Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

DON QUIXOTE - ABT (Thurs, Jun 12, 2008)

2008-06-12 | バレエ
日本のオペラヘッドなら知らぬ人はいないNHKイタリア・オペラ。
NHKエンタープライズのオンラインショップのサイトからの説明を借りれば、
”文化事業の一環としてNHKが1956年から20年間に8回にわたって行った「イタリア歌劇団公演」は、
本場から演出家、指揮者、ソリストを招聘して大規模に催され、
オペラファンの間で今なお伝説の名演として語り継がれています。”となっていますが、
これは決して大げさな説明ではない。
本場=イタリアのソリストなら誰でもいいだろう、というのりではなく、
デル・モナコ、テバルディ、ゴッビ、シミオナート、トゥッチ、
タリアヴィーニ、ベルゴンツィ、コッソット、スコット、クラウス、ギャウロフ、などなど、
登場したソリストの顔ぶれたるや、錚々たるものだったのです。
そして、さらに素晴らしいことには、NHKがこれらの公演をテレビで放映し、
その映像をきちんとアルカイブしていたのです。
1950年代といえば、欧米でも、オペラのフル公演がきちんと映像で残っている例なんてそう多くはない時代。
この映像がNHKから正規版のDVDとして発売され、日本の市場で出回って以来何年か経ちますが、
ご存知の通り、日本のDVDは欧米とフォーマットが違うため、欧米のオペラヘッズたちは、
そんな映像があると聞いてはいても、ただハンカチの裾を食わえて悔しがっているしかなかったのでした。

それを去年か今年あたりからでしょうか?どのような経緯か、VAI(Video Artists International)という
NYにある会社が、次々とオール・リジョンのフォーマットでリリースをはじめ、
いまや、アメリカのオペラヘッズの間では、『NHK』といえば、宝の山と同義語。
新しい演目の商品化が首を長くして待たれている状態です。
ただ、”ソリストは素晴らしいが、オケと演出がなんとも貧弱、、”という苦言がちらほら聞かれるのですが、
日本出身のオペラヘッドとしては、一言、”それはポイントを履き違えているだろう!”といいたい。
当時、日本ではオペラの公演そのものが珍しかった時代。
レコードでしか聞いたことのない演目を、初めて生で、しかも一級のソリストで聞いた時の
聴衆の驚きはいかほどだったでしょう?
実は当時20代だったと思われる私の叔母もその聴衆の一人だったので、話を聞く機会があるのですが、
すべての聴衆がとにかくぶっ飛んだ、といいます。
そして、このNHKイタリア・オペラが、今の日本でのオペラ人気の基礎を作る一つになったことは
間違いないと思われ、
ということは、このNHKイタリア・オペラがなければ、オペラヘッドという私のアイデンティティも
存在しえなかったかもしれないわけで、むしろそんなしょぼいオケと演出ということも顧みず、
日本の聴衆にもオペラを知ってほしい、という思いで登場してくれた歌手たちに
本当に感謝したい気持ちでいっぱいです。
このあたりについて当の歌手たちがどのように感じていたかについては、
『ファウスト』のDVDに挿入されたレナータ・スコットとのインタビューにも明らかですので、
お時間のある方はぜひ。

さて、前置きが長くなりましたが、このNHKという宝の山の発見に気をよくしたVAIは、
日本にしかないお宝映像に目をつけたらしく、NHKに続き今度はジャパン・アーツをもまるめこみ、
(NHKでの放送用に収録されたものかもしれませんが、ジャパン・アーツの名前もジャケットに入っています。)
ニーナ・アナニアシヴィリが東京で出演したバレエの公演のDVDも最近同社からリリースされました。
先日観た『白鳥の湖』でのニーナに感銘を受けた私は、早速そのうちの一枚、
ロシア国立アカデミー・チャイコフスキー記念ペルミ・バレエの1992年の公演の『ドン・キホーテ』の
DVDを購入&鑑賞。
ここでの彼女のキトリがまたおきゃんで可愛い!!
年齢がまだ若かったせいもあって、テクニックもしっかりしているうえに、
それでいて、それだけに頼らない彼女独特の円さと溌剌とした感じがあって、
本当に素敵なキトリなのでした。
そのニーナがキトリとして出演し、しかも相手役がコレーラという、6/14(土)の本命の公演が控えているうえ、
5/28の『白鳥~』での、ドヴォ・マキ(イリーナ・ドヴォロヴェンコとマキシム・ベロセルコフスキーの夫妻)は、
どちらかというと、テクニック重視に私には思えたせいもあって、
正直、今日のドヴォ・マキの公演は、ニーナ&アンヘルコンビとの表現面での比較に参考にさせてもらおう、
くらいな気持ちで出かけたのです。
ドヴォって、どちらかというと白のバレエっぽい雰囲気だし、
DVDでのニーナ以上のキャラ作りが、特にこのキトリ役について、ドヴォから出てくるとはちょっと
想像しにくいし、、。
しかし。またやってしまったのです。私は。
あれほど、思い込みはいかん!と何度も自分を戒めて来たはずなのに。

