日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

晩秋の大地を行く 続編 - 帰着

2015-10-06 23:40:23 | 東北
帰宅しました。日中が過ごしやすい陽気だったこともあり、東京駅で列車を降りたときに感じる暖かさは、函館から戻った前回ほどではありませんでした。しかし、昨夜は長袖二枚に雨合羽を羽織ってどうにかしのげる寒さだったわけです。半袖でも平気で過ごせるということは、それだけこちらが暖かいということでもあります。出発から半月が経過し、東北も晩秋の様相を呈してきました。

風の吹くまま気の向くままの旅ではありますが、事前に構想していたことがいくつかあります。往路に新潟の115系を撮ること、北海道で留萌、石北両本線を訪ねること、函館から津軽海峡を渡り、東北地方を南下していくことなどです。そして、東北に行くなら津軽に是非寄りたいという考えもありました。上記の中で、新潟だけは躊躇しつつも見送る結果になったものの、それ以外は第二部まででことごとく実現したことになります。旅の目的をおおむね達成し、あとは無事故で帰るだけといっても過言ではありません。稲穂がそろそろ見納めという事情もあり、再度の復帰後は南下の速度も多少は早まるかと思います。
ただし、そのような予測が絵に描いた餅となる可能性もあるにはあります。三日間の平日をやり過ごせば今度は三連休、それを活かせばある程度余裕を持っての帰京も可能な状況ながら、野暮用のため土曜が使えません。翌日七戸を振り出しに活動を再開し、八甲田と八幡平の紅葉を見たいなどと考えた場合、連休中には盛岡までしかたどり着かず、さらに一時帰京を重ねるといった展開も考えられます。幸運なのは、仮にそのような展開となった場合でも、中四日で次の土日が訪れることです。それを使って完結させることができれば、最初の出発から丸一月という切りのよい終わり方になります。いずれにしても、盛岡から先は東北道でいくらでも距離を稼げるため、そこにいつたどり着くかが鍵となりそうです。
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晩秋の大地を行く 続編 - ささやかな晩酌

2015-10-06 21:15:09 | 東北
時間を過不足なく使い切った点において、本日の活動は理想的だったと先ほど申しました。ただし、時間内に収められなかったものが一つだけあります。乗車の前の腹ごしらえです。
時間がなかったというより、七戸十和田の駅周辺で飲食できる場所が皆無に近いのです。駅前にはイオンがあり、あらゆる食料が揃うとはいえ、車内での飲食を好まない性分上、キャンプ場でしてきたような晩酌をするつもりはありません。ならば軽食だけ買うかと思っても、これはと思うものが見当たりませんでした。
より正確には、めぼしいものがなかったというより、あらゆるものが揃うところにむしろ味気なさを感じたとでもいえばよいでしょうか。広大な駐車場に大型商業施設を併設した、絵に描いたような現代の新幹線駅に車を置いて、駅前のイオンで食料を買い込み、安っぽいテーブルを広げて飲み食いするという行為が、旅情に真っ向から相反するように思えてならなかったのです。さほどの空腹感がなかったこともあり、結局何も買わずに乗り込みました。
その後盛岡での停車時間を使って、銀河高原の缶ビールと小岩井のチーズだけを買いました。これで小腹を満たし、足りない分は我が家に戻ってからいただきます。〆て500円少々のささやかな晩酌です。
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晩秋の大地を行く 続編 - はやぶさ38号

2015-10-06 20:55:50 | 東北
二度目の一時帰京の交通手段は、奇しくも前回と全く同じ最終の東北新幹線となりました。
着いたその日に函館を出て、津軽、盛岡、仙台の順で南下し、今日のうちに帰るなどという構想も、出発前には描いていました。しかし、いざ蓋を開ければ北海道をすぐさま去るのが惜しく、函館に二泊三日を費やして、最終日も津軽に終日注ぎ込み終了という結果です。これにより、再度の復帰後は仙台、山形あたりまで南下するにとどめ、帰着をさらに一週延ばすという選択も視野に入ってきます。旅はまだまだ終わりません。

前回七戸十和田から乗車したときは、誕生日に重なったこともあり、グランクラスを奢って晩酌しました。今回はそのような大義名分こそないものの、七戸十和田といえばグリーン車が最も乗り得になる区間です。三時間以上の乗車で実質四千円に満たない違いだけに、奮発することも検討はしました。しかし、結論としては普通車で済ませました。
というのも、乗車前に空席を調べたところ、そこそこ埋まったグリーン車に対し、普通車はがら空きだったからです。E5系の導入以来、普通車の座席が立派になる一方で、グリーン車は逆に安っぽくなり、飲み物とおしぼりのサービスも廃止されて、グリーン車の価値は相対的に低下してきたような気がします。多客期ならともかく、三人掛けを独占できるのが明らかな状況で、グリーン車を奢るのは無駄遣いと割り切った次第です。

