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むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

韓国語名台風は要注意だな

2008-09-29 03:12:57 | 台湾その他の話題
非常に強い台風15号「チャンミ」が台湾を直撃している。台北では26日夜から強い雨が降り出し、28日は朝から風も強まり、午後3時40分には宜蘭県南澳に上陸する前後には雨風ともに非常に強かった。だが、台湾を直撃する台風によくありがちだが、上陸する前から2-3時間後までは雨風が強いが、その後は収まる。29日午前1時現在、雨さえも収まり、空は雲に切れ間も出ている。ひょっとして眼に入ったのかも。
そういう29日月曜は仕事も休みだ。

日本だと接近する前の風雨は強く、過ぎ去った後には吹き返しの風が強いが、その翌日にはさわやかな快晴となるが、ここでは過ぎ去った後の吹き返しはあまりないものの、その後はすっきり晴れることはなく、2日ぐらいは曇ったりぐずついたりする。

それにしても、韓国語でつけられている台風は要注意だな。台北市も大豪雨と停電に見舞われた悪名高い2001年のナリ、その後のミンドゥレ、トラジ、今年のカルメギなど、台湾に大きな被害をもたらしたものの多くは韓国語名の台風だ(中国語やタイ語名のものもあるけど)。

そういえば、2000年代になってから台風にはアジア名がつけられているのだが、これにはなぜか台湾が参加できていない。台湾の地名そのものが台風とも密接な関係があるという俗説もあるくらい、台風と密接な台湾が命名に参加できていないというのも、これまたおかしな話だ。

【痛快】馬英九の無能と公約違反を風刺したビデオクリップ

2008-09-29 03:12:27 | 台湾政治
これは笑った。馬英九の無能と公約違反を風刺する作品を作っている「[手龍]係假(ロンシーケー、すべて嘘)倶楽部」のビデオクリップがyoutubeにアップされているんだが、特に笑えるのが、常に「次の機会」といってはぐらかす誠意のないボーイフレンドに愛想を付かしていく女性を描いたネットショッピング会社PayEasyのCFをパクッたもの。アテレコそのものがいまいちであるが(それがまた「嘘っぽい」という効果を出しているつもりかもしれんが)、台詞は振るっている。そして、最後にボーイフレンドの番号を削除する画面を「嘘つきを駆除しますか」といって駆除する画面にしていて、笑える。
同じものが二つアップされている
http://jp.youtube.com/watch?v=ObocZm3xJCA
http://jp.youtube.com/watch?v=9DhyrLTPhLo

モリエール「町人貴族」岩波文庫版の解説はダメダメだな

2008-09-29 03:11:55 | 世界の民族・言語問題
「守銭奴」で有名な17世紀フランスの作家モリエールの作品に「町人貴族」(Le Burgeois Gentilhomme)というのがある。岩波文庫で現在絶版の鈴木力衛訳をアマゾンの中古本で入手したのだが、鈴木力衛氏の「あとがき」はダメダメだと思った。
「町人貴族」の終わりごろにに出てくる台詞は、リングワ・フランカの代名詞とされるサビール語といって、イタリア語を主体に、フランス語、スペイン語、アラビア語、トルコ語、ペルシャ語などの単語や表現や文法が混合した言語のはずだが、鈴木氏の解説ではこれを「フランス語とイタリア語とスペイン語のまじり合ったもの」としていて、かなり目立つ要素であるアラビア語を無視している!これはけしからん!どうしょうもない無知だ!
いや、これは無知というよりも、この時代(この版の初刷は1955年だ)のフランス人およびフランス文学者に広く見られた、鼻持ちならない中東蔑視・フランス中華思想のなせるがワザだろう。
事実1980年代ごろまでのフランス語の入門教材や学習者用辞書などは、フランスそれもパリだけを想定していて、南仏はおろか、カナダや中東やアフリカやカリブ海や太平洋にも広がりをもったフランス語圏を無視し、フランス国内にいるこれらからの移民の言語も無視するお粗末なパリ白人中心主義に染まっていて、辞書にはフランスの地図しか載っていなかったくらいだから。
今では随分改善されて、NHKのフランス語の講座でも南仏人やセネガル人も起用されているが、それでもいずれも「脇役」であり、主役になっていない。