結論。一言、ノックアウトされました。本当に、本当に、素晴らしかった。
特にドヴォのキトリ。彼女のこの役は、これから観る機会のある方は絶対に見逃さないで欲しい。
彼女は白より、むしろ、こういう役の方がいい!
バレエ鑑賞の師匠、yol嬢が、ドヴォ・マキコンビについて、
”彼らの確かな技術”で”上手くノッた時の舞台はとても素敵”
とおっしゃっていたのは、このことだったのね!!と、強く強く実感した舞台でした。

まず、DVD鑑賞時から実感して得た私なりのこの演目についての感想は、
どの演目でもそうなのだけど、特にこの『ドン・キ』のような演目では、
テンポの速い音楽にあわせて踊る場面で、細かいステップと振りが、
”折り目正しく”、”奏でられている音楽にぴったりと合って”、また複数のダンサーが踊る個所では、
”ばっちりと動きが揃っていること”がポイントで、
これのどこかが狂うと、急激にだらしのない場面になる、ということでした。
なので、この点に特にフォーカスして、この公演と土曜の公演を鑑賞したことを付け加えておきます。

第一幕、ドヴォが登場した瞬間から、扇子まで手の一部のように見える
完璧な体の各部位のコントロールに目を奪われる。
『白鳥~』の時とは比べ物にならないテンションの高さを感じます。
それから何よりも私が今日のドヴォの踊りで素晴らしいと思ったのは、
オケの演奏のリズムと彼女の踊りがこれ以上ありえないくらい一致していたこと。
特に、ドヴォとマキが街のみんなを従えて踊る、この幕の中の一シーンでは、
テンポが速かったせいもあって、群舞のメンバーはもちろん、
マキですら、ほんの少し拍が遅れていた中で、ドヴォ一人だけが、完全に正しいリズムで、
しかも、踊りのディテールを端折ることなく、見事に踊りきっていたのには感嘆。
『白鳥~』のときに感じた膝がゆるい感じも、今日は一切見当たりませんでした。
そして、何よりも、彼女はコミカルな演技が実に上手い。
コミカルな演技が上手い理由の一つは絶妙な間のとり方にあるのでは?とも思われ、
上で触れた彼女の極めて高いリズム感と無関係ではないでしょう。
また、ニーナがおきゃんでありながらどこか可愛い感じという路線なのに対して、
ドヴォはもっと切れモノっぽいシャープな街娘の雰囲気。
親しみやすさとあたたかさのニーナ・キトリ vs 超美人で頭のいい輝くばかりのドヴォ・キトリといった図。
このドヴォ・キトリから放射されるオーラは、あのキーロフの公演でのロパートキナのメドーラをも
彷彿とさせるところがありました。
この役では彼女の美貌とスタイルの良さが嫌味になるどころか、
完全なプラスになっているのも非常に面白いと思いました。
しかし、それは、しっかりとした演技がそれを支えているからで、こうしてみると、
彼女の持っている強みが連鎖的に良い結果を生み出す方向に回っていることがよくわかります。
今日はコンディションもよかったのか、彼女のテクニックの強さが、これでもか!これでもか!と
噴出する場面が続出。このレポは土曜のニーナの公演も観た後で書いているので、
開陳してしまいますが、テクニックの見せ場となっているほとんどあらゆる場面で、
ニーナよりも、高度な技が加わっており、しかもそれがただの技の垂れ流しに終わらずに、
きちんと音楽に合っているところが本当に素晴らしく、強引にスーパーな技を入れると
リズムに遅れると判断したときには、技のレベルを落としてきちんとリズム内に収まるものを持ってくるところなど、
本当に小憎らしいくらい。

