走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

ヘルメットの大切さ

2017年04月19日 | 仕事
スキーの写真をあげる時にいつもヘルメットを被っている私たち。以前に少し触れましたが、もう少しヘルメットについて書きましょう。

アウトドアが盛んなBC州ではスキーもスノボも自転車もスケートボードもヘルメットは当たり前のように被られています。女優さんが死亡したケースが(それも転んだのは初心者用のコースで転んで頭を打って硬膜外出血で死亡)ヘルメットの着用を促進させました。

もう1つの理由がホッケー大国カナダ。花形ホッケー選手のクロスビーが脳震盪のためかなり長い間プレイする事ができなかった事も脳震盪の恐ろしさを広め、ヘルメット着用を促進させました。

つい最近、某アメリカ旅客機会社が乗客を引きずり出したビデオで世界中の注目を集めました。この被害者の診断名は鼻の骨折と副鼻腔の変形、歯が2本折れ、そして脳震盪。3人の警備員が現れる前まで彼は航空会社と電話で話していた様子がビデオで出ていました。アクセントこそあるものの、自分が医師であり明日8時に出勤しなければならないからと自分の理由をきちんと話しています。しかし引きずり出された後、小走りで機内に戻ってくるビデオも出ていました。鼻と口から血を流し I need to go home (家に帰らなきゃ)と繰り返し言いながら機内に戻り、通路のカーテンにしがみつきながら同じつぶやいていました。医師として働く彼とは思えないほどの子供の様な行動です。

これが殴打直後に起こる一時的な意識障害です。本来の性格や行動とはかけ離れたものが現れます。

脳震盪はこれだけではありません。程度と打ち所にもよりますが、頭痛や吐き気、視覚障害や記憶障害、運動障害が長く出る事もあります。ホッケーだけでなくボクシング、アメフトなどコンタクトスポーツと言われるスポーツ選手に頻回に起こります。最近医療界はこれに注目をよせ脳震盪のガイドラインも作りました。脳震盪後の治療をしっかりしないと後遺症も長く出てしまいます。

雪は柔らかいですが、圧雪された雪は氷になります。氷は硬いものです。転んで頭を地面に叩きつける事はよくあります。木にぶつかったり、他のスキーヤーやボーダーとぶつかる事だって。上手い下手の問題ではありません。どこで何が起こるかわからないハイスピードのスポーツには欠かせません。脳内出血を避け、脳震盪を避けるためにはヘルメットは最低限の防御策です。

私も旦那も頭を使う仕事をしています。脳震盪でも起こしたら仕事ができなくなります。頭は何よりも大事です。だからスキーも自転車もヘルメットを必ず被ります。



標高2440mのブラッコム山の頂上をバックにヘルメット姿の2人。

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