走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

醍醐味

2015年06月25日 | 仕事
NPの仕事は病状が安定した、難しくない患者を想定して教育内容が決められた。しかし実際は医師が手に負えない、非常に難しい患者を対象に仕事が作られている。

どうしてメンタルヘルスや薬物依存などがある患者が医療から離れていくのか?それは難しく、時間がかかる作業が付帯するから。医師は患者を煙たがり患者も医師から離れていく。NPは医師のように1人診てなんぼの支払いではなくサラリーなのでいくらでも時間がかけられる。それがこの現象の由縁だ。高齢者を対象とするNP、HIVや肝炎などが感染症を対象とするNP、心疾患や肺疾患などいくつもの疾患を持ち合わせている患者を対象にするNP。きりがない。

なので、NPは常に自分の力量の限界に敏感で、そういう場合はサポートを医師に求める行動が重要視される。なんだかややこしくわかりにくい話だが、、、、。

で、昨日患者Bがやってきた。Bは喧嘩の被害者。その記事はこちら

回復していたが突然の胸痛、呼吸苦に襲われ気胸の再発を疑いERに送ったのは先週のこと。気胸はそれほどひどくなく同日に退院。その翌日も私は彼を診察した。COPD(閉塞性肺疾患) と胸部動脈瘤がある彼。病状の管理は非常に大切だ。ERから帰ってきた翌日も診察した。週末に向かってのプランもしっかり立てた。数日後に再診に来るように話した。

アレヨアレヨと言う間に、ドミノ倒しのように何もかもが悪くなっていき、死ぬんじゃないかと思うほど調子が悪いと彼は再診にやってきた。

心不全を起こしている。

診察を済ませ、新しい処方薬、検査、そしてこれからの計画も立てる。患者への指導もしっかりした。いつERに行かなければならないか、再診に来なければならないか。血管外科の診察をその午後に控え、、、、。

患者が帰った後、しまった!サポートをしてくれる医師に相談するべきだった!?と慌てる私。だって患者の状態はかなり不安定。すぐ医師を捕まえ報告。彼は私の報告を聞いて。僕も同じことしてるよ。複雑な状態なのに良くできたね、の一言だった。

良かった、、、。

そして翌日様子を伺いにBに電話を入れる。前日に比べて随分楽になったと。

あー良かった良かった。回復に向かっている。これこそこの仕事の醍醐味です。



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