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音曲日誌「一日一曲」#373 リトル・ジュニア・パーカー「Next Time You See Me」(Duke)

2024-04-13 07:50:00 | Weblog
2024年4月13日(土)

#373 リトル・ジュニア・パーカー「Next Time You See Me」(Duke)



リトル・ジュニア・パーカー、1957年リリースのシングル・ヒット曲。アール・フォレスト、ビル・ハーヴェイの作品。

リトル・ジュニア・パーカー(のちにジュニア・パーカーに改名)はハーマン・ハーバート・パーカーとして、1932年ミシシッピ州コアホマ郡ボボ近郊に生まれる。

10代になった頃、母親と共にアーカンソー州西メンフィスに移住。ゴスペルグループで歌うことから、彼の音楽キャリアが始まる。またハープも吹くようになる。

10代の末にメンフィスのR&Bグループ、ビール・ストリーターズ(ボビー・ブランド、B・B・キングら)の一員となる。51年には自らのバンド、ブルー・フレームズを結成(ギターはパット・ヘア)。

52年、アイク・ターナーにスカウトされ、彼の所属するモダンレーベルで初レコーディング。シングル「You’re My Angel」である。ピアノはターナー、ギターはマット・マーフィ。

これがサンレーベルのオーナー、サム・フィリップスの目にとまり、53年にサンと契約。同年、ここでリトル・ジュニアズ・ブルー・フレームズ名義でスマッシュ・ヒットを出す。

それがパーカーの自作曲「Mystery Train」である。のちに55年、エルヴィス・プレスリーにカバーされて、スタンダードとなり、またパーカーの代名詞ともなった。

55年後半、パーカーはデュークレーベルと契約、ここでも一連のヒットを出していくのだが、最初のヒット曲が本日取り上げた57年リリースの「Next Time You See Me」である。R&Bチャートで7位を獲得。

レコーディングは56年7月、テキサス州ヒューストンにて行われた。バックでは、作曲者のひとりでもあるビル・ハーヴェイがテナー・サックスを担当したホーン・セクションのほか、ギターはブルーフレームズ以来のパット・ヘア、ピアノのコニー・マクブッカー、ベースのハンプ・シモンズ、ドラムスのサニー・フリーマンらが演奏。

ホーンを前面に押し出しており、全体的にブルース・バンドというよりはジャズ・バンド的なサウンドだ。

その曲調もまた、一般的なブルースよりずっとメロディックであり、有名な箴言を取り入れた歌詞もお洒落だ。そしてパーカーの歌唱も、非常に甘くスムーズである。

ブルースというものが本来持っている泥臭さ、素朴さというものを昇華して、見事に洗練させた世界が、この歌にはある。

そのあたりは、同じビールストリートの仲間であり、デュークのレーベルメイトでもあるボビー・ブランドにも共通して言えることだろう。

ブルースを田舎の音楽から、都会的なそれに変えた(モダン化とも言える)立役者のひとりがジュニア・パーカー。

パーカーはこの「Next Time You See Me」以後も、「Sweet Home Chicago」「Five Long Years」「Driving Wheel」など数々のヒットを出して行くのだが、一番の代表曲は、やはりこの曲ということになるだろう。

誕生して70年近くの歳月を経てもなお、いまだに多くのブルース・セッションで、この曲が歌い継がれているのだから。

筆者個人的には、サンズ・オブ・ブルースでのビリー・ブランチの歌唱が好みではあるが、ご本家ももちろん素晴らしい。

読者のみなさんにも、聴くだけでなく、ぜひ一度歌ってその良さを感じ取っていただきたい。

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