言語空間+備忘録

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金融経済化は覇権のたそがれどき

2011-10-06 | 日記
水野和夫・萱野稔人 『超マクロ展望 世界経済の真実』 ( p.65 )

萱野 そうなると、資本主義のあり方は今後どのようになっていくのかということが問題になってきます。それを考えるために、この四〇年ほどの先進国における金融経済化の過程を、もっと大きな、資本主義そのものの歴史のなかに位置づけてみたいと思います。それによって、私たちは現在どのような歴史的状況のなかにいるのかが明確になってくるのではないでしょうか。

水野 ここ四〇年の金融経済化の過程を資本主義の歴史のなかでみていこうということですね。それを考えるうえで、まずはつぎのグラフ(図6)をご覧になっていただけますか。これは、経済大国の利子率の歴史を示したものです。

萱野 利子率というのは要するに……。

水野 利潤率とほぼ同じです。つまり資本の利潤率は長期的には利子率としてあらわれるので、このグラフは、その時代における経済覇権国の利潤率がどのように変化してきたのかというグラフとして読むことができるわけです。

(中略)

萱野 要するにここで示されているのは、世界資本主義の歴史は、特定の国がそのつどヘゲモニーを確立しながら、そのヘゲモニーが移転されていくことで展開してきたということですね。

水野 そうなんです。最初はイタリアの都市国家、ジェノヴァとかヴェネチア、フィレンツェといったところで資本主義がはじまります。しかしすぐにその利潤率は低下します。その後、資本主義の勃興とともに、世界経済の中心はオランダに移ります。そして一八世紀から一九世紀にその覇権はイギリスに移り、二〇世紀の前半にイギリスからアメリカに移るというかたちです。

★金融経済化はヘゲモニーのたそがれどき

萱野 そのサイクルをみると、どの国のヘゲモニーにおいてもまず実物経済のもとで利潤率が上がって、それがつぎに低下することで、金融化というか、金融拡大の局面になっています。そしてその金融拡大の局面で、ある種のバブル経済が起こる。つまり、どのヘゲモニーの段階においても、実物経済がうまくいかなくなると金融化が起こる。そしてその金融化が進むと、同時に、その国のヘゲモニーも終わりにむかう。

水野 そういっていいと思います。

萱野 要するに、金融化にむかうということは、その時点で、その国のヘゲモニーのもとで生産の拡大ができなくなってしまったということを意味しているんですね。

水野 はい。

(中略)

萱野 そうである以上、問題は、これまでアメリカが保持してきた世界資本主義のヘゲモニーは今後どうなるのか、ということになります。アメリカの金融経済化がアメリカのヘゲモニーのたそがれどきを意味しているのなら、早晩そのヘゲモニーは別の国に移っていかざるをえないわけですよね。あるいは、水野さんが指摘されるように、さらに大きな転換があって、世界資本主義のヘゲモニーの構造そのものが変化してしまうかもしれない。


 この本の骨子、すなわち現在の状況はたんなる不況・バブルの崩壊ではなく、世界的な構造変化の兆候である、が示されています。



 上記の主張そのものは、とくに目新しいものではありません。この種の主張は、さまざまなところでなされています。

 問題は、この種の主張が「だから、アメリカの覇権が終わり、中国の世紀が始まる」といった主張へと、一気に飛躍してしまうことです。

 私としては、たしかにアメリカの覇権は弱体化しつつあるとは思いますが、すくなくとも当面はアメリカの覇権は終わらないと思いますし、中国が覇権を握ることもない、と思っています。



 この本を読み進めていけばわかりますが、この本の著者らは、他の論者とは異なり、「だから、アメリカの覇権が終わり、中国の世紀が始まる」などといった主張はしていません。

 そこで、アメリカの覇権は今後どうなるのか、世界経済は今後どうなるのか、などを「冷静に」考えるべく、この本を読み進めたいと思います。



 なお、今日は書くことがありませんが、今後、この本を読み進めていくうえでの「前提」になる部分なので、引用しています。
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