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スリーピングモンキー睡拳

2011-05-08 00:00:01 | 七十年代作品【1979】

     シュイ チュエン グアイ ジャオ
原題   睡 拳 怪 招        Sleeping Fist

公開日 1979/5/24(木)      香港東亞影業公司 作品
                11,204,494HK$ 1979年度第40位

スタッフ&キャスト

監督 葉榮祖 (イップ・ウィンチョ)

武術指導 黄哈 、水怪

出演 梁家仁(レオン・カーヤン)
   袁小田(ユアン・シャオティエン)
   黄一龍(ウォン・イーロン)
   高雄(エディ・コー)


解説

「酔拳」の大ヒット後に作られたレオン・カーヤン主演のカンフー映画。悪人を捕らえようとする青年、そして協力する少年と偶然知り合った老人の3人が仲間となって奮闘する姿を描く。「蛇拳」「酔拳」のユアン・シャオティエンがスッポンという名の師匠を演じている。この作品が創業作となる香港東亞影業が製作し、当時香港の午夜場では「笑拳」を抜く動員数を記録した。主演のレオン・カーヤンはこの作品で一躍有名になり、人気が急上昇。80年代には「スリーピングモンキー睡拳」のタイトルでTV放映され日本でもその存在を知らしめた。少年役のウォン・イーロンはこの『睡拳怪招』を皮切りに同じプロダクションで『癲螳螂』『臭小子』『三毛流浪記』と立て続けに主演している。監督のイップ・ウィンチョはショウブラ時代からロー・ウェイ監督の右腕として歩んできたが、この時期は東亞影業で数本を撮っているようである。

ストーリー
孤児の小鬼頭(黄一龍)は、町で肉饅頭を盗んだり、一輪車に乗って逃げ回ったりとやりたい放題。食堂の主人・大豚子(孫嵐)はならず者の魏奇(水怪)と相棒(小虎)が店に現れて困った様子。病気に罹って宿に隠れていた隠密役人・金大八(梁家仁)を探しにやってきていたのだ。大八は悪徳商人・曹霸天(高雄)の悪事の証拠を既に掴んでいた。小鬼頭は大八を助け、小鬼頭の隠れ家に案内する。その後、追っ手に見つかるが、隙をついて倒して逃げた。大八たちは借金で男に追いかけられていた小翠(歐陽玲瓏)という娘を助け隣の町まで送る。その後、曹霸天の手下、王剛(荊國忠)が二人を追っかけてきた。これ以上は危険と感じた大八は小鬼頭に去るように言って追い払おうとした瞬間、小鬼頭の頭突きが傷口に当たり、大八はそのまま気絶してしまう。古寺で大八が目を覚ますと曹霸天が現れ二人を襲って来た。が、陰で寝ていた老人・スッポン(袁小田)に助けられる。助けてもらった二人は礼を言うとこれも何かの縁と老人に同行することに。老人は秘法・睡拳の達人だった。大八は傷を療養しながら老人から指導を受けることにしたが、小鬼頭は弟子になるつもりはなく一向に応じない。その頃、曹霸天は大物・石清(翁小虎)と結託。小鬼頭が店に酒を買いに出かけると小翠がいた。小翠は敵に見つかり未熟な腕前の小鬼頭はスッポンに助けられる。観念した小鬼頭は弟子入りし、老人の厳しい特訓がはじまった。修行で免許皆伝となって、睡拳・螳螂拳・猿拳・オカマ拳を会得した大八はついに曹霸天たちを倒すのだった。


久し振りに見てみました「スリーピングモンキー睡拳」。(今回は日本語、英語、北京語、ドイツ語と4種類のバージョンを見てちょっぴり研究してみました。)私はなぜかレオン・カーヤンがとても気に入っていました。

彼を研究してみた結果ですが、この作品で主演することになり、のちの『癲螳螂』や『廣東鐵橋三』などにつながる彼の新しいスタイルがこの作品で完成したのではないかと思いました。
彼の主演作は少ないですが、国内で出たビデオと言えば「秘法・睡拳」と「激突!キングオブカンフー」の2本くらいですね。(『贊先生與找錢華』の国内未発売が惜しい。あとウォン・チェンリーも出てた「奇門遁甲・吸血拳」なんてのもあったか・・。)私は前者の2本がとても好きなんですよね。
ご存知の通り”睡拳”というユニークな拳法をこの映画では採用しています。この睡拳と同じアイデアのカンフー・アクションには例えば『豪侠』(79)においてヤラレ役のチン・ユーサンが演じたアクションに少し見られましたが、梁家仁(レオン・カーヤン)の”睡拳”が本格的な映画的拳法になるんでしょうね。この睡拳のアイデアはやはり酔拳を真似て作り出されたものでしょう。(酔八仙のように秘伝書をめくるシーンなんかも出てきますね)
”睡拳怪招”って原題は笑拳の”笑拳怪招”にそっくりなんですが、睡拳というアイデアを軸にいろいろな拳法をミックスして出来上がっています。とは言っても所詮はただの睡魔の拳法です(笑)。カーヤンの出番以外は付加されたものであまりシナリオも練りこまれているとは言えませんが、(うーん。ただし子役・黄一龍の良さはとても良く出ていました。『三毛流浪記』などでも頑張っていましたね。その後どうしちゃったのか??あと、エディ・コーも出ずっぱりでした。)確かにこの彼の新しいタイプはジャッキーの真似かも知れません。しかし、笑拳にも負けないくらいのカッコ良さを持っていたのではないかと思いますね。「ドランクモンキー酔拳」でモンキーパンチの描いたイラストのイメージは、カーヤンが演じた睡拳の姿にも通じるものがあって、イメージもかなり近いところに迫っているのではないかと。多少ダーティーっぽさのあるワイルド感があのイメージに似ているんですよね。(なんとも表現しづらいのですが、この感じお分かりでしょうか?)スリーピングモンキーということでジャッキーにはなかったヒゲとかの毛深さがより猿(=モンキー)っぽかったんですね(笑)。他の役者が演じていたら・・・、ちょっと考えられないですね。とにかくカーヤンの見せた睡拳が巧くて素晴らしかったと思います。
このあとは映像などの覚書。オリジナル北京語版のビデオは81分と短いバージョンであり、国内ビデオの方が長くて(こちらがいわゆる全長版)、食堂での乱闘シーンなどが大幅にカットされています。中文クレジットですが国内ビデオとは違い、タイトルの出方なんかも凝っていて良いですね。(国内の方が新しいものです)独EUROVIDEO盤はワイドスクリーンでとても見やすかったです。この作品はワイドでなくてもそんなに気になりませんが。
オープニングの曲は"Fight at Diablo Pass"(from Duel at Diablo 1966 By Neal Hefti.)という曲で西部劇らしい勇壮な音楽でインパクトのある曲です。(「龍の忍者」などにも使用されています)この映画に関しては効果絶大でありました。要するにカーヤンの見せる動きにピッタリと合っていますね。
そして、この映画は酔拳