たばこの気持ち

最近のテレビで面白かったのは「ごめん、愛してる」です。ボケチンと律の葛藤に心打たれています。ボケチン役の吉岡さんは、このドラマで大変身した（一段ときれいになった）ような気がします。大竹しのぶさん、梅雀さんなどの脇役陣もいいですね。来週は大泣きしてしまいそうです。

中野重治詩集で、たばこの出てくる詩から、最後の抜粋になります（110ページ）。この詩で、今年の7月に急逝した友人を思い出しました。そのとき、私は細君の歯を観察する余裕がありませんでした。

「そこに君は」

そこに君は棺の中に横たわる
ろうそく燃え
木切れに法名を書いて立ててあり
君の息子制服にて座り
君の弟も座る
君の弟は君よりも老けたり
僕は君の細君と話す
君の細君は白ききれいなる齒をせり
煙草を飲まぬならん
僕は線香をさし
線香はどれもこれも脆し----（以下省略）