![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/ba/9dbb442cafe92dc3315eec64a1f47966.jpg)
~ダリ展を観た。そしてダリを感じダリを知るために~
◆NHK教育「日曜美術館」」(2004年2月26日)◆
3年前の2004年はダリの生誕100年にあたりそれを記念した展覧会があったようである。(ちなみにボクは知りませんでした。ところで本日まで開催の「ダリ回顧展」は生誕100年とあるがどいういことなんでしょうか?)
NHK教育の美術番組「日曜美術館」もそれに連動してかダリを取り上げていてボクはその回を録画していたのである。ゲストは女優の岸恵子氏(ちなみに司会は、はな)。岸氏はダリと交遊があったようで「最初会った時は変わった人だなと思ったが、親しくしていくと普通のおじさん。しかし、そこに第三者が入ってくると、とたんに“ダリ”へと変貌する」と話している。
先に書いた記事「美の巨人」の中でも同様な発言があった。ダリは“ダリ”を演じていたのである。しかし、そのパフォーマンスが派手であればあるほど死の直前のダリの姿が哀れに見えてしまうのは以前に書いたとおりである。
さてこの番組では、ダリとガラの関係を中心に構成されている。なぜ、ガラはダリにとって交換不能な唯一無二の存在になったのか?幼年期にその源流を追いかけている。
1.兄へのコンプレックス(死んだ兄と同じ名前を付けられた)
2.死の恐怖(5歳のとき可愛がっていた蝙蝠が死に、その死骸を見たときに蟻が群がっていた)
3.17歳の時の母の死(ヒステリー発作のあったダリを母は暖かく包み込んだ)
4.窓辺に立つ若い娘(この作品は妹のアナ・マリアをモデルにしたものの顔は描かれておらず、そこに母の背中を見ていた)
そして、ダリはガラと出合う。ガラはヒステリー発作がひどいダリを包み込む。ダリは彼女によって心の平安を得る。ガラはダリの心の中の負の記憶を解放し、やがて作品制作におけるミューズとなっていく。
やがて、ダリはアメリカに渡り大成功を収める。(成金主義となったダリは、ブルドンから「ドルの亡者」と揶揄されることになる)ガラはダリの妻であり、母であり、モデルであり、秘書であり、プロモーターでるという多面的な存在となっていた。
そしてお金に不自由しなくなった時、ガラは夜な夜な若い男性と逢瀬をくり返し、やがて別居。ダリはアトリエに引きこもってしまう。ダリはアトリエでガラを描き続ける。キャンバスのガラは現実の女性ではなく聖なる存在となっている。ダリの手元から離れていったガラを必死で書き綴ったその絵を見るとなんだかせつなくなってくる。
晩年ダリが力を入れたのは「ダリ劇場美術館」の完成に向けての仕事。その天井画には3人のガラが描きこまれている。まずは、ダリとガラが向かい合って天へと登っていく姿。(手前がガラ、後ろがダリ)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/0f/1017aea5227c09321a289cd2b60d74aa.jpg)
そして天には天使としてのガラがいる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/f0/2bc76311d07288804aa5c2707eb6c9a3.jpg)
海岸には若き日画家としての成功を夢見たダリとガラが二人並んで座っている後ろ姿。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/84/1f99b71bdfb649b19b98f107f2625193.jpg)
しかし、天に昇るガラの足から二人の関係を引き裂いたお金が落ちている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/62/c56d47530b820c697b737f55c65110f6.jpg)
美術館のオープニング、ガラはダリとは別々に入館し、ダリの想いがこもった天井画を見ずに帰っていたそうだ。
かなしいね。
■■無題 燕の尾とチェロ(1983年)■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/67/8c7a4a6e810e2bda77c2441ccd1c012b.jpg)
ツバメの軌跡を書いたというダリの絶筆の作品。今回紹介した番組のゲストの岡崎市美術博物館の村松和明氏の解説によると
デルタ状の線は晩年ダリがよく使ったサイン“D"
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/3b/948fac71c26fe01f808cc25051d10cae.jpg)
そしてツバメの軌跡の“S”はサルバドール
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/3b/f2dd5ab3914d93af9f8da13b1a1f690f.jpg)
よく見ると“g”の文字が浮き上がる。ガラの“g”である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/0c/59f1fa7501b3aed37e90d77ecaf99a91.jpg)
最期の作品は、最もダリらしくないものであったが、そこにはダリとガラのサインが画面いっぱいに描かれていた。ダリはガラに裏切られても生涯、二人は不可分なもの、一つの存在である、あるいはガラと一体でありたいと願っていた・・・。
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◆NHK教育「日曜美術館」」(2004年2月26日)◆
3年前の2004年はダリの生誕100年にあたりそれを記念した展覧会があったようである。(ちなみにボクは知りませんでした。ところで本日まで開催の「ダリ回顧展」は生誕100年とあるがどいういことなんでしょうか?)
