言語空間+備忘録

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在宅医療・訪問診療の推進

2009-09-08 | 日記
森谷正規 『戦略の失敗学』 ( p.268 )

 高齢者の医療費を減らすもう一つの有力な方向が、在宅医療である。
 日本では戦後、病院で亡くなる人の比率が急速に高まってきた。一九六〇年には二〇%ほどであったが、八〇年には六〇%に達した。一方で、在宅死は急速に減っていて、九〇年には二二%になり、二〇〇〇年にはわずか一三%にまで減った。このところは、在宅医療の有用性は見直されていて、この数年、在宅での死亡の率は一二%ほどでほぼ横ばいである。それを増やしていけば、延命治療はなくなり、医療費は減っていくのである。
 先に挙げた日本医師会の意識調査によれば、末期医療を自宅で受けたいと望む人が最も多く、およそ三分の一である。どこで死を迎えたいのか、いま希望と現実とは非常に大きく食い違っている。何とかして在宅医療を増やしていかねばならない。
 在宅医療を増やすのは、医師や病院の努力によってある程度可能である。先の本と同時に書評をした奥野修司著『満足死  寝たきりゼロの思想』(講談社現代新書)は、高知県佐賀町の診療所に勤務する疋田善平の成果を紹介している。疋田は念願であった予防医学を実践しようと、五〇歳で志願して高知の小さな町にやってきて、「家庭が病室である」と全村病院構想を進めて、地域の高齢者の健康増進に大いに努めた。その結果、寝たきり老人が大幅に減り、在宅死を大きく増やした。
 また、地域医療で著名な長野県佐久総合病院は、在宅医療に力を注いでいて、この病院が主に受け持つ地域での在宅死の比率は、二〇%前後と全国平均よりかなり高い。それは訪問診療を充実させている成果だ。
 在宅死を増やすには、訪問診療の充実が必要だが、それを担うのは、病院よりも診療所である。診療所の充実こそが重要なので、厚生労働省は、「病診連携」を掲げて病院と連携して診療所の役割を増やそうとしている。ところが、掛け声だけで施策が十分でなく、一向に進まないのが実情だ。
 これには患者も責任がある。ちょっとした病気でも大病院に駆け込むからだ。したがって、大混雑になって、三時間も待たされるのだ。患者の側が変わらないとしたら、制度を変えることによって診療所に向かうようにしなければならない。診療所の紹介がない場合、大病院での治療費をかなり高くするなどが考えられる。


 医療費の削減には、在宅医療が効果的である。患者も在宅医療を望んでいる。その実現には、診療所の充実が重要であるが、成果が上がっていない、と書かれています。



 成果が上がっていない原因のひとつとして、患者の大病院志向が挙げられています。実際、私も、そういう人を知っています。その人は、風邪 ( かぜ ) で大病院に行っていました。当人に言わせれば、大事 ( だいじ ) に至るかもしれない、大病院なら安心、ということらしいのですが、風邪くらいで大病院に行く必要はないでしょう。



 ここには、健康保険の影響があると思います。タダ同然、とまでは言わないまでも、かなり安く、医師の診察を受けられるからです。当人にしてみれば、「 ( 保険料を払っているのだから ) 病院に行かなきゃ損」 ということなのかもしれません。

 しかし、滅多に ( めったに ) 病院に行かない私としては、複雑なものがあります。滅多に病院に行かない人が払う保険料が、そういう人の治療費として、浪費されているのではないか、と思われるからです。

 ここで、「じゃあ私も行かなきゃ損」 とばかりに、「ちょっとした病気でも大病院に駆け込む」 ならば、どんどん保険料が浪費されてしまいます。本当に ( 高度な ) 医療を必要とする人のために、そういうムダな受診は控えるべきではないかと思います。



 そこで、制度的な手当てが必要になります。「制度を変えることによって診療所に向かうようにしなければならない。診療所の紹介がない場合、大病院での治療費をかなり高くするなどが考えられる。」 と書かれていますが、この方法は、かなり効果的だと思います。

 現在、ほとんどの病院が赤字だそうですが、この方法によって、病院の赤字も減るのではないかと思います。また、小さな診療所であれば、建物や機器に、それほどお金はかからないでしょうから、採算をとりやすいのではないかと思います。
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