手に取れば 袖さへにほふ をみなへし
この白露に 散らまく惜しも
=巻10-2115 作者未詳=
袖までも黄色に染まるような美しい女郎花(おみなえし)が、この白露で散ってしまうのは惜しいことだ。という意味。
にほふ、とは「美しい色に染まる」とか「あざやかに色づく」といようなこと。
女郎花(おみなえし)は秋の七草の一つ。美女のなかでもひときわ美しい姿であるとの意味でつけられた名。オミナエシ科の多年草。日当たりの良い山地や草原に生え、初秋に黄色い小さな花を咲かせる。粟花(あわばな)ともいい、原産地は、日本。
『万葉集』に詠まれた「をみなへし」は十四首ある。