フランスには、ラ・フォンテーヌの寓話があります。ドイツには、グリム童話があります。ヨーロッパには、イソップはじめ民話や童話が数多くあります。人生の知恵を、それとなく子どもたちに伝えるお話は多いのです。それらの民話や寓話には、ちょっと怖い場面が隠されていることも少なくありません。現実は、想うほどには『甘くない』ことを、それとなく教えています。わたしは、ヨーロッパに生きる子どもたちに、もうひとつの『バイブル(物語)』として伝えてきたのではないか、そう想うのです。
わたしは、イギリスの『EU離脱判断』に驚いた理由、この『甘い判断』に驚いたのは、そういった理由があります。少なくとも、挿絵画家J.J.グランヴィルと同じレベルの眼があれば、見間違うことはなかった。
雨上がりの夜、たまり水に月が映っています・・・その静けさ、その不気味なほどの美しさ、わたしはそう言った光景が好きでした。水田に太陽光がまぶしく跳ねているような健康な風景や夕陽がすべてを紅に染めていく時間景観とは全く違う、際だった点景の美しさがそこにはあります。
わたしは、いつしか『喫茶店か古書店を開きたい』と想うようになり、そこには『月映』と名付けようと・・・。これが、美術専門古書店『月映』の始まりです。
わたしの好きな版画家、恩地孝四郎・田中恭吉・藤森静雄の『月映』、萩原朔太郎へのオマージュとしての意味合いもあります。
先日、金沢を散策しました。普段通らない道を歩くつもりでしたが、なかなかに暑い、暑い暑いとつぶやきながら、やはり喫茶店に何気なく入ってしまう。
『謎屋珈琲店』、普通の珈琲(ブレンド)を注文する。涼しくなると落ち着いてきます、客の少ない店内をぶらぶらする、何気なく質問などしてみる。答えが五月雨式に返ってきますが、わたしにはよくわからない。一杯のコーヒが昔の味を想い起こさせる、この味は『ラテン小唄』だ・・・これもおそらく意味不明。
昨日、アートディレクター堤大介さんの話を聴いてきました。21世紀美術館(金沢)に立ち寄るのも久しぶりです、少し早めに出かけることにしました。
初監督アニメーション作品『ダム・キーパー』(ロバート・コンドウと共同監督)が2015年、第87回アカデミー賞の短編アニメ作品にノミネートされたアニメーション監督・堤大介として知られます。経歴を簡単に紹介しますが、ブルー・スカイ・スタジオで『アイス・エイジ』『ロボット』『ホートン ふしぎな国のダレダーレ』のコンセプトアートを務めた後、ピクサーに移籍。『トイ・ストーリー3』『モンスターズ・ユニバーシティ』のアートディレクターを担当した人としてよく知られます。世界を代表するクリエイター71人が一冊のスケッチブックに絵を描いて世界中に回すという『スケッチトラベル』の企画立案者としても知られています。自身の若き頃の話や、トンコハウスのこれから、そして日本のスタッフと作り上げた新作アニメーション作品『ムーム』についてなど、作品の投影も含めながら話す内容はかなり具体的で、その姿勢はアーチスト特有の心意気を感じました。