★七戸十和田1959/はやぶさ38(3038B)/2304東京
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晩秋の大地を行く 続編 - 駐車場の謎

2015-10-06 19:56:45 | 東北
本日の段階で約100km, 出発からの通算で2330kmを走破し、一時帰京をはさんでの第二部が終わりました。あとは新幹線で二度目の一時帰京の途につくだけです。
温泉で一風呂浴び、駅の駐車場に車を止め、持ち帰る荷物をまとめて車内を片付け、帰りの列車を押さえてホームに降りたのが発車の5分前でした。慌てる場面がほとんどなく、なおかつ時間を過不足なく使い切ったという点で、本日の活動はまことに理想的でした。

ところで、以前七戸十和田から一時帰京したとき、駐車場に県外ナンバーの車が意外にも多く止まっていたという記憶があります。その傾向は今回も同様で、自車の右斜め後方は同じ品川ナンバー、左斜め後方にいたっては名古屋ナンバーでした。車を置いて一旦帰り、戻ってきてまた乗るなどという物好きが、自分の他にもいるのでしょうか。 そうだとしてもあまりに数が多すぎます。不可思議さの残る光景です。
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晩秋の大地を行く 続編 - 東八甲田温泉

2015-10-06 19:24:21 | 温泉
394号線を順調に走り、二度目の一時帰京の拠点となる七戸十和田に着きました。ほぼ全区間にわたり先行車がなく、終始自分のペースで走れたのは幸運でした。帰りの列車まで長からず短からず適度な時間が残ったため、駅前の温泉で一風呂浴びて行きます。立ち寄るのは「東八甲田温泉」です。
一時帰京を繰り返しつつ一月半に及んだ一昨年の花見の旅で、最後の一時帰京の拠点が七戸十和田になったことがありました。そのとき訪ねたこの温泉の印象は二つに集約されます。安普請の建物と圧倒的な湯量です。
建物は新幹線の開業に前後してできたのか、建ってからさほどの年数は経っていないと見られ、どこもかしこも明るくて清潔です。しかし、樹脂製の安い建材が各所に使われていたり、木材も一目見て安いと分かる部材が使われたりするなどして、全体的に安普請の印象が拭えません。とはいえ不快に感じるほどの安っぽさではなく、むしろ明るさと清潔さの方が今回は印象に残りました。
一方、なめらかな単純泉は前回と同様まことに秀逸でした。巨大な浴槽から轟々と源泉が溢れ、析出した成分で浴場の床が黒ずんでいるところは見た目にも豪快。300円という料金もありがたく、旅の終わりを飾るにふさわしい名湯です。

東八甲田温泉
上北郡七戸町字荒熊内67-81
0176-62-6756
900AM-2200PM
入浴料300円
アルカリ単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)
泉温 47.5度
pH 8.8
湧出量 520l/min
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晩秋の大地を行く 続編 - 影絵の世界

2015-10-06 17:00:44 | 東北
四時を過ぎ、日が傾いたところで高架橋に戻ると、期待通り見事な影絵の世界が広がっていました。その影絵となった上り列車を見送ると、五時を知らせる「夕焼け小焼け」が流れ、西日はさらに傾いて、間もなく津軽平野の彼方に沈もうとしています。
日が沈んでもしばらくは残照があり、五時半の上り列車まではどうにか撮れると予想されるため、とりあえずそれまでは粘ります。昨日の状況からしても、西の空はおそらく六時過ぎまで明るいと思われ、ならば影絵になった岩木山の夕景を、見晴らしのよいところで鑑賞して行きたくなるのは人情です。しかし、そこまで引き延ばすと七戸までの移動が切迫せざるを得ません。多少の未練を残しつつも、五時半で切り上げるのがよかろうと考えています。
それにしても、今日の天気は最高でした。晴れそうでなかなか晴れなかった過去三日を取り返すような快晴です。その結果、終日撮影に没頭し、ごく狭い範囲を行ったり来たりしただけで終わることにはなりました。あそこにもここにも行きたかったという心残りがないわけではありません。しかし、秋の津軽を再訪するなら、稲穂の中を行く弘南電車をもう一度撮りたいという考えが第一でした。それを見事に果たした以上、本当の意味での心残りは何もないというのが偽らざる心境です。
次の機会はおそらく正月の三連休、その次が二月の雪燈籠、もちろん花見の頃にも再訪することになるでしょう。今回積み残した分はそのときの楽しみにします。また来年…
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晩秋の大地を行く 続編 - はさ掛け

