Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

IL TROVATORE (Tues, Oct 26, 2010)

2010-10-26 | メトロポリタン・オペラ
2008-9年シーズンにプレミアを迎えたマクヴィカーの『イル・トロヴァトーレ』が、
間に一年置いて、今年も帰って来ました。
この演目は今年のHDの予定にも入っていて、そのHDの公演が含まれるCキャストは、
プレミアと同じ、アルヴァレス、ラドヴァノフスキー、ホロストフスキー、ザジックというキャスティングで、
メトがそちらの方を実質的な表(おもて)キャストと見ていることは明らかです。

というわけで、順序で言ったらAだけど実質的には裏キャストな今日のこのシーズン初日の『トロヴァトーレ』。
私の好きなラセット(レオノーラ役)やルチーチ(ルーナ伯爵役)が裏って、どういうこと?!って感じですけれども。ぷんぷん。
そして、今、この役を歌えるテノールが超不足しているせいもあり、
表とか裏とか言ってられません、ということで、両方にキャスティングされているのがマンリーコ役のマルセロ・アルヴァレス。
そして、この裏キャストでアズチェーナ役を歌うのは、アメリカ人メゾ、マリアン・コルネッティです。



ラセットに関しては、私が大好きなソプラノであるということももちろんあるのですが、
彼女はメトにデビューして間もない頃は、ヴィオレッタ役なんかも歌っていて、
私もシリウスが昔の公演の録音を放送している時間帯に、彼女のヴィオレッタを聴いたことがありますが、
ベル・カントの技術は意外にも決して悪くないですし、
何年か前に生で聴いた彼女のエリザベッタ(『ドン・カルロ』)で、
ヴェルディの作品を歌えるスケールが声にあることは十分にわかっているので、
この二つががっちりと結びついたレオノーラ役をどのように歌ってくれるのか、
また、この作品の話の展開の仕方は非常に演技をする側にとって難度が高いと私は思うのですが、
演技の上手さにおいてはメトの舞台に立つソプラノの中でトップ・レベルにあると言ってよい彼女が、
どのような演技を見せてくれるのだろう、という興味も尽きません。



しかし、その期待は開演予定時間後、数秒で粉砕されました。
舞台にマイクを持って現れたマネジメントのスタッフ。やな予感、、。
”ミス・ラセットは風邪、それもひどい風邪(ただの風邪でなく、ご丁寧に”ひどい”と言う言葉までついてる!)に
悩まされていますが、舞台に立ちます。ご理解のほど、よろしくお願いします。”

ラセットが風邪、、、、ひゅるるるる~。
リハーサルでの彼女の歌唱がすごく良かったと聴いていただけに、悔しさ500%です。
それに、舞台に立って歌ってくれるのは、ファンの私は嬉しいですけれど、
まだまだこれから先の長いラン、大丈夫なんだろうか?とか、その風邪をアルヴァレスやルチーチに伝染さないでね、、とか、
色々な考えが頭をよぎります。
私は会社でも、同僚が何度もくしゃみを飛ばしたり、鼻をかんでいたりして、明らかに風邪気味なのに出社して来たな、、と思うと、
”どうして会社に来るわけ?ステイ・ホーム!!!”と叫びます。
そうでなくても休暇を取れない位に皆忙しいのに、こんな時にドミノ式に全員に風邪をうつしてどうするか?と思うわけです。
オペラの公演のキャスト仲間は会社の同僚のようなもの。ひどい風邪の場合は、休んでおくれ、、。



『トロヴァトーレ』は、オケの前奏の後、全幕を通しては決して出番が多いわけではないフェランドに、
いきなり昔話を語る場面を与えていて、この昔話についている音楽がかなりの曲者で、
私がこの役を歌う歌手だったなら、絶対に”ヴェルディの意地悪!”と叫びたくなること間違いなし。
しかも、場所が場所なだけに、ここがあまり出来が良くないと、観客の方の気分も一気に萎えるし、
逆に出来が良ければ後に続く演奏を思って気分が盛り上がるという、
観客側のムード・セッターのような役割もあって、実に恐ろしい箇所です。