NHK教育の美術番組「日曜美術館」もそれに連動してかダリを取り上げていてボクはその回を録画していたのである。ゲストは女優の岸恵子氏(ちなみに司会は、はな)。岸氏はダリと交遊があったようで「最初会った時は変わった人だなと思ったが、親しくしていくと普通のおじさん。しかし、そこに第三者が入ってくると、とたんに“ダリ”へと変貌する」と話している。
先に書いた記事「美の巨人」の中でも同様な発言があった。ダリは“ダリ”を演じていたのである。しかし、そのパフォーマンスが派手であればあるほど死の直前のダリの姿が哀れに見えてしまうのは以前に書いたとおりである。
さてこの番組では、ダリとガラの関係を中心に構成されている。なぜ、ガラはダリにとって交換不能な唯一無二の存在になったのか?幼年期にその源流を追いかけている。
1.兄へのコンプレックス(死んだ兄と同じ名前を付けられた)
2.死の恐怖(5歳のとき可愛がっていた蝙蝠が死に、その死骸を見たときに蟻が群がっていた)
3.17歳の時の母の死(ヒステリー発作のあったダリを母は暖かく包み込んだ)
4.窓辺に立つ若い娘(この作品は妹のアナ・マリアをモデルにしたものの顔は描かれておらず、そこに母の背中を見ていた)
そして、ダリはガラと出合う。ガラはヒステリー発作がひどいダリを包み込む。ダリは彼女によって心の平安を得る。ガラはダリの心の中の負の記憶を解放し、やがて作品制作におけるミューズとなっていく。
やがて、ダリはアメリカに渡り大成功を収める。(成金主義となったダリは、ブルドンから「ドルの亡者」と揶揄されることになる)ガラはダリの妻であり、母であり、モデルであり、秘書であり、プロモーターでるという多面的な存在となっていた。
そしてお金に不自由しなくなった時、ガラは夜な夜な若い男性と逢瀬をくり返し、やがて別居。ダリはアトリエに引きこもってしまう。ダリはアトリエでガラを描き続ける。キャンバスのガラは現実の女性ではなく聖なる存在となっている。ダリの手元から離れていったガラを必死で書き綴ったその絵を見るとなんだかせつなくなってくる。
晩年ダリが力を入れたのは「ダリ劇場美術館」の完成に向けての仕事。その天井画には3人のガラが描きこまれている。まずは、ダリとガラが向かい合って天へと登っていく姿。(手前がガラ、後ろがダリ)
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そして天には天使としてのガラがいる。
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海岸には若き日画家としての成功を夢見たダリとガラが二人並んで座っている後ろ姿。
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しかし、天に昇るガラの足から二人の関係を引き裂いたお金が落ちている。
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美術館のオープニング、ガラはダリとは別々に入館し、ダリの想いがこもった天井画を見ずに帰っていたそうだ。
かなしいね。
■■無題 燕の尾とチェロ(1983年)■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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ツバメの軌跡を書いたというダリの絶筆の作品。今回紹介した番組のゲストの岡崎市美術博物館の村松和明氏の解説によると
デルタ状の線は晩年ダリがよく使ったサイン“D"
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そしてツバメの軌跡の“S”はサルバドール
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よく見ると“g”の文字が浮き上がる。ガラの“g”である。
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最期の作品は、最もダリらしくないものであったが、そこにはダリとガラのサインが画面いっぱいに描かれていた。ダリはガラに裏切られても生涯、二人は不可分なもの、一つの存在である、あるいはガラと一体でありたいと願っていた・・・。
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結局、年末年始と忙しく過ごしてしまいこちらのHPを拝読する時間が取れず…。とても残念。
私もダリを卒論のテーマに盛り込んだことがあり、大好きな画家の1人です。
晩年のダリに関する新聞・雑誌記事を読んで思わず涙したこともありましたっけ。
一度はスペインのダリ美術館に行ってみたいものですね。
おっしゃるとおり晩年のダリの衰退ぶりはまるでセミのぬけがらのようで涙ものです。
私もスペインに一度いってみたいなーと思います。