一方のマキ。
ドヴォが隣で鋼鉄のようなリズム感と正確さで踊っている事実も多少不利だったと思われ、
観ているときには、心もちテンポを少し内にとってくれるだけで、
ドヴォや音楽と完全にリズムが合うのにな、、惜しい!と思っていたのですが、
二公演とも見終わった今、彼の踊りは決して悪くはなかった、
いや、むしろ、とても良かったのでは、、とまるでするめのように噛めば、噛むほど、、というのりで、
素晴らしさを噛みしめているところです。
というのは、今までコレーラの踊りが大好きだった私ですら、
土曜の彼の踊りは、残念ながら、正直、全く感心できなかったので。理由は次の土曜のレポで詳しく。
簡単にいうと、私はオペラでも、自分の技を誇示するために、
作品や音楽を犠牲にするような歌い方が大嫌い。
素晴らしい技は、まず、作品や音楽を尊重したうえで - それは、具体的には、リズムの正確さ、
振りや歌唱へのディテールへのこだわりという形などで現れるわけですが -
その上にのっかっていてこそエクストラの評価が得られるものなのであって、
技のために作品を犠牲にするのは本末転倒です。

それを考えると、マキのこの日の踊りはどんな振りもポーズも本当に丁寧。
これも、白状するなら、その時は、ふーん、綺麗だな、としか思っていなかったのですが、
土曜にコレーラがスーパージャンプの隙間隙間の振りで、実に適当なポーズしかとっていないのを観て、
”こらこら!マキがとってたポーズはもっと綺麗だったぞ!!そんな適当じゃなかったぞ!!”と、
憤慨し、言ってみれば後づけで気付いたことなのですが、、。
それから、マキはスーパーな技を入れるためにパートナーとのコンビネーションを犠牲にすることが一切ない、というのも、美点の一つだと思います。
先に、”複数のダンサーが踊る個所では、ばっちりと動きが揃っていることがポイント”
と書きましたが、これをきちんと実践し、常にドヴォにそっと寄り添うように踊っている姿は泣けます。
土曜のコレーラの”スーパージャンプ&ターンを見せてあげるから、それ以外はこれで我慢してね。”
とでもいうような、適当ポーズの数々を見てしまった今、あの、マキの、
”細部にこそ美が宿る!”の精神で、どこを切っても美しいポーズを見せようと努力する姿勢は美しい!
特に、私はつい大技に目が向いてしまいがちな当作品でこそ、
彼らの貫き通す姿勢の貴重さとユニークさが浮き彫りになるように感じられ、
『白鳥~』よりも、こちらの『ドン・キ』での彼らを強力プッシュする次第です。

エスパーダを踊ったマシューズ。
この人は、準主役級の諸役で、土曜にエスパーダを踊るラデツキーと役をわけあうことが
多いような気がするのですが、小柄なラデツキーに比べ、
すらーっとした細身(少なくとも舞台ではそう見える)で、
舞台に登場した最初のシーンは素敵!と思わせたのですが、ドヴォ・マキの回の『白鳥~』で
見せたベンノ役でのシャープな踊りに比べると、少し今日は不調なのか、
エッジが甘いような気がしました。

また、メルセデス役のリチェット。
彼女にはこの役はちょっと荷が重かったような雰囲気が漂いまくっていました。
技術よりもむしろ気持ちの問題かもしれませんが、踊りが縮こまってしまっています。
一部には体型のせいもあるのでしょうが、踊りが軽過ぎて地味に見えるのも今後の課題かもしれません。


第二幕。
ABTの『ドン・キ』は、先にジプシーのキャンプ~あの風車のシーンを含む夢の場面が先にあって、
続いて酒場でのシーンという順序。
この夢の場面のようなゆったりした音楽になると、どうもドヴォの持ち味が100%は生かされていないように
感じるのは私だけでしょうか?
彼女の良さが、このシーンといい、『白鳥~』といい、どうしてコミカルな場面に比べると
ややトーン・ダウンしてしまうのか、説明がつけがたいのですが、、。
”きちんと踊っている”圏の外へもう一歩ブレイクして欲しい気がするのです。
ドルシネア姫として踊る彼女、もちろん踊りは極めて丁寧なのですが、
むしろ、同じ振りで踊る部分では、森の女王を踊ったメリッサ・トーマスの方が味があるように
思えた個所もあったほど。
トーマスは特に腕の使い方になんともいえない優雅さを備えつつも、
くせのない伸びやかな踊りで、この役での踊りでは非常に存在感があったと思います。