2008-9年のAキャストのクワンチュル・ユンは手堅い、Bキャストのビルジリは全く記憶に残らない歌でしたが、
今日の公演でこの役を歌ったツィンバリュクというウクライナのバス・バリトン(二枚目の写真)は今日がメト・デビューで、
ちょっと個性的な歌い方なんですが、オペラハウスにものすごくよく通る深い声で、
今回のフェランドの歌唱に関してはアジリタの技術の面でも申し分なく、
この役でちょっとした印象を残したというのは、大したものです。
半年ほど前にロンドンのローゼンブラット・リサイタルに登場した時の映像を紹介しておきます。




これはなかなかに良いスタートだわ!とわくわくしているうちに、
いよいよレオノーラ役のラセットがイネス役のテイタムと共に登場。
一声聴いて、思いました。
”うわー。これは確かにひどい風邪だわ。これが私の会社だったなら、
私にすぐにゴー・ホーム!と言われていたに間違いないくらいの。”
声にずっと粗さが感じられて、これはとても本来の彼女の声と呼べるものではないです。
彼女はもともと美声で売っている人ではないので、それ自体は大きな問題ではないかもしれませんが、
やはり、ここまで声のコンディションが悪いと、歌唱という行為自体に大きな影響を与えるのは間違いなく、
そちらの方が大きな問題です。私はいつアジリタの部分が崩れてきたりするのではないか、
どこかで音が出なくなったり外したりするのではないか、と、もうドキドキしながら聴いていました。
すごいのは彼女の根性と集中力で、これだけ声そのものがダメージを受けているのに、
それを考慮すれば驚きなほど、必要な歌唱技術の方でのダメージはミニマムに抑えています。
この声でこれだけ歌えるなら、本来は相当良い歌唱だったはずなのに、、とそれだけが悔やまれます。



逆にアルヴァレスはほとんど絶好調でこの初日を迎えたと言ってよく、
彼は、公演によって、時々、声が疲れた響きを出している時があるんですが、今日の彼の歌声はみずみずしさも十分。
ただ、このマンリーコという役には、何か一つ足りない感じがするのです。
スリルかな、、、そう、スリルだと思います。
声は綺麗で、歌もすごく丁寧なんですが、この役はそれだけじゃ駄目なんですよね、、。
あの、役柄設定上の無茶する感じのキャラと釣り合うように、歌唱面でも冒険を感じさせてくれる人でないと、、。
正直、遅咲きと言ってもよい彼のキャリアで、しかも、こんな、ぱっと見には無理目なレパートリーの選択をしているように見える彼が、
今でもあの声を保っているというのはすごいことだと思うんですが、
彼のマンリーコ役の歌唱をよーく振り返ってみると、それは不思議でないと思います。
つまり、マンリーコ役を歌うと聴いて、我々が”無茶するな。”と感じる、
その無茶を、彼は犯していないんです。
言ってみれば、マンリーコについているはずのものがついてない、、そういう感じに近いでしょうか。
無理にならない範囲に自分の歌の方を調節する、、
それはキャリアの選択という意味では非常に賢いとは思うんですが、
結局、彼のマンリーコを聴いても全然スリルを感じない、というのは、その点同士がお互いに相殺し合っているからだと思います。



この作品のヴェルディらしさを最も感じさせてくれるのは、ルーナ伯爵役を歌っているルチーチです。
彼はラセットとは全く反対のタイプで、彼女がほとんどの公演で、
自分がこの役の表現として出来ることは何か?という演技の可能性を際限なく模索するタイプなのに比べて、
ルチーチは、演技では型通り以外のことは、全くと言っていいほどしません。
その代わり、彼の場合は、歌い方のスタイル、そのものが、この作品ととてもよくマッチしていて、
”もうあなたの場合は無理して演技しなくてOK。”と特令を出してしまいます。



