mitumine 夢幻庵日記

夢うつつで過ごしている日々、趣味の絵・旅行・写真・ハイキング・読書などを写真を交えて気ままに記しています。

6月に読んだ本 「鍵」 現代日本文学館 18 谷崎潤一郎 文藝春秋   

2021-06-30 03:29:07 | 読書
 「鍵」 現代日本文学館 18 谷崎潤一郎 文藝春秋 


 ”文豪”谷崎を読むのは初めてで、書棚の本書(昭和43年刊)を何気なく手に取ったもの。

 古美術鑑定家の主人公は56歳で「アノ方ノ欲望ガ旺盛デナク・略・週ニ一回クライ、―ムシロ十日ニ1回クライガ適当ナノダ。トコロガ彼女ハ・略・アノ方ハ病的ニ強い」その上「極メテ稀ニシカナイ器具ノ所有者デアル-P7」

 京都の旧家生まれの妻(彼女ハ45歳)は「私の体質に淫蕩の血が流れていた事は否み得ないとして、夫の死をさえたくらむような心が潜んでいたとは、どうした訳であろう」-P93 と最後の日記で言ってる。
 物語の展開は、娘とその婚約者である医師の木村を交えた4人の心理戦の様相と相成り、悲劇的な結末になる。

 題名の「鍵」は主人公が日記(カタカナ交じりの文)を隠している場所のもの、妻も日記を記していてこちらは普通のひらがな交じり文。お互い相手が読んでいるのを期待して書いている風が面白い。

 小説は往復書簡のように夫のカタカナ混じり文と、妻のひらがな文が交互になっている。夫のカナ交じり文で、カギ括弧(「」)の右側の括弧を上方に180度展開した形が「こと」の文字の代わりによく使われている。例えばP19「コンナ悪戯ニ耽った◇ヲ日記ニ書カカナイ方ガイイ」の文で◇に使われている、どういう意味があるのか分からないが、面白いといえばそうかも…

 桑田雅一氏の挿画(版画?)がいい。

 読後感は、「驚いた」の一言

 本書を読んだ後、レンタル落ちのVHSビデオ「鍵」を千円一寸で入手し早速鑑賞、市川崑監督作品で京マチ子、仲代達矢、叶順子、中村鴈治郎と出演者が素晴らしい。最後のシーンが小説とは異なっている。




 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今年も庭の半夏生などが咲いた

2021-06-12 02:36:10 | 
未だ梅雨前で連日日照りのなか、めげずに咲いてきた
上から、半夏生、鉄砲百合、紫陽花






コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする