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音曲日誌「一日一曲」#374 ジュニア・ウォーカー&ザ・オールスターズ 「Shotgun」(Tamla Motown)

2024-04-14 07:47:00 | Weblog
2024年4月14日(日)

#374 ジュニア・ウォーカー&ザ・オールスターズ 「Shotgun」(Tamla Motown)




ジュニア・ウォーカー&ザ・オールスターズ、1965年リリースのシングル・ヒット曲。オートリー・デウォルト(ウォーカーの本名)の作品。ベリー・ゴーディ、ローレンス・ホーンによるプロデュース。アルバム「Shotgun」に収録。

サックス奏者にしてシンガー、ジュニア・ウォーカーことオートリー・デウォルト・ミクスン・ジュニアは、1931年アーカンソー州プライスヴィル生まれ。

インディアナ州サウスベンドで育ち、高校生の頃からサックス(おもにテナー)を吹き始め、50年代半ばに自身のバンド、ジャンピング・ジャックスを結成する。そして、リズム・ロッカーズというバンドにも掛け持ちで参加する。

リズム・ロッカーズはサウスベンドのローカルTV局での仕事を得て、シンガー、ウィリー・ウッズの歌伴奏をつとめる。その頃、同バンドはザ・オールスターズと改名する。

モータウンのプロデューサー、ジョニー・ブリストルが彼らに才能を見出し、61年自身のレーベルを持つプロデューサー、ハーベイ・フークアに推薦する。

ウォーカーらはハーベイレーベルでレコーディングを行い、この時に「ジュニア・ウォーカー・オールスターズ」となる。

その後、ハーベイレーベルはモータウンのプロデューサー、ベリー・ゴーディに引き継がれ、彼らはモータウン傘下に入る。

メンバーも一部交代して64年にレコーディングされ、最初のヒットとなったのが、本日取り上げた「Shotgun」だ。

オープニングから銃の爆発音、「Shotgun」というタイトル・ワードをシャウトするキャッチーなソウル・ナンバー。シンガーとしてのウォーカーの、デビュー・レコーディングでもある。R&Bチャートでは連続4週1位、全米チャートでも4位という、堂々たる記録を残した。

実はこの曲、レコーディング・セッション時に雇われたシンガーが現れなかったので、ウォーカーがひとまず代役をつとめたのだが、ゴーディはこのテイクにOKを出し、ウォーカーの歌声が世に出ることになった。これにはウォーカー自身も驚いたという。

ウォーカーのハイトーンの歌声、そして力強いブローが気分をアゲアゲにしてくれるこのナンバー、実は筆者がオリジナルを聴いたのはかなり後で、80年代以降である。

一番最初にこの曲を聴いたのは、ロックバンド、ベック・ボガート&アピスの、日本武道館ライブのアルバムでだった(1973年リリース)。

ティム・ボガートとカーマイン・アピスのふたりがハモるソウルフルなコーラスを、筆者は心踊らせて聴いたものだ。「なんてカッコいい曲なんだ!」と。

その後まもなく、彼らがかつて所属していた米国のバンド、ヴァニラ・ファッジの4thアルバム「Near the Beginning」(69年リリース)で既にこの曲をやっていたことを知ることになる。

だが、その作曲者がジュニア・ウォーカーであることは知っても、当時彼のレコードはほとんど流通しておらず、聴くこともなかった。

むしろ、ウォーカーの音にじかに触れたのは、BB&A同様英米混成のバンド、フォリナーの81年リリースのシングル曲「Urgent」での演奏においてだったかもしれない。ゲストプレイヤーとして、ウォーカーが参加していたのである。その事実も、恥ずかしながらだいぶん後になって知ったのだが。

つまり、ジュニア・ウォーカーというサックス奏者が作り出したサウンドは、単にR&B、ソウルといったレイス・ミュージックの枠を越えて、英米の白人たちのロックにも大きな影響を与えて来たということだ。

世間に名前はあまり知られていなくても、その作った楽曲や演奏により、広範囲のミュージシャンに、多大な影響を与えたミュージシャンが、実は結構な数でいるものだ。

ジュニア・ウォーカー、そして彼の代表曲「Shotgun」は、まさにその典型例である。

この曲を皮切りに、彼の「(I’m a) Road Runner」、「How Sweet It Is(To Be Loved by You」「What Does It Take(To Win Your Love)」といった一連の曲を聴いてみれば、そのことは十分納得していただけるはずだ。ぜひ、ご一聴を!




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