このルーナ伯爵については、2008-9年シーズンのAキャストの(そして今年のHDのキャストでもある)ホロストフスキーの、
”とかげのルーナ”のような、ちょっと変わった演じ方も、可能性としては面白いのですが、
やはり私はどちらかというと、スタンダードに、エレガントなルーナを好みます。
あのホロストフスキーの変質者みたいなルーナの表現は、地の彼が男前であるところから来る余裕かもしれません。
あれをルチーチが行った日には、”何あの人!まじで変質者だわ!”と若い女性のオーディエンスに思われること間違いなしです。
なので、頭の悪くないルチーチはそんなことはしない!
とことん正攻法でこの役を歌うのです。そして、それは正解。



巷にはたくさんの優れたバリトンがいますが、
私が今、ヴェルディの作品で歌う現役バリトンを自由に一人だけ選ばせてあげよう、と言われたら、
一番彼で聴きたい、と思うのがルチーチで、
それは、彼の作り出すサウンドには、ヴェルディの作品に似つかわしく、またヴェルディの作品が必要としている、
スケールの大きさ、広がりみたいなものを感じるからです。
残念ながら、先に書いたように、彼は決して演技に特別秀でている歌手ではないので、
実際にメトで見た彼のリゴレットはもう一歩踏み込みが足りない感が私にはあったのですが、
一本気なこのルーナ伯のような役、後は『ドン・カルロ』のロドリーゴとか、
『運命の力』のドン・カルロなどは、彼にぴったりの役だと思います。



もう一つ、ルチーチで残念な点は、公演によって出来の差がやや大きいことで、
私も今までに”今日はどうやらやる気がないらしい、、。”と感じたことが何回かありますが、
もしかすると、彼の場合は、声・歌の不調がはっきりと出ずに、
やる気のなさみたいな形で伝わってしまう損な人なのかもしれません。
けれども、良い時の彼は素晴らしいのです。そう、今日のように。

”Il balen del suo sorriso 君が微笑み”から”Per me, ora fatale 運命の時は来た"での、
息の長い歌唱と、決してオケを圧したり、オケに消されたりするのでなく、
音の上にふわっと毛布をかけるように、もしくは、オケの演奏と一緒に音が湧いて出てくるような、
こういう歌い方がヴェルディの作品で出来るバリトンは、数多くないですから貴重です。
声そのものが良いのは言わずもがな。



アズチェーナを歌ったコルネッティは、演技はなかなかに達者な人なんですが、
ピッチがあまりに緩くて、これは問題と言ってもよいレベルに達しています。
特に、登場してすぐ、とか、しばらく歌う間がなかった後の歌唱でのピッチの甘さは耳に余るほどです。
かえって、決め玉にあたる難しい高音とか、そういうところの方がどんぴしゃに音がはまっていて、
それ以外の場所で頻繁に音程が不安定になるのが不思議です。
もうすっかりキャリアのピークを越えてしまって、時には高音が危ういザジックの方が、
まだ歌に関してはより聴かせるものがあるように私には思えます。
声自体の個性も、ザジックの方がより強いものをもっています。
(ザジックの方が刺すような冷たい透明感の強い音で、コルネッティはどちらかというとあたたかい感じのする音色です。)
ただ、ルーナ伯の時と同様に、ザジックがプレミア・シーズンに演じたアズチェーナは、
少し危ない感じが立った役作りだったのですが、
コルネッティの方が、母親としての温かさを大きく残した表現で、
マンリーコとアズチェーナの間の複雑な親子愛がより哀れに感じられたのは、今日のコンビの方だったかもしれません。



