脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

マスクと傘と、人種差別。

2020年06月13日 17時52分27秒 | 社会時評
今年流行っているのは、勿論新型コロナだけど、視覚的には「マスク」
である。かつて日本に来る欧米人は、街中でマスク姿で歩く日本人が
多くて驚いたという。春の花粉症対策だと説明しても、理由は分かるが、
欧米人にはマスク姿で街に出る、日常生活をする姿は、やや奇異に映
るらしい。

もう一つ、昔聞いた話だが、日本人は傘を持って外出するヒトがいるが、
その光景も奇異に見えるという。天気予報で雨が降るというので、そうし
ているだけだと説明しても、欧米人には珍しい行動らしい。日本に近代
合理主義を教えたのは欧米だろうに、日本人の方が余程合理的である。

ずぶ濡れでサッカーをやるように、ヨーロッパの男は雨が降ってもあまり
傘は差さないという、矜持だか習俗があるらしい。私が若い頃に耳にした
話なので、今はどうだか知らないが、傘は、女々しいモノという話である。
マスクも同じ位置にあるのかもしれない。マスクは病人のモノで、弱さや
男らしくないモノ、格好悪いモノの象徴なのかもしれない。

欧米でも新型コロナが流行って、かなり深刻な状況のはずなのに、TVに
映る街を歩く欧米人の9割位がマスクをしてないのが、私にはとても不可
思議に思えた。どうして彼らは、コロナ禍や飛沫感染を理解しないのか、
トランプ大統領さえ(感染リスクは承知だろうが)、当初故意にマスクをしな
かった。習近平はマスクをしていたが、WHOも当初マスクへの理解が意
外と低調だった。

欧米社会のマスク嫌いは、互いの顔が一部隠れる愛想のなさや、挨拶に
キスが出来ないこととも、関係あるかもしれない。またあるいは、欧米人の
「マスク」観には、合理を超えた別種のモノが、伝統的に伏在している。それ
は、肌の色が違うという黒人差別と同じくらい古い歴史の亡霊、同じくらい
非合理な伝統観念である。

雨など帽子とコートの装いで凌ぐのが、男のたしなみであり、傘を差すのは
女々しい。同じくマスクも健康な者、ましてや男の装いではない。微妙に男性
優位を示したがる男女差別の観念が絡んでいる気が、私にはする。欧米の
白人中心社会における、「マスク」と「黒人(有色人種)」に対する態度は、似て
いる。つまり、マスクを嫌う「マスク差別」と「黒人差別」は、優位の差を周囲に
示して誇るかのような態度として、同じ根にある。

今や、コロナ禍はマスクを、日常品か衣服の一種に変化させつつある。同時
期に奇しくも、全米で黒人差別への抗議活動や、コロンブスの立像が破壊さ
れる等、歴史的な人種差別への根底的な異議申し立てが世界的にも興って
いる。コロナ禍が一瞬でも暴きつつあるのは、隠されてきた権力(暴力や差
別、貧困)と、勝者が組み立てた歴史の虚偽かもしれない。

目下、コロナ強毒変異の第二波が懸念される処だが、ポスト・コロナの社会
変動は、医療や科学に留まらない、人類の歴史エポックとなる「新たな平等
主義」への転進となるのだろうか。せめても、感染で失われた命や暮らしに、
少しはむくいて欲しい。















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