走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

後悔

2017年03月21日 | 仕事
麻薬のオーバードースで命を落とす人を防ぐために、麻薬を使わない人たちにもトレーニングをして拮抗剤のキットを渡すようになった。誰でもと言うわけではなくて依存者の家族や友達だ。

彼女をトレーニングをしたのは2ヶ月前。またホームレスの人が週末に亡くなったと聞いていた。彼女がよく寝泊まりする場所の近くで。

今日、怒りに震えながら泣く彼女に会った。その亡くなった方に拮抗剤を投与してマウス ツー マウスをしたのは彼女だった。

彼女はこんな思いをするならトレーニングを受けるべきでなかったと後悔する。後悔の理由は救急車が到着するまでの時間がとても長くて、その上その亡くなった人は死亡してから随分時間が経っている事に気づかず友達2人と蘇生を試みたからだ。

冷たい唇に向かって息を吹き入れる。汚物がこみ上げ、彼女自身も吐き気を抑えることができなかった。匂いと肌の感触と顔が忘れられない、と泣く。やめたくても救急車の交換台は心肺蘇生の指示を出し続けたからだ。

あああ、なんてことだ。トラウマだ。続く


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2 コメント

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・・・・ (Harkerboy)
2017-03-21 09:45:49
その方お気の毒ぅ〜
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Harkerboy さんへ (美加)
2017-03-22 09:26:54
心が痛みます
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