かように、それぞれの歌手の歌唱の内容は決して悪くはなく、個別で聴き応えのある場面はあるのですが、
4人揃ったケミストリーが今ひとつなような気がするのは残念。
(4人のうち2人の掛け合わせの中では、コルネッティとアルヴァレスのコンビが一番良いケミストリーを持っていると思います。)
各々の歌手が、それぞれに違ったスタイルで歌い演じているような感じで、
最後まで完全には舞台が一緒になっていないような感覚を持ちました。
コンディションの悪さのために、今ひとつ集中できなかったのか、
この4人の間にケミストリーがあまりにもなさ過ぎるせいなのか、
それとも、この『トロヴァトーレ』という作品自体の手強さか、
あのラセットをもってしても、舞台を一つの大きな力にまとめあげることは出来ませんでした。

マルコ(・アルミリアート)は、メトで定期的に振る指揮者の中では、
一番好きなグループに入る指揮者の一人ですが、彼はどちらかというと、
ベル・カントものとか、少し軽めの作品の方が良いのかな、と思います。
この『トロヴァトーレ』のようなドラマティックな作品だと、演奏が少し大人しくなってしまうように感じます。
アルヴァレスのところで書いたのと同じく、この作品には、スタイルの上に、
何か、どかーんっ!という爆発力が、演奏にも歌唱(特にテノール!)にも欲しいのです。


Marcelo Álvarez (Manrico)
Patricia Racette (Leonora)
Marianne Cornetti (Azucena)
Željko Lučić (Count di Luna)
Alexander Tsymbalyuk (Ferrando)
Eduardo Valdes (Ruiz)
Renée Tatum (Inez)
Conductor: Marco Armiliato
Production: David McVicar
Set design: Charles Edwards
Costume design: Brigitte Reiffenstuel
Lighting design: Jennifer Tipton
Choreography: Leah Hausman
Stage direction: Paula Williams
Grand Tier D Odd
OFF

*** ヴェルディ イル・トロヴァトーレ Verdi Il Trovatore ***

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11 コメント

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あら.... (keyaki)
2010-11-17 10:55:01
2枚目の写真はフェランドなんですね。
角度によってはスリムに写るんだ....なんて、てっきりアルバレスだと思ってました。
舞台度胸もあるようですし、見た目もバスの諸役にあっているようですから、トップに立てるかどうかは分かりませんが、存在感のある脇役にはなるでしょうね。

マンリーコは、やっぱりボニゾッリでしょうか.....
メーリや、カウフマンまでも歌う予定のようですが、私はグリゴーロのマンリーコが聞きたいです。15年先まで待てないです。
返信する
keyakiさん (Madokakip)
2010-11-17 13:03:55
そうなんですよ、二枚目はフェランド役のツィンバリュクの写真です。
(この名前の覚えにくさがキャリアの足を引っ張らなければいいのですけれど、、。)
写真では少し判りにくいかもしれませんが、細身で背が高く、非常に舞台栄えのする容姿で、
2007年のチャイコフスキー・コンクールの優勝者で、1976年生まれなんだそうです。
おっしゃる通り、フェランドには十分でしたけれども、
トップの歌劇場でより大きな役を全幕で歌えるようになるかは本人の努力と研鑽次第、
スラヴの歌手独特の声の響きが好き嫌いを分けてしまうかもしれませんが、
素質としては、非常に面白い&良いものを持っている歌手だと思いましたので、
またメトに来て歌ってくれる機会があればいいな、と思います。

>マンリーコは、やっぱりボニゾッリでしょうか.....

