飛鳥への旅

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中将姫伝説を訪ねて8:当麻寺 中之坊(奈良県葛城市)

2009年05月02日 | 中将姫伝説を訪ねて
当麻寺中之坊は、中将姫が剃髪して尼になった寺である。


当麻寺塔頭である中之坊は南大阪線「当麻寺」駅から徒歩約15分、当麻寺の境内にある。
當麻寺には現在、十数ヶ寺の塔頭寺院があるが、中之坊は白鳳時代(645-710)、役行者が開いた道場で、當麻寺創建当時からの歴史を持つ代表的な塔頭寺院である。創建当初は三論宗であったが弘仁14年(823)に弘法大師が真言宗を伝えたのがきっかけに改宗し、現在では高野山真言宗の別格本山になっている。
本堂である中将姫剃髪堂は中将姫が剃髪して尼になった場所である。
彼女の守り本尊の十一面観音菩薩(心身健康の徳)、大和13仏弥勒尊(禅定の徳)、大和七福神 布袋尊(家庭円満の徳)、を安置している。本尊は導き観音として信仰されている。


姫は都を離れ二上山の麓を訪れ、当麻寺に入門を願い出た。当時女人禁制であった当麻寺への入山はなかなか許されなかったが、姫は観音菩薩の加護を信じ、一心に読経を続けたところ、不思議にもその功徳によって岩に足跡が付いた(中将姫誓いの石)。姫の尊い誓願が認められ、翌年、入山が許された姫は、中之坊にて髪を剃り落とし、法如という名を授かって正式に尼僧となった。中将姫が下ろした髪で刺繍をしたという故事に因んで建立された髪塚が境内にある。
足利時代、世阿弥は尼の名前を中将姫として當麻曼荼羅の縁起に基づいて念仏の効力を説いた謡曲「當麻」を作曲し、今日に至っている。


宝物室に飾られている「幻想蓮糸曼荼羅」: 堀澤朱鷺(ほりさわとき)筆。


香藕園
本堂の左手にある庭は、片桐石州が改修したことで知られる大和三名園の「香藕園」(国保存指定名勝史跡)である。「回遊式庭園」であると同時に「観賞式庭園」二つの面を持たせる巧みな設計になっている。奥を見上げると東塔が目に入る。