むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

越南は台湾よりもよほど中華であった 久しぶりの河内訪問で

2011-11-22 16:51:46 | 世界の民族・言語問題
久しぶりの更新。
11月8日から14日まで1週間の日程で、河内(ハノイ)など越南北部を回ってきた。越南は1994年に一回行ったきりで、しかも駆け足で河内と胡志明市を回っただけ。
17年もたっているからずいぶん変わっているだろうと思ったが、案の定というか私の記憶のほうが失われていて、地理も完全に忘れてしまっていて、どこが変化したかはあまり気づかなかった。
いや、以前の河内はまだまだ「社会主義」の雰囲気が強く、街もさびれた感じで、店などもほとんどなかったという記憶があるが、前回の胡志明市かそれよりも店が多く、外国人観光客も多く、にぎやかになった観だけはあった。ホテルも数百倍は多くなっているしね。前回は軍の招待所に泊まったものだが、いまやあちこちにプチホテルがある。
雰囲気も明るくなっていた。

■カルチャーショックないんですけど!
台湾から行くと、あまり文化的違和感やカルチャーショックがない。食べ物や町の見た目が似ているからだ。食べ物にいたっては特にそうだ。これは両方とも漢文化を受け継いでいるからだが、以前からも思っていたことだが、越南のほうが、より中華的だ。台湾の表象文化をもって「中華圏」というなら越南のほうがより強い。
錬度が違うという感じがする。台湾における漢文化なんてたかだか400年だが、越南は2000年以上はある。

■台湾より盛んな廟の信仰
前回はまだまだ無神論社会主義の統制が強かったから、あまり目立たなかった(それでも紙銭の類は市場で売られていたが)あの、廟のお参りが盛んで、店店にも必ず道教式神棚があったことだ。
しかも台湾ほど環境保護への観念が薄いためか、紙銭、がんがん燃やしている。こりゃ台湾よりよほど漢人、中華だろうw。
道端でもがんがん毎日、燃やしている。
これも台湾より激しい。台湾だとせいぜいがge5(牙)の日である旧暦1日、16日だけだが、越南ときたら毎日やっている。台湾の場合は平埔族との融合なので、廃れたものもあるんだろうが、越南は華南直伝の道仏習合だから、毎日さまざまな神様の日があるんだろうね。

■象棋、四色牌
前回もそうだったが、越南の道端や公園では男たちがしょっちゅう象棋(中国将棋)をやっていた。しかも王牌は将と帥と中国と同じ。これが象棋をやっている韓国だと王牌は漢と楚になっている。
賭け事で四色牌もやっていた。これは写真に撮ろうとすると断られた。まあ賭け事だから仕方がないね。

■ファッションは中国の雑誌から、それだけ感覚が近いんだろう
呆れたのは、ファッション雑誌は中国のものが多かったことだ。しかもファッションという言葉もtho*`i cha(ng つまり中国語の「時装」ときている。
これが台湾なら、中国のファッション雑誌なんてまず街中で見かけない。こういうときは絶対に日本だ。いや、マレーシアやタイやそれからインドネシアですら、ファッション雑誌なら日本のものだ。
これを見ると、越南人のセンスや感覚って、きわめて中国人に近いんだろうね。
ふと、このまま中国の大衆文化に攻略されて、併合されたりしないんだろうか。ちょっと心配になった。

■中国との国境
中国との国境に近い小都市・諒山(ランソン、La.ng So*n)にも行った。そこで一泊してさらにそこからまさに国境沿いの小さな町・同登(ドンダン、Ddo`ng Dda(ng)にも行った。同登の中心部から中国との国境まではバイクタクシーでわずか5分、おそらく徒歩でも20分かそこらだろう。ただとろとろ歩いていて、越境してきたシナ人の山賊ども(これはシナ人=山賊という意味)に襲われたら困るので、バイクタクシーを使った。
まあ何の変哲もないところ。
ただ私は恐ろしくて国境を越える気がしなかった。
同じ共産国家といっても、まだまだ越南のほうが安心だ。

■北朝鮮大使館
ハノイ鉄道駅の西側、レーニン公園の周辺には中国大使館と北朝鮮大使館がある。
中国大使館はこの一等地に広い敷地を持っている。越南を属国視してさまざまな干渉や情報収集をする意図なんだろうね。
一方、かつて北ベトナム時代には最強の友邦だったはずの北朝鮮だが、こちらの大使館はひっそりしていた。表に金正日同志のご活躍を伝える写真が張ってあった。
1970-80年代にはベトナムの声国際放送の日本語の養成を北朝鮮でやっていたくらい緊密な「社会主義同胞」もいまや疎遠になったんだろう。越南の今のマスコミでは韓国POPS、ドラマ、韓国との経済協力ばかりが取り上げられて、北朝鮮は無視されている。
東欧などにも北朝鮮大使館はあるんだが、わざわざ見に行ったのは初めてで、何か感慨深いものがあった。
迷惑な中国の周辺にあるという同病相憐れむ共通点があるんだから、もう一度緊密化してもらいたいと思うのだが。