もう、それはボニゾッリしかいないでしょう!(笑)
と、私の永遠のアイドル、コレッリ、この二人ですね。

>カウフマンまでも歌う予定のようですが

これ、私もインタビューで読みました、、、大丈夫かな、、。
他にもものすごい数のロール・デビューを予定しているみたいですし、
バーンアウトしてしまうのではないかと、とても心配です。

>メーリ

メーリのマンリーコって、、、本気とは思えません。まじめに。
何年も先のことならともかく、、、
今のあの声でマンリーコを歌うのは、絶対に本人のためになりませんし、
それから個人的には、マンリーコを歌う前に、彼には発声の仕方で克服しなければならない部分があるように思います。
ある種のレパートリーを歌っている分にはあまり目立たないのかもしれませんが、
マントヴァ公の歌唱ではっきりとそう感じました。
今の歌い方のままマンリーコをレパートリーにして歌うようになったら、声を潰すと思います。

>15年先まで

15年、、、、長いですよね、、。まだ生きていればいいんですけれども、私。
返信する
ルチーチいいですよね。 (Sardanapalus)
2010-11-18 15:17:00
>巷にはたくさんの優れたバリトンがいますが、
私が今、ヴェルディの作品で歌う現役バリトンを自由に一人だけ選ばせてあげよう、と言われたら、一番彼で聴きたい、と思うのがルチーチ
はーい、私もそう思います!!と、思っていても日本ではなかなか聞く機会がないのですが…(笑)数年前、こんなにブレイクする前にパパ・ジェルモンを聞いて「今ヴェルディのバリトン役歌ってもらうなら彼だな!」と思ったものです。

マンリーコは、グリゴーロが15年後に歌うまで、コレッリの録音で我慢するしかないでしょうか。
返信する
Sardanapalusさん (Madokakip)
2010-11-20 13:54:43
彼の場合、ヴェルディ限定な部分があって、演技をあまりしない(いや、本人はしてるつもりなのかな、、?)し、
スター性にも少し欠けている感じがあるために、
広い演目を、演技力やスター性を伴って歌える歌手(それこそキーンリーサイドのような、、)の影に隠れている部分があるんですが、
彼のことを評価なさっている方が思ったより多くて、私も嬉しく思って&驚いております!

>マンリーコは、グリゴーロが15年後に歌うまで、コレッリの録音で我慢するしかないでしょうか

コレッリが最高であることに私も全く異論なし!ですが、
keyakiさんが仰るとおり、ボニゾッリも忘れることは出来ません。
強烈なたたずまいですが、私は彼のマンリーコも大好きなんです!
それにしても、何度観ても、すごい映像、、、面白すぎます。

http://www.youtube.com/watch?v=LJ1TtdmDXA0&playnext=1&list=PLFFB9DE121F2D5F7C&index=65
返信する
面白過ぎます (sora)
2010-11-20 14:42:56
以前にも見ましたがホント面白いです。どうしてもニヤニヤしちゃいますが、とても元気になれます。ご紹介有難うございます。
再生リスト?の次にあるマリオ・デル・モナコさんのも面白いです。音はくっつけてるのでしょうか?とってもかわいいです。
トロヴァトーレはまだ未聴ですがMETHDが楽しみです。
返信する
こ、これは… (Sardanapalus)
2010-11-20 20:08:57
>ボニゾッリも忘れることは出来ません
こんなに楽しい映像をご紹介くださってありがとうございます!仰るとおり、歌声だけでなくビジュアル的にもすごいインパクトですね(笑)なぜ胸をはだけているのか??疲れたとき、元気が欲しいときに見て楽しみたいと思います。
こういった「イタリア声」のテノールは、最近めっきり少なくなってしまいましたので、グリゴーロにはどうしても期待してしまいます。
返信する
soraさん、Sardanapalusさん (Madokakip)
2010-11-21 19:23:25
私もですね、つい取り出して見てしまうんですよ、この映像。

>なぜ胸をはだけているのか??

あんな風にいきなりレオノーラを振り切って行ってしまうマンリーコ、
いつの間にこんなに集まったんだ?という、
戦いに赴く味方たち、
合成感一杯にめらめらと後ろで燃え上がる炎、
もうどこをとっても、驚きと笑いのオン・パレードです!

