飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

江戸川乱歩の研究?11⇒「黒蜥蜴」から

2006-03-25 | 江戸川乱歩
クリスマス・イヴの夜、秘密のダンスホール。華麗にして妖美な黒蜥蜴が登場する。その出足が超カッコイイ!おそらくはこの登場の仕方によって、江戸川乱歩の小説の中で双璧をなすキャラクターになったのではないかと思える程だ。


◆黒蜥蜴登場!

“「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ。」「黒天使の御入来だゾ」「ブラボー、女王様万歳!」・・・

真黒なイヴニング・ドレスに、真黒な帽子、真黒な手袋、真黒な靴下、真黒靴、黒ずくめの中に、輝くばかりのの美貌が、ドキドキと上気して、赤い薔薇のように咲き誇っている。・・・「黒天使!いつもの宝石踊りを所望します!」・・・

人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体を覆うものは、二筋の大粒な真珠の首飾りと、見事な翡翠の耳飾りと、無数のダイヤモンドを鏤めた左右の腕環と、三箇の指輪の外のは、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。彼女は今、チカチカと光り輝く、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが手を揺り、足を上げて、エジプト宮廷の、
艶めかしき舞踊を、巧みにも踊りつづけているのだ。・・・

美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見える蜥蜴が這っていた。それが彼女の腕のゆらぎつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這いだしたように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸、頸から顎、そして彼女の真赤なヌメヌメした唇までも、這い上がって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕に蠢いている。真に迫った一匹の蜥蜴の入墨であった。”


■小説
江戸川乱歩全集 第9巻 黒蜥蜴

光文社

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■DVD
江戸川乱歩「黒蜥蜴」より 悪魔のような美女

キングレコード

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4 コメント

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読ませていただきました! (☆。*たぴおか*☆。)
2006-03-26 00:05:28


 私は文章でしか知らないので、動く乱歩の作品は新鮮です。



 最近のも見ようと思っていたら上映日が短くて逃してしまったり…



 ブログの絵は飾釦さんの作品ですか?

ポスターでしょうか。何も知らなくてすみません;;すてきですね☆





 私のブログに遊びに来てくださってありがとうございます!よく乱歩が好きだとわかりましたね!



 これからも更新楽しみにしてます

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コメント (飾釦)
2006-03-26 10:03:48
ありがとうございます。

この画像は、合成加工し手を加えたものです。
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初めまして♪ (melody)
2006-04-04 02:36:23
随分と返事が遅くなり申し訳ないです!



TBありがとうございました!

ほんとに最高にかっこいいですよね黒蜥蜴★



映画でしか触れたことないですが、しびれました(笑)



またよろしくです☆
返信する
ありがとうございます (飾釦)
2006-04-04 22:51:17
melodyさん、コメントありがとうございます。黒蜥蜴は乱歩が創作したピカ一のキャラクターの一つですよね。

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