飛鳥への旅

飛鳥万葉を軸に、
古代から近代へと時空を越えた旅をします。
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万葉アルバム(関西):兵庫、須磨海岸

2009年05月09日 | 万葉アルバム(関西)

須磨の海女の塩焼き衣(きぬ)の慣れなばか
一日(ひとひ)も君を忘れて思はむ
   =巻6-947  山部赤人=


須磨の海女の塩焼き衣を着慣れるように、あなたに慣れ親しんでしまったら、一日でもあなたのことを忘れることができるでしょうか。という意味。

「塩焼き衣」は、海水から塩を取るために塩焼きをするときに着る作業着のこと。
塩の製法は古代から海藻を利用する「藻塩焼き」という方法だったが、やがて砂を利用して濃い塩水を採取して煮つめる方法に移行した。初めは海浜の自然のままの砂面で採かんを行う「自然浜」で、8世紀ごろにはこの方法による相当な規模の塩産地が存在するようになった。
山部赤人は聖武天皇代の下級官人で、行幸の供などで広く各地を旅して詠んだ歌が多い。