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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

漫画no乱歩#1⇒「黒とかげ」by高階良子

2006-07-14 | 江戸川乱歩
黒とかげ/高階良子
講談社漫画文庫



私は、マンガの世界がうといので高階良子という方を知りませんでした。プロフィールを調べたら少女漫画の世界では大御所の存在のようです。そしてこの「黒とかげ」、高階さんの作品の中でも転換期にあたる評価の高いみたいです。そのような作品なので、読み終わってみるとナルホドよくできているな、というのが感想です。



原作を忠実にそして端的に雰囲気を崩さずまとめあげています。江戸川乱歩の「黒蜥蜴」の物語のビジュアル化はイイ女とイイ男でなければならないと私は思っています。その点では、少女マンガの特徴である瞳が星でキラキラと輝いているのは、とても物語の雰囲気作りに効果的に働いています。
かつて文豪・三島由紀夫がこの「黒蜥蜴」を愛の物語に書き直したように、闇の世界のヒロインである黒蜥蜴の明智小五郎への恋する想いが作品から伝わらなければ、その魅力は半減です。



それを考えると愛とロマンをテーマとする少女マンガの世界は適しているのでしょう。それをベースに原作の核を的確に捉えそして描いている高階さんの実力が伺われます。今回、高階さんのマンガを読んで、あらためて乱歩が生み出した“黒蜥蜴”という魅力的なキャラクターを好きになりました。


※過去の関連投稿記事です
乱歩NO.10・・・<黒蜥蜴/1968年>
乱歩NO.11・・・<黒蜥蜴/1964年>
乱歩NO.12・・・<悪魔のような美女~黒蜥蜴/1979年>
乱歩NO.13・・・<美しき悪女の伝説 黒蜥蜴/1993年>
江戸川乱歩の研究?11⇒「黒蜥蜴」から
江戸川乱歩の研究?12⇒「黒蜥蜴」から
江戸川乱歩の研究?13⇒「黒蜥蜴」から
江戸川乱歩の研究?14⇒「黒蜥蜴」から
江戸川乱歩の研究?15⇒「黒蜥蜴」から



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8 コメント

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TB有難うございます! (こにゃっく)
2006-07-17 00:53:35
おお、江戸川乱歩のファンなのですね!それにしても、かなり江戸川乱歩のことを研究しているみたいですね・・・。



俺が「江戸川乱歩が好きです」って言うのを憚りたくなるほどです・・・っ!
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コメント (飾釦)
2006-07-17 11:39:48
ありがとうございます。また、よろしくお願いいたします。
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Unknown (ちょろけん)
2011-03-20 21:57:43
舞台が第二の原作とすれば、新しい局面を開いたこの作品は第三の原作、さらに美女シリーズは第四の原作と言う感じがします。
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コメント (飾釦)
2011-03-22 21:12:00
ありがとうございます。

ちょろけんさんもいりいりな「黒蜥蜴」をみていらっしゃるんですね。また、遊びに来てください。
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Unknown (ちょろけん)
2011-04-06 22:49:04
>ちょろけんさんもいりいりな「黒蜥蜴」をみていらっしゃるんですね。また、遊びに来てください。
実は前にT塚でやってたのやJ○T氏のが(私には)あまりにもつまらなかったので、自分版を書こうと考えたことがありました。
ところが江戸川乱歩の作品ってのは、犯罪心理学や異常心理学の知識がないと書けないってわかって断念してしまいました。
高階版は今は入手困難なようですが、復刻の時に描き加えて欲しいところがあります。
それは
早苗誘拐に失敗したことで、雨宮は幹部末端男女に関係なく部下たちから激しくなじられ、いられなくなって抜け出そうとしますが、ただ一人黒蜥蜴がかばってくれたことで、「この人は悪人なんかじゃない。5761本当はいい人、優しい人なんだ」と思うようになって尽くすことを決意。それがやがて思慕に変わります。
そして東京タワーの前夜、寝室の警護に加わった彼は寝台の前に侍った時に、帳の向こうから聞こえる「…………」に……。その頃目を覚ました明智は「うつし夜は夢、夜の夢こそまことか……」と呟きます。
これが甲板のあのシーンに繋がって行くわけです。前者は犯罪者ではあるが悪人ではない黒蜥蜴を描けると思いますよ。
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ちょろけんさんは (飾釦)
2011-04-07 21:09:20
漫画を描くことができるんですか?
コメントを拝見するかぎり相当、乱歩を読みこんでいらっしゃるような気がします。「黒蜥蜴」は乱歩作品の中でもエンタテイメント性が強い大人も楽しめる作品と思います。
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Unknown (ちょろけん)
2011-04-07 22:38:53
私には漫画は描けません。
恥はかけます。

書こうとしていたのは小説なんです。
私が黒蜥蜴に惹かれるのは彼女が闇の世界だけでなく、非日常非現実世界の女王でもあることです。だって現実世界にあれだけ豪奢に着飾ってる人いませんものね(そのうえ、美人だし)。
でもって小説は「地獄の道化師」や「妖虫」とのカップリング(どちらも犯人が醜女で美を憎みその破壊者であることから)で行ったら、心理学の知識不足にあれもこれものおてんこ盛りで収拾がつかなくなって空中分解してしまったわけなんです。
返信する
小説の概要 (ちょろけん)
2011-04-08 14:28:30
連投ですみません。
物語は高階版がベースとなりますが、黒蜥蜴は自分の美しさを保つために、処女の血を浴びたりとか母乳を飲んだりとかしています(ご存知かもしれませんが、エリザベート・バートリーや西太后がやったことです)。彼女は普段は虫も殺せない、悪事さえもできないのに、それどころか道化師や妖虫を「心の闇」から救おうとします、(ここで心理学知識の乏しさを実感しました)。
雨宮潤一は少し原作に近付けてうだつの上がらぬ美形の四回戦にしています。また、早苗の出生には謎があります(彼女は岩瀬の娘ではない、逆に岩瀬の娘は……)。
あと若干異なるのは人間椅子に隠れていたのは整形して早苗になりすました黒蜥蜴の部下で、彼女は本物の早苗を椅子に隠した後、わざと騒いで椅子にかぎ裂きを作り、そのドサクサにまぎれて椅子に隠れて岩瀬家を脱出。お宝受け取り後、またまたなりすましで、岩瀬家にやって来るという展開。
その中に「美しい心を永遠に残したい」という黒蜥蜴の願望が「地獄の道化師」や「妖虫」を絡めて展開します(これでややこしくなったんです、「妖虫」はスルーを考えています)。
最後はおおよそ通りですが、黒蜥蜴は明智に早苗と雨宮を託し、明智はこれを確約します。
そして時は流れ、早苗は出所した雨宮とともに明智探偵事務所を訪ねますが、やって来た明智夫人(原作では文代だが)に二人は思わず立ち上がります(ここで終わり)。
ラストページは「うつし夜は夢、夜の夢こそまこと」

しかし、漫画描けたらなあって思います。
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