2015-10-06 14:37:22 | 東北
さほどの労力を要することもなく、次なる場所は決まりました。尾上高校前の弘前方、東側で撮った午前中に対し、駅を挟んで点対称になる位置です。周囲の稲穂が大部分刈り取られた中、その一角にはさ掛けが並んでおり、これが撮影の題材としてはおあつらえ向きなのです。
ただし、午前中の場所と違い、誰が撮ってもある程度様になる絵葉書的なものではなく、どう作画するかについて撮影者の構想力が要求され、今のところまさにこれだという画をものにするには至っていません。三時台からは30分間隔の運行に戻り、撮影機会が倍増するため、どうにか仕留められればといったところです。
このように、今日は朝から終始忙しく、blogの更新どころではありません。すぐ近くにある道の駅で弁当を買い、腹ごしらえを済ませるのが精一杯でした。日が傾いてくると、午前中に撮った岩木山と高架橋の絵柄が影絵に変わってくるため、後ほどそちらへ移動することになるかと思います。日没後の移動を含め、最後まで息をつく間はなさそうです。
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晩秋の大地を行く 続編 - デジタルの功罪

2015-10-06 11:36:00 | 東北
11時半の上り列車を見送って、午前の部はひとまず終了です。改めて駅の周囲を見渡すと、やはり稲刈りは大分進んでいて、見渡す限り黄金色の絨毯だった去年とは大きく違う趣です。しかし、天日干しのはさ掛けが点在しているところもそれはそれで様になっており、撮影の題材として不足はありません。引き続き忙しくなりそうです。
ちなみに、本日はデジタルだけでなくフィルムも使って撮影しています。その場所で一本しか撮れないとすれば、時代の流れでデジタルを使うのが現状とはいえ、何本も撮影できる状況なら、全く同じものを複数撮っても意味がなく、むしろフィルムでも記録しておきたいと思うからです。

フィルムで撮ったことにより、今更ながら気付いたことがあります。デジタルでは機材の性能に頼り過ぎ、集中力が鈍るということです。
フィルムで撮影する場合、ファインダーに列車が飛び込んできた瞬間、その列車の動きを見極めつつ、狙った位置をいつ通過するかを予測し、それに合わせてシャッターを切らなければなりません。人間の反応時間に一瞬の間が開く以上当然のことです。そしてシャッターを切った後はすぐさま顔を上げ、撮った列車が走り去るのを見届ける。自分が三十年近く撮り続けてきた列車写真とは、本来そのようなものでした。
ところが今はどうかといえば、列車がある程度の位置まで接近すると、そこからままよとばかりに高速連写し、顔を上げた瞬間には列車ではなく撮った画像を見ています。五感を研ぎ澄ませて一瞬を切り取ることこそ列車撮影の醍醐味だったはずが、デジタルという文明の利器に頼って堕落し切った現状を自覚したとき、思わず愕然とするしかありませんでした。
画質の鮮明さ、取り扱いの容易さにおいて、デジタル写真がフィルム写真を超えてから久しく、フィルムの生産は年を追えば追うほど縮小されて、今や一部の物好きだけがフィルムを使っているのが現状です。しかし、フィルム写真にはデジタルではおよそ味わえない楽しみがあることを、今回再発見したとでも申しましょうか。今や一本撮れば二千円に達するフィルムではありますが、ここぞという場面では引き続き使って行きたいものだと思います。
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晩秋の大地を行く 続編 - 小春日和

2015-10-06 11:03:45 | 東北
その後10時台前半と後半の上下列車を撮りました。11時台前半の上下列車を見送ると、その後は30分おきだった間隔が一時間となり、30分待つ間に上下列車がそれぞれ来るという状況から、おおむね30分ごとに上下列車のいずれか一方が来るという状況に変わります。既に列車の側面から正面に日が回ってきたこともあり、次の上下列車を撮ったところで撮影を一旦切り上げ、腹ごしらえと次なる場所探しに移ります。
ちなみに現在の気温は15.5度、函館滞在中に比べれば2度前後高い程度とはいえ、常時日差しがあるため体感温度は全く違い、三日ぶりの半袖に戻りました。暑からず寒からず実に心地のよい気候は、関東では10月の下旬、11月の上旬あたりに相当するでしょうか。北海道を旅して南下してくるまでの間は、汗ばむか肌寒いかのどちらかで、両者の中間がほとんどありませんでした。その点今日の陽気には、小春日和という表現が似合っています。
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晩秋の大地を行く 続編 - 弘南電車

2015-10-06 10:08:26 | 東北
弘前市街から102号線を飛ばし、弘南電車の尾上高校前にやってきました。真正面に岩木山が鎮座し、手前に稲穂が広がる中、そこを貫く古い高架橋を電車が行くという、弘南線の中でも随一の名撮影地で、昨秋も二日にわたって通った場所です。しかしながら、一日目は雲が多くて日が陰りがち、二日目も薄雲が出ていて万全とは言い難い条件だったため、今回晴れればまずここを再訪しようと考えていたのでした。
沿道の田圃がざっと八割方刈られているのを見て、だめでもともとと割り切っていたところ、待っていたのは期待以上の光景でした。周囲の田圃の大半が刈り取られている中で、カメラを構えたとき画面に映る部分にだけ、運よく稲穂が残っていたのです。しかも空には一点の曇りもありません。上り二本と下り一本を狙い通りに仕留め、只今次の下り列車を待っています。
光線の状態からすると、おそらく午前いっぱいここで粘ることになるかと思います。昼の前後は列車の間隔が開くため、その間に腹ごしらえを済ませて、午後からは他にも撮れる場所があるかどうか探してみます。経験上、七戸十和田までは二時間弱と見込んでおけばよいため、最終列車の時刻を考えると、少なくとも日没までは持ち時間があります。夕景をしみじみ眺める時間まではないとしても、日中の時間は余すことなく使い切るかもしれません。
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晩秋の大地を行く 続編 - 弘前パークホテル

2015-10-06 08:32:55 | 東北
出発します。昨晩世話になったのは弘前パークホテルでした。昨秋初めて泊まり、以後愛用してきた弘前東栄ホテルは惜しくも満室だったものの、同じく昨秋世話になったこの宿が、駐車料を含めて五千円少々だったため即決した次第です。
前回泊まったときは、立地のよさ、ビジネスホテル以上の格式、岩木山の眺望などを絶賛したわけなのですが、再び泊まって手放しでは絶賛できない面もあると気付いてきました。部屋とベッドは特段広くはなく、特にユニットバスには明らかに狭いものです。十分な手入れがされているとはいえ、建物自体にはそれなりの年季が入っていて、ところどころに古さを感じる部分もあります。とはいえ、机一つとっても風合いのよい天然木で、そのデスクには色調を合わせた釣鐘型の小さなランプが置かれるなど、古さよりも居心地のよさが感じられるところはさすがです。
これだけ天気がよければ、最上階のレストランで優雅に朝食をいただいて行きたいのはやまやまながら、撮影地に急行しなければならない関係上、見送らざるを得ないのが残念です。今回も快適に過ごせたことには感謝しています。
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晩秋の大地を行く 続編 - 四日目

2015-10-06 08:21:03 | 東北
おはようございます。昨夜は0時の閉店まで「はすや」で呑み、その後富田の清水で喉を潤してから宿に戻りました。暑がりの自分でも上着なしでは肌寒く、虫の声もほとんど途絶えて、すっかり晩秋の趣だったのが印象的でした。
さて、ありがたいことに、窓の外には雲一つない青空が広がっており、山頂まで一点の曇りもない岩木山が鎮座しています。最新の予報を確認すると、昨日の時点に比べ改善しており、時々曇る時間帯はあるものの、日中を通じておおむね晴れることになっています。この好天なら、何はさておき津軽平野で活動するしかありません。去年訪ねた時期に比べて半月遅く、その分稲刈りも進んでいると思われるため、どこまで絵になるものが撮れるかは未知数ながら、ともかく心当たりのある場所に行ってみます。
こうなると必然的に滞在時間が延びてきます。高速道路が割高な平日という条件も考えると、今日中に盛岡まで行くのは厳しいかもしれません。夕方から移動しても間に合い、無料の広大な駐車場があり、駅前に温泉もあって、一風呂浴びてから列車一本で帰京できるという点では、八甲田を通って七戸十和田まで走り、そこから新幹線で一時帰京するのがよさそうではあります。ただし、どこから帰るかはあくまで流れ次第です。
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