■中国と違い「おどろおどろしさ」はない
sどういえば、越南の街の雰囲気はいたって普通の「東南アジア」の国。
中国で感じるような「おどろおどろしさ」というか、奇妙な不気味な雰囲気は微塵にもなかった。
この辺はやはり近代以降、シナと分断され、別の国民国家を建設しただけのことはある。
■シナ人流で小ずるいが、シナ人ほどひどくはない
国民性はちょっと小ずるいところがあるが、その点はやはりシナ人気質を受け継いでいるのだろう。
友人と入ったカフェでは、越南人の友人を見たときに出してきたメニューとその後外国人がいると知ったときの値段が倍以上は違った。
タクシーなどもほぼ毎回ボロうとする。メーターそのものがおかしい。
これは台湾で同じくらい貧しかったときにはあまりなかったことだろう。
その点では越南人は確かに小ずるい。
ただし、シナほどの悪意は感じられない。ぼる。その程度の話だ。牛肉の代わりにヒルが出て来るわけではない。そしてその後ろにマフィアが控えているわけでもない。
さすがは近代以降シナとの関係を断ち切っただけのことはある。
ただし、国民性という点では台湾人のほうがはるかに「非シナ」的で善意の塊だが、越南人は善意という感じでもなかった。
逆にその分、越南人のほうが気が利いたところがあった。帰り空港へのタクシーで鼻をグスグスやっていると(鼻のアレルギー)、ガムを出してくれたり、かなり気が利く。台湾人だとほとんどは気にしないか、気にしても口でおせっかいなことを言うだけで何か対策を採ろうとしない。この辺は台湾人ははっきりいってマレー系、フィリピン人と一緒だ。トロい。
しかし悪くいえば越南人のほうが抜け目ない。この点も越南人のほうがはるかにシナ人だ。それから台湾人的なあの底抜けの明るさというか屈託なさというか愛想の好さはない。これも越南人のほうが社会主義文化だったからというよりは、シナ人だからだろう。

■台湾人のほうがマレー系でトロい
とはいえ、越南人のほうが現代シナ人よりも数倍はまともでマシなのは言うまでもない。まず、得体の知れないものは出さない。
これは一緒に行った台湾人の友人と一緒に会った越南人にも、以前福建でビフテキを頼んでヒルを出された話をしたところ、越南人はやはり信じられない、越南ではありえないという話をしていた。台湾人ほど徹底して善意でもトロいわけでもなくて、小ずるいが、小ずるいだけで、シナ人ほどの徹底した悪意、目的のためなら他人を徹底的に貶め騙すというズルさはないということだ。

■台湾との違い
経済発展水準はまだまだ低いが、一人当たり1000ドルレベルにしては、割と綺麗好きだと思った。もちろん総体的には台湾よりは汚いのは当然だが、おそらく台湾の1000ドルレベルのときよりは圧倒的に衛生的なはずだ。
台湾より良いのは、犬の糞があまりなかったことだ。台湾では放し飼いや野良犬も含めて犬の糞がそこら中に落ちている。しかし越南ではほとんど見なかった。これはよいことだ。
ただやはり1000ドルというべきか、店などがよく籠に入れた小鳥を軒先に飼っている。とまったホテルの近くは、鶏の親子数羽が放し飼いにされていた。おいおい。だから、鳥インフルエンザが流行るんだろうが。
台湾との違いといえば、飯のお碗を持たないことだ。台湾もフォーマルでは中華的に持っていけないはずだが、普通の屋台や家庭では、飯のお碗を手にもって、箸で掻きいれる、という中華的には「はしたない」が日本と同じ習慣がある。
しかし越南は屋台でもまず飯のお碗は持たない。やはり越南のほうが中華だ。
前に気が利くと書いたが、社会主義が長かったから、資本主義的な意味でのサービス精神や商売っ気はない。この点は台湾のほうがある。

■越南で忘れたこと
ホビロンを食べるのを忘れてたな。本当にホビロン!だ。
まああまり好き嫌いはない私でも、あれは好んで食べたくもないのだが。



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