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奥泉光「グランド・ミステリー」

2009年11月12日 | あ行の作家
日本海軍の潜水艦と空母を舞台にした歴史ミステリー
1個人の視点から太平洋戦争を活写する戦記文学
戦争論と日本論を突き詰めた思想小説
さらに恋愛ありピカレスクあり

時代は太平洋戦争真っ只中
1/3くらいまではごくごく普通に展開するストーリーです(奥泉さんらしくない)が
鎌倉にある「国際問題研究所」が何を研究しているところなのか
『未来を完璧に予想するんだそうだ』
から俄然面白くなります

小説の鍵は
同じ人生を二度繰り返す人々
登場人物たちの最初の人生を「第一の書物」とする
二度目の人生を「第二の書物」とする
タイムトラベルするのではないものの第一の書物で得た未来の知識を生かして歴史の流れを変えようとする人物が登場する

第一の書物の物語と第二の書物の物語が時と場所を選ばず入れ替わる仕掛けはまさに奥泉マジック
複雑ではありますが他の作品と比べれば容易に合理的解釈が可能なものとなっています

奥泉入門書としてお薦めしたい作品です

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