走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

診療報酬加算

2020年01月31日 | 仕事

シリーズはお休みして、ちょっとスタンダードについて。スタンダードについては今までも何度も書いています。診療報酬改定に麻酔系の看護師による特定行為が加算されたニュースを聞いたので、今一度書きたいと思います。

診療報酬は、それにより雇用主が支払い請求をできるもの。つまりお金について。行為をする事が収入に繋がる。看護師による麻酔行為が収入の繋がるのだから、雇用主にとって朗報。しかしその行為を行う看護師にとってはどういう意味があるのでしょうか?

このニュースはその行為の質を確保するものでないし、何かあった時に行為者を守ってくれるものではありません。

そこで今一度カナダBC州の例を書きます。例えばナースプラクティショナー(NP)の麻薬処方について。まず麻薬に関する全ての国の法律の言語がPhysician/Surgeon からプラクティショナーと変わりました。次に州の法律も変わりました。それを受けて免許を管理する団体(看護の免許保持者の行為から州民を守るのが使命)が、この法律の変更はNPにとってどのような影響を与えるのか、NPが麻薬を処方するにあたりどんなサポート、つまり教育や行為の質の確保のためには何が必要か?スタンダードの内容は?と会議が始まりました。州レベルの法律が変わったのは私がまだNP学生の時でした。そしてようやく処方のGOサインが団体からNP達に通達されたのは2016年まさに4年の月日をかけて準備に備えたのです。そのおかげで、麻薬処方の教育も一律化、施行者の水準も守られ、施行者もスタンダードによって安心して麻薬処方という危険度の高い行為が行えるというわけでです。

診療報酬に組み込まれた事実は、経済的に政府に認められた、と言う一点で一歩前進。しかしそれで満足していてはならないと思います。それを受けて看護協会は国民に対して、どう看護行為の安全性を保証するのか?私はそのニュースを待ちたいと思います。

そして認められた特定行為研修を修了された方へ。以前も書きましたが麻酔周辺は浸潤の高い行為です。つまり少しのミスが死や障害へ直結する行為です。これを忘れないでください。あなたの後ろ盾になってくれる、つまり法的に貴方を守ってくれるものがないなら、診療報酬に加算されようとも私なら行いません。


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