私はフランス語の広がりや重要性を認めるし、英語帝国主義へのアンチテーゼの意味も込めて、フランス語にはがんばってもらいたいし、そして自分自身でもフランス語学習に取り組んでいるんだが(日本人の台湾ウオッチャーとして唯一?のフランス語使いを目指したいし)、フランス人や日本人のフランス語教育者が「英語帝国主義はけしからん」というわりには、フランス語がパリだけのものでなく、同時に南仏、ケベックといった他の白人のものでもなく、中東やアフリカ、カリブ、太平洋などにも広がった国際語であり、その分バリエーションも広いという点を認識すべきではないか。

西アフリカや中東を研究するときにはフランス語は英語よりも役立つのは事実なのだが、パリの白人はもちろん、日本のフランス語言語研究者の何人が一体、この当たり前の事実を認識しているのだろうか?
日本の大学生の第二外国語としてフランス語が衰退したのは、英語帝国主義のせいばかりじゃなくて、日本のフランス語教育者自身のパリ白人中心主義という偏狭さのためではないのか?
フランス語は西アフリカの黒人とか、レバントやマグレブのアラブ人にとっても重要な言語であるという点に日本のフランス語教育者や言語研究者が目覚めない限り、フランス語が衰退するのはしょうがないだろう。

まあだからといって石原慎太郎みたいに「フランス語は数も不合理だ」などという無知なフランス語批判も勘弁してほしいが。フランス語で60から99までの数詞が10進法から外れているのは、実はフランスおよび植民地のフランス語だけであって、スイスやベルギーのフランス語はそうではないのだから。そういう点で(これだけにかぎったことじゃないけど)、石原って本当にバカだと思う。早く知事を辞めてほしい。

ただ、それもこれも日本のフランス語教育者がパリのフランス語だけがフランス語だという誤った認識を広めた自業自得ではあるんだけど。

グーグルニュースにマラヤラム語版が追加

2008-09-29 03:11:24 | 世界の民族・言語問題
グーグルニュースに9月中旬までに新たにインドのマラヤラム語版とマレーシア英語版が追加されたようだ。マラヤラム語と書いたのはいまいち自信はないのだが、サイトのアドレスに出てくる言語名の略称と、カタールに行ったときによく見かけたマラヤラム語新聞の記憶からおそらくそうだと思う。インドについては英語、ヒンディー語、タミル語に続いて4番目だ。次はベンガル語、パンジャブ語、オリヤー語、テルグ語あたりか?でも、マラヤラム語ってそんなにメジャーだったのか?w
それよりも、今国際ニュースの焦点のペルシャ語とかウルドゥー語とかが先決だと思うんだけど、そうしないあたり、イスラームを毛嫌いしている米国系統のケチな了見が透けて見えるんだな。

話題の映画「海角7号」は確かに面白い! 日本との絆を描いた映画・ドラマがブーム

2008-09-29 03:10:34 | 台湾その他の話題
今台湾で話題の映画といえば、「海角7号」。台湾語を主体に、日本語と北京語を混ぜ、さらにホーロー人、客家人、原住民、日本人の間の恋愛も絡め、ウイットとエスプリをきかせたもの。
実は日本に戻る前の8月下旬に封切られていて、ちょっとごぶさたの友人がわざわざ電話で「これは良い映画だ。絶対見たほうがよい」と知らせてくれていたので、気になっていた。それが日本から戻った翌日の22日にたまたまタダで見る機会にめぐまれたため、見に行った。
最初は台湾語の掛け合いなど(会場は爆笑、私も笑えた)、普通の台湾連続ドラマと同じような展開。それにところどころ60数年前の日本統治時代末期に離れ離れになった日本人男性が台湾人女性に送った恋文を混ぜる場面もあって、いまいち意味がわからず、どこがすごく良いのかわからなかったが、結末部分になってそれまでの流れが一気に一つにまとまり、見終わった後にはジーンと来る良い映画だった。さすがご無沙汰の友人がわざわざ電話で「これは良い!」と力説しただけのことはある。
特に、台湾の映画やドラマには滅多に無い「伏線」と脈絡があって、台本(監督:魏徳聖氏自身がつくった)が優れている:また、台湾語を主体にした掛け合いの絶妙さと言語選択の自然さ、音楽の良さ、日本との絆の深さなど、台湾の歴史と現実をリアルに描いたところも素晴らしいといえる。また、報道などではあまり言及されていないが、映画に出てくる「国宝級の民謡歌手」は明らかに陳達へのオマージュだ。舞台を恒春にしたところといい、そういう意味ではきわめて台湾本土色が色濃い作品なのである。
だからこそだろう、時間を追うごとに話題を呼び、台湾映画としては20年来最高の売り上げ(2億元近く)を記録し、大手各紙の投書欄でもここ1週間くらいこの映画について批評や感想がにぎわしている。27日夜11時には東森ニュース51チャンネルも監督と日本人ヒロイン役田中千絵を出して特番を組んでいた(ちなみに、田中千絵だが、いろいろ検索すると有名なデザイナーの娘で、美形のはずだけど、劇中ではメイクや役柄もあってか、ブサイクに見えた)。

私が見た回は貸切で監督も来ていたが、実はこの魏監督は見覚えがあった。というのも5月に今度封切られる客家人の抗日闘争を描いた映画「1895乙未」のロケをやっていた際にロケ現場に「見学」に来ていて少しく会話を交わしたのだった。しかしここまでこの監督がメジャーになるとは思わなかった(同様の体験はその昔、陳明章の家を訪ねたときに、陳がおらず、代わりにまだ無名だった伍百こと呉俊霖と話したことか)。

それにしても、日本との関係や絆を描いた映画やドラマが今台湾ではぶームになっている。私が関わった映画「1895」、ドラマ「風中緋桜」「浪陶沙」のように純粋に日本統治時代の過去を描いたものが多いが、この映画のように、日本統治時代末期の日本人男性教師と台湾人女性の結ばれなかった恋が、60年後に恒春で開かれたコンサートをきっかけに今度は日本人女性と台湾人男性の間で結ばれるという形で過去と現在を結びつけたものもある。そういう意味では、在台日本人には稼ぎ時かも知れない。しかも、これが「反日親中」の馬政権の成立以降にもかかわらず、こうした動きが強まっているところが逆説的で面白い。いや、むしろ政権が反日的だからこそ、民間がそれに反発しているのかもしれない。

ちなみに、大手紙やテレビでは、「海角7号」ブームは概して好意的に取り上げられているが、これを「日本帝国主義への郷愁で、おかしい」というそれこそくだらない批評が統一派系統から出てくるかも、と思っていたら、聯合報9月25日付けに

http://www.udn.com/2008/9/25/NEWS/OPINION/X1/4532323.shtml 海角七號…殖民地次文化陰影

という投書が載っていたので、友人の間で爆笑を誘っていた。
投書の主は例の許介鱗。エセ原住民族による反日運動を煽っていることで有名な藤井志津枝の旦那だ。やっぱりといったところだ。ただ、許は以前、台湾大学教授時代には台独聯盟の黄昭堂とも親しくしていたり、指導した修士博士論文は本土色が強いテーマのものが多かったりと、それなりにマトモなところもあったはずだが、退職して「台湾日本総合研究所長」に納まってからは、統一左派雑誌「海峡評論」を舞台にしたり、完全にイっちゃっているw。
そもそも、イマドキの台湾で、日本の植民地支配だけを「けしからん、排除すべきだ」という思い込みで批評しても、誰もついていかないだろう。
だからこれまた案の定というべきか、翌日の聯合報に反論二つ、中国時報にも許の文章を意識したと思われるまったく異なった趣旨の投書が載っていた。自由時報は言うに及ばず。
で、この反論の中で、中国時報26日付けに載った

http://news.chinatimes.com/2007Cti/2007Cti-News/2007Cti-News-Content/0,4521,110514+112008092600153,00.html 孫瑞穗 觀念平台:開放的本土想像

が一番気に入った。
この人の主張は許とは正反対だ。いわく、日本も国民党もともに植民者であるが、日本は海洋型近代性、国民党中国は大陸型近代性をもたらし、いずれも台湾の多様性と寛容さを形成する要素になっている。それをこの映画は開放と多元という視点から描いたものである、とする。
ここで興味深いのは、国民党中国の支配もまた植民者とすることで、許介鱗ばりの統一派による大中国主義の視点による反日ドグマとは一線を画す一方で、国民党中国を日本の植民地主義とも同列において台湾の寛容性と多様性の要素と見る点で、中国化を徹底的に排除しようとする一部の独立建国派とも一線を画していることだ。いや、この視点のほうが、実はイマドキの台湾の主流であり、正しいのであるが。しかもこの人、ちゃんと陳達について言及しているのはエライ。