を
想定するべきと僕は感じています。多数決ではありません。
特に、今回は事が起きた時には被害は甚大です。
守らなければならない
国民の生命や安全を守ることが厳しくなるタイプの事象です。
放射能というその捉えにくい本質を考えると、
今、線量が高くないうちに退避を広げる選択肢をとるべきだと
僕は思います。

事がおこってからでは、混乱しさらに間に合わなくなります。
そのリスクも重ねて、伝えられる官邸の知り合いには
話しました。

しかし、政府はアグレッシブに動いている感じがしないです。
最高決定者が決定しない状況とも見えます。
日本のどこの会社でもありがちな光景と同じ感じです。
(政府→会社、国民→社員と読み替えもできますね)
そうすると政府の判断の遅れが
僕ら国民の生死や安全につながるリスクが
増えている感じています。

この状況を放置するわけにはいかないと僕は思いました。
勿論、リスクの想定なので
絶対にこれがおきると断言できませんが
その想定が起きた場合、
今よりもゾーンを広げて退避していなければ
被害がどの程度増えるのかを政府はきちんと認識すべきです。
そのために参考になるのはさっきのアメリカの退避圏の判断です。
僕は最低限、このくらいの退避圏にはすべきと思います。
このブログのタイトルに書いている100キロ圏の退避は
まずこの観点の判断が大きいです。

予防衛生の専門家と話をすると
こどもや妊婦のリスクはさらに高まります。
妊娠できる可能性がある年齢の未婚女性がそれに続きます。
こうした人々は退避圏をさらに拡大すべきと思います。

自国民を殺してしまう政府は、何であれ一番問題だと僕は思います。

長井さんはミャンマー人を殺す政府に立ち向かいました。

きちんと判断をせずに、自分達の心が安心し続けるために、
リスクをきちんと見ない人々を僕は許せないですし、
そして政府がきちんと出来ないのなら
事が起きたら、僕は政府が自国民を殺してしまう話になるかもしれないと思います。

そんなことにならないように強く願います。
本当に強く、強く願います。

追記

菅直人総理は、きょう、「山は越えた」と発言されたと聞きました。僕の危惧はおかげで、さらに強まっています。