マンリーコと言えば、アルヴァレスが登場する公演日が終わった後、
アルフレッド・キムが同役を歌った公演をシリウスで聴きました。
声はやたら丈夫みたいでしっかり出ていて、
"Di quella pira”もキーを下げずに歌っていたように聴こえましたが、
まあ、後はオケを置いて勝手に突っ走るわ、
指揮がマルコ(・アルミリアート)のような、
そういう緊急事態にてきぱき対応できる指揮者だったからよかったようなものの、
そうでなかったら大変な脱線状態になっていたと思います。
まあ、声が張り上げられれば何でもいいですよ、というものでもないですよね、、。
アルヴァレスのようにフォームの整った歌に、
ごっつい声が揃った人はいないんですね、なかなか、、。
返信する
ボニゾッリ! (kuritakmi)
2010-11-21 22:54:49
なんとも懐かしい名前が...。
実はボニゾッリのマンリーコは85年(多分)にCovent Gardenで見ているのですよ。舞台の上のプロンプターBoxに、ドンと片足を乗せてから、目いっぱいの声でこのアリアを歌っていました。テノール馬鹿、とはこういう人が居るのでできた言葉かと、勝手に思ってしまいます。

ちなみに86年にROHが日本に来た時のCalafも彼で聞いています。

確か88年のMET来日公演のイル・トロヴァトーレのマンリーコも彼が歌っていたのではないかと思います。(これは見ていないのですが。)
返信する
kuritakmiさん (Madokakip)
2010-11-22 09:30:06
わお!生ボニゾッリを体験されていらっしゃいましたか!!!!さすが、kuritakmiさん!!

舞台でもあんな濃い感じなんだろうか?とか、
演技はどんな風なんでしょうか?
声は本当にこういった音源で聴ける位ロブストなんでしょうか?、
録音では上手く聞こえるけれども、生はそうでもなかったりして、、なんてことがあったりするんでしょうか?とか、
いっぱい、いっぱいお伺いしたいことがあったんですが、この

>舞台の上のプロンプターBoxに、ドンと片足を乗せてから、目いっぱいの声でこのアリアを歌っていました。テノール馬鹿、とはこういう人が居るのでできた言葉かと

というお言葉で、大体あのまんまの人みたいだな、、と、、(笑)

>確か88年のMET来日公演のイル・トロヴァトーレのマンリーコも彼が歌っていたのではないかと

歌ってますね、歌ってますね!!データベースに、Il Trovatore, Tokyo, Japanとありますよ!!
レオノーラはアプリーレ・ミッロ、ルーナがシェリル・ミルンズ、アズチェーナがフィオレンツァ・コッソットですよー!!!
ぎゃー、タイムスリップして観に行きたいですーっ!!!
返信する
ボニゾッリ (名古屋のおやじ)
2010-11-23 18:45:28
マドカキップさん

オペラの舞台ではありませんが、ボニゾッリの歌を聴いたことがあります。N○Sがやっていたオペラガラコンサートの第1回目(たしか80年代初めだったかな)。彼のほかにはバルツァ、カプッチリ、ヤノヴィッツ、そしてフレーニとギャウロフだったのですが、この2人は風邪で私の出かけた日は欠席でした。なかなかすごいキャストですね。

ボニゾッリは「見よ、恐ろしい火よ」を歌い、大喝采に応え、アンコールをしました。まあ好き嫌いは別にして、大変に威勢のよい(よすぎる?)歌、そしてステージマナーでした。マンリーコにはうってつけです。

あの音楽会で私にとって印象的だったのは、バルツァのセギディーリアやカプッチッリの「国を裏切るもの」も名唱でしたが、意外なことにヤノヴィッツ。「魔弾の射手」のアガーテのアリアを歌ったと記憶しておりますが、レコードではわからなかった彼女の素晴らしさを実感しました。ピアニシモがホール全体に染み渡るように響くのです。そして凛とした歌のたたずまい。カラヤンの寵愛もさもありなんと思いました。
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