マドンナのナイショ話

あなたに話したいあれこれ

ニューヨーク恋物語 第1章東京編

2008年05月30日 | ニューヨーク恋物語
「まえがき」


3年前、母が入院する病院へ片道2時間かけて
週に3日、通っていました。
2005年5月から連載が始まった「ニューヨーク恋物語」は
その頃、そのほとんどを電車の中で執筆した物語でした。


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ブログへの走り書きから始まり、やがてHPに正式に移行して
写真「NIGHT Windows ~東京の夜景」のShinshinさん
音楽「Blue Piano Man」さん作曲の 「Thank You」のご協力を得て
マドンナ書き下ろしの、3人のコラボレーションで、週に1回、3ヶ月間連載しました。


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「ニューヨーク恋物語」は、私のニューヨークへの憧憬から生まれた物語。
あの頃はWebサイトもブログも毎日更新して
私が最も輝いていた頃でした。


たぶん母の介護に一生懸命だったから
オールマイティーに、自分の気持ちが抜けがらにならないように
熱い気持ちが溢れていたのだと、今になって思ったりします。


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あれから3年。
若葉の季節が来ると、この物語を書いた頃のことを思い出します。
ひたすら母を想い、電車に乗り、その傍ら
マドンナの世界の中で「言霊」を追い求めていたのだと思います。


「ニューヨーク恋物語3周年」を記念して、3年前のリバイバルです。
眠気覚ましに読んで下さると嬉しいです。


尚、挿絵の写真は、過去の「マドンナの夢ギャラリー」の更新写真です。


上の写真は
1  タイムズ・スクエア
2  エンパイアステートビル
3  セントラルパーク


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ミューヨーク恋物語2008  BGM 愛し君へ(森山直太朗)


         


                          


ニューヨーク恋物語 第1章東京編


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爽やかな5月の風が肌に心地よい。


桜の季節が終わると待っていたかのように
花たちが次から次へと咲き始め
木々が瑞々しい新緑におおわれる。


初夏の陽気を思わせるような一日だった。


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そんな夕暮れ時、今日子は空港の到着ロビーにいた。
半年ぶりに大沢がニューヨークから帰国する。


今日子にとって、この半年は辛い毎日だった。
大沢がニューヨークに行って一年の歳月が流れた。
大沢のいない東京は、乾いた都会でしかなかった。


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一年前、大沢は汐留のレストランに今日子を誘った。
ニューヨーク勤務の辞令が下りた夜だった。


大沢の背広のポケットには、今日子の誕生石の指輪が入っていた。
それを今日子に渡して
「一緒にニューヨークに来て欲しい」と言うつもりだった。


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忙殺された年度末にはなかなか会えなくて、やっと会えた二人。
今日子はいつになくいきいきとしていた。


今日子は新しいプロジェクトチームに参加することが決まり
目を輝かせていた。
今日子が夢にまでみたプロジェクトだった。


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大沢はポケットから指輪を出すのを躊躇った。
やっと手応えのある仕事に就いた今日子に
大沢はプロポーズしてニューヨークに連れて行くことが出来なかった。


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時が流れて、二人は海を隔ててお互いを見つめ合った。
時差のある日常の中で、二人は毎日メールしあった。


デスクでの仕事の合間に、カフェでコーヒーを飲みながら
夜自宅のリビングから・・・  一日何度もメールをした。


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メールとは、愛する者同士には、切ない意思表示だ。
心の温もりは感じられても、肌の温もりが感じられないからだ。


同じ月を・・・ 同じ星を・・・ 同時に見られない時差の壁。
ひとつ歯車が狂い始めると、歯止めが効かなくなりそうだった。


半年前に一度帰国した大沢に会った時
今日子はプロジェクトチームを逃げ出したいと思った。


女の幸せとは何かを考えた。
大沢と一緒にニューヨークに行きたい衝動に駆られた。
そんな想いで半年が過ぎ、そして一年が過ぎた。 


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まもなく大沢が到着ロビーに現れる。
今日子は胸の高鳴りを抑え切れない。


19時に、汐留のレストランを予約した。
二人の思い出のレストランだ。


言葉は多くいらない。
メールでどれほど送信したことか。


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愛している
I love you (アイ ラブ ユー)
Ich liebe dich (イッヒ リーベ ディッヒ)
Je t’aime (ジュ テーム)
Ti amo (ティ アモ)


今日子は大沢の肌の温もりが欲しかった。
理屈などいらない。
ただとろけるように、大沢に抱かれたかった。


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成田着16時40分。ノースウエスト航空17便。
定刻通りの到着。


第2章へ続く・・・




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