酒場のシーン。ここからは、またキトリが復活。
そうそう、今日のキトリ父は、あの、グロテスクな半魚人、ズルビンです。
ABTのサイトを見ると、少年のような可愛らしい顔で、昨シーズンの『マノン』では、
踊りの方も決して悪くなかったのに、どんどん増える(ように見える)体重のせいか、
すっかり踊りの少ない演技系のキャラクテール役専門になりつつある彼。
しかも、ヒロインの親父の役まで請け負うとは、どんどん年齢の上限が上がってる、、。
今回、やや腕の使い方にオーバーアクティングな部分があり、改良の余地は見られるものの、
特に立ち方、歩き方を初めとする腰から下の表現は見事におじいになりきっており、
相変わらず、私の気になるダンサー・リストに鎮座し続けています。

さて、バジルが狂言自殺をするシーン。ここは、今日の公演の中でも最も唸らされた場面の一つ。
ここでのバジルの床への倒れ方は本当にダンサーにより十人十色ですが、
マキは、コレーラほどばったーんという大げさな倒れ方ではなく、
地味に、美しく、しかし滑稽に絶妙なタイミングで転げて見事。
そして、その後に続く、ドヴォが剣をバジルの体から抜き取ろうと四苦八苦するシーン、
気付け酒を飲ませようとするシークエンスは本当にすばらしい。
特に、バジルの体にがに股に片足をかけて、
土木工事に従事するおやじが地面にドリルを入れるような姿勢で両手で剣をひっこ抜こうとする仕草、
狂言であることを理解した途端、グラスに残った酒をすーっと飲み干す仕草、、。
いわゆる踊り本体でないこういった部分に私がこだわるのは、こういった事実が、
いかに彼女がよく自分の体がどのように観客に見えているか、ということを良く理解しており、
しかも、観客の笑いを引き出す絶妙のタイミング、芝居心といってもいいかも知れませんが、を、
兼ね備えていることを示しているからです。
彼女がこんなコメディエンヌとしての才能に長けているとは予想だにしませんでした。
『連隊の娘』のデッセイとも共通する天然の素質を感じます。

三幕。

一幕から全く勢いが衰えないドヴォ。
とにかく、あまりに生き生きとキトリを踊り演じているので、写真で見ると、つん!としたお澄まし美人の
ような印象があったのですが、地はこういう砕けた人なのではないか、という気がしてくるほど。

これまで失念(失礼!)しておりましたが、タイトル・ロールのドン・キホーテについて。
素顔が素敵なバービー氏、『海賊』のパシャの素晴らしいコミカルな演技に続いて、
再度拝見しましたが、今日のドン・キホーテは、少し颯爽としすぎていたように個人的に感じました。
とても、気がふれているおやじに見えないし、足腰もあまりに丈夫そうで、
もう少し初老な雰囲気のドン・キホーテをイメージしていた私には違和感がありました。
(この役に関しては、ペルミ&ニーナのDVDで描かれている雰囲気こそ、断然マッチ!
そういえば同DVDでエスパーダを踊っている男性の、70年代の頃のデヴィッド・ボウイを思わせる
妙な髪形とメイクも必見です。公演は90年代なのに。)

