厚生労働省は、近年子供の教育への配慮や持家の取得の増加、経営環境の変化に応じた企業の事業展開等により、単身赴任者の数も増加しているものと考えられていることから、労災保険制度が適切に対応していくことが重要であるとして、学識経験者等を参集した「労災保険制度の在り方に関する研究会」において検討を重ねた上、平成16年7月5日、「労災保険制度の在り方に関する研究会中間とりまとめ――通勤災害制度の見直し等について――」を発表した。
ここでも、「単身赴任者の赴任先住居・帰省先住居間の移動については、単身赴任は事業主側・労働者側双方の事情を両立させるためやむを得ず行われるものであること、赴任先住居・帰省先住居間の移動は必然的に行われるものであり、ある程度不可避的に生ずる社会的危険であることから、通勤災害保護制度の対象とすることが適当であり、帰省先住居から赴任先住居への移動については、(1)勤務日当日又はその前日移動が行われることが大半であり、特に前日の移動が行われることが多いという実態があること、(2)単身赴任者の帰省先住居・赴任先住居間の移動は2時間以上かかる場合が大半であること等を踏まえ、原則として勤務日当日又はその前後の日に行われる移動については保護の対象とすることが適当である」とされている。