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皆川博子「薔薇忌」

2015年07月10日 | ま行の作家

 

実業之日本社文庫
2014年6月 初版第1刷発行
解説・千街晶之
281頁

 

1990年、第三回柴田錬三郎賞受賞作品

「薔薇忌」
小劇団の公演終了後、誰もいなくなった舞台にひとり残る女性とバイト学生との会話から甦る女性の学生時代の思い出

「禱鬼」
歌舞伎役者への取材に手こずっている女性記者と劇場の裏方の男との会話から浮かび上がってくる男の過去

「紅地獄」
歌舞伎の小道具職人の娘と、彼女の父のもとで働いていた女性との不穏なやりとり

「桔梗合戦」
実父が誰かを知らない娘が三人のパトロンがいた踊り手でもあった亡き母をめぐる壮絶な愛憎劇に踏み込んでいく

「化粧板」
ミュージカルの演奏を担当するピアニストに、千秋楽の最中封印していた子供時代の罪深い思い出が蘇ってくる

「化鳥」
かつての人気歌手を俳優として復活させようとしている男と、楽屋を訪れた見知らぬ老人の会話から見えてくる男の歌手に対する同性愛めいた献身

「翡翠忌」
老女優のとりとめもない語りに翻弄された果て最後につきつけられる衝撃的な真実

 

 

皆川さんが偏愛すると仰る「舞台」と「幻想小説」

舞台にかかわるものを小道具に非日常の物語を集めた短篇集は耽美的な妖しいイメージが散りばめられ、知らぬ間に現実から異界へと引き摺りこまれていくようです

 

 


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