いよいよグラン・パ・ド・ドゥ。
ああ、これは!!!
本当はどんな世界でも、夫婦がコンビを組むのってあまり好きではない私ですが、
(このドヴォ・マキしかり、ゲオルギュー&アラーニャしかり、賢也&ルミ子しかり。)
こんなコンビネーションが夫婦だからこそ可能なのだとしたら、許す!!
まず、この二人は立った時のお互いの体型のバランスといい、
キャラクターのバランスといい、がすごくいい。
キーロフの時のテリョーシキナ&コルサコフも技術は素晴らしかったけれど、
均整のとれたわりとがっちりとした体型+超おねえさんキャラのテリョーシキナと、
ちょっと頭が大き目で、弟くんのようなキャラだったコルサコフと比べると、
断然このドヴォ・マキコンビは見た目からして素敵。
二人ともすらっとしていて、頭が小さいからか、実際の身長は知らないけれど、背が高く見える。
だから、最初に二人が踊る場面で、マキがドヴォをリフトする個所では、
舞台でものすごく大きく見えて映えるうえに、マキががちっと微動だにしなければ、
ドヴォがこれまた空中で、微動だにしないポーズを決めているという具合で、
とにかくリフトに関しては、小柄なコレーラがたくましいニーナをリフトしながらよれよれしてしまった
土曜日に比べると圧倒的な安定感。
もう本当に今日はドヴォの踊りについては、ドルシネア姫の場面をのぞいて、
ほとんどネガティブな部分がないので、書いていて褒め言葉ばかりになってしまうのだけれど、
マキに支えてもらいながら回るスピンのキレも鋭いし、きめの場面のメリハリも素晴らしい。
まさに、くるくるくるくるくる(しかも早い)、スパッ!という感じで完全停止するのである。

終わり近くで、二度、マキの手を離して完全に静止状態で止まるドヴォも、
ほとんどすぐにマキから手を離し(バランスがとれた状態に入るのが早い)、
びくともしないポーズの完全静止とその時間の長さに、思わず観客から溜息がもれた。
フィッシュ・ダイブも綺麗に決まり、二人のパートナリングは難点のつけようがないほど。

マキのソロも素敵なのだけれど、とにかくドヴォのオーラが上を行く。
はじめに触れたように、彼女は扇の使い方もすごく上手で、扇の骨の中にまで
神経が通っているのではないかと錯覚するほど。
なので、ハープで始まるソロの部分もすごくコケティッシュでかつエレガントさを失っていない。

最後の連続32回転は、見間違えでなければ、ダブルはもちろん、
頭にトリプルも入っていたのではないかと思う。
テリョーシキナのそれも凄かったが、ドヴォのそれには、加えて滑らかさとつややかさとオーラもあるのだ。
本当に凄い。
今も、再度、ニーナ出演のDVDを見ながらこのレポを書いており、
その全盛期のニーナの踊りももちろん素晴らしいのだけど、
それと比べても、いかにこの日のドヴォの踊りがスーパーだったかを再度実感しているところでです。

技と演技が絶妙なバランスで二時間ほど静止してくれた、魔法のような公演。
土曜のニーナとアンヘルの公演は連れと二人で鑑賞なのだけれど、これだけが人生で最大の不覚。
ドヴォ・マキコンビの公演こそ、チケットを二枚購入するべきだったのだ!!
この素晴らしい公演を見せてあげたかった、、。
バレエのチケット購入ってやっぱり難しい。

(写真は、ドヴォ・マキコンビの『ドン・キ』が見つからないので、マーフィーとスティーフェルのコンビ。
同じプロダクションなので衣装およびセットのデザインは同じです。)

Irina Dvorovenko (Kitri)
Maxim Beloserkovsky (Basilio)
Victor Barbee (Don Quixote)
Arron Scott (Sancho Panza)
Jared Matthews (Espada)
Maria Riccetto (Mercedes)
Roman Zhurbin (Lorenzo)
Craig Salstein (Gamache)
Melissa Thomas (Queen of the Dryads)
Anne Milewski (Amour)
Renata Pavam, Isabella Boylston (Flower Girls)
Luciana Paris, Carlos Lopez (Gypsy Couple)

Music: Ludwig Minkus
Choreography: Marius Petipa and Alexander Gorsky
Conductor: Ormsby Wilkins

Metropolitan Opera House
Grand Tier F Odd

*** ドン・キホーテ Don Quixote ***

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3 コメント

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ようやく! (yol)
2008-06-17 21:27:27
なかなか更新がないので、最初は忙しいのかしら?と思っていたのだけれど、途中から何か合ったのではないかと本当に心配になったわ!

何はともあれ、UPされて良かった。

ドヴォのキトリ!!!!
これは見た事ないのよ~。あぁ、羨ましい。

二幕目は私も退屈であまり好きではないのだけれど(Kカンパニー版とヌレエフ版は好き)、やはり一幕は楽しいし、三幕はワクワクするわね。

その一幕三幕、両方ともドヴォが良かったと聞いては私も嬉しい限り。

私の中でのドヴォマキは正統派な二人ですから、そんなに素敵だったとは、あぁ、やはりこれもいつかは観てみたい。

しかし気になるのがニナコレのドンキ。

あんまり、、、だったようで残念。
だけれど、レポは楽しみにしているわよ。

舞台の善し悪しはダンサー達の技量だけでなく、その日のコンディション、それからそれから、他にも一杯あるけれど、やはり見ている私達がどれだけ一体感を感じられるか、というのも重要だわよね!

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1992 ( F)
2008-06-17 21:55:19
こんばんわ。
ペルミ・バレエのドン・キ、私の原点です!!
VHSテープが擦り切れるほど見ました。
92年の時点だとニーナはボリショイの「若手」だったんですね。
ペルミの群舞やセットなどはショボイのですが、しばらくドン・キのデフォになってました。
ここで素晴らしいのはバジルのアレクセイ・ファジェーチェフです。
ニーナのお相手はウヴァーロフが定評あるところですが、ペアの相性としてはファジェーチェフが一番なのではないでしょうか。
超絶技巧で魅せるタイプのダンサーではありませんが、女性をさり気なく、かつ巧みにサポートする姿がイイです。
ニーナも本当に信頼しているのが分かります。
そのニーナも2009年のシーズンでABT引退だそうで、今回の来日がABTプリンシパルとしては最後になってしまいますね~(・・・葛藤)


前置きにばっかり反応してすみません。
私はドヴォのキトリはあまりイメージできませんでしたが、扇子扱いの上手いキトリは好きです!!
Madokakipさんのレポが素晴らしいので、次々観たくなって困ります(笑)

返信する
心配をおかけしたわ!/ファジェーチェフ (Madokakip)
2008-06-18 14:14:26
 yol嬢、

心配をおかけしたわ!!
でも、あなた、何か合ったのでは、、って、死んだとか?(笑)
まだ死んでないわ。めちゃくちゃ元気よ。
元気なんだけど、ここ数日肩こりがひどくて自分にPC禁止令を出してみたの。
でも、二日にしてすっかり解禁よ。今週は、NYフィルの『トスカ』も、パーク・コンサートも行かなきゃ、なので、
また燃えてます!

今年のABTの公演、ドンキはなかったんだっけ?
あるんなら、絶対、絶対、ドヴォを見なきゃだめよ!!
なんかね、ニーナのキトリがずっと同一人物だとしたら、
ドヴォのキトリは、two facedというか、ちょっと一条ゆかりの漫画チックなの。
彼女の漫画って、例えば『有閑倶楽部』なんか、
各登場人物について、まじめで美男子美少女バージョンの絵柄と、
コミカルなシーンに出てくる、簡潔コミカルバージョンがあるでしょ?
なんかね、それを思わせるの。
普段はバリバリかわいいのに、面白い場面になると、
動きが漫画チックなんだー。
マキに足をかけて蟹股になってナイフを引き抜くなんて、
漫画でなくって何?!
でも、それが、すっごくはまってて、かわいいわけよ!!
彼女がキトリにはまるとは私もとっても意外だったけど、
本当にすっごくいいから、絶対機会があったら見てみて!!!

ニナコレはね、さっきレポあげてそこにも書いたけど、
見る人によってすごく評価の分かれる公演だったと思う。
yol嬢はどちらタイプかしら?

 Fさん、

きゃー!!やはりご覧になってましたか!!
嬉しい!!それでは、あの、デヴィッド・ボウイのようなエスパーダもご存知なんですね!!
あの髪型は本当にどうかと思います。
私もファジェーチェフ、素敵だな、と思いました。
私は超絶技巧の人も基本的には好きなんですが、
なぜだか、このバジルの役には、そうでないタイプの人の方が個人的にしっくり来ます。

ニーナの引退は残念ですが、今年、二つ彼女の公演を見て、
その決意の底にある気持ちが少し理解できる気もします。
どんなに素晴らしいダンサー、歌手でも絶対に訪れる体力や声の衰え、、。
ファンにとっても辛いですね。
来日公演でのニーナは、観に行かれますか?
もし行かれるようでしたら、レポ、楽しみにしております。

(ドヴォのキトリ、とってもいいですよ~!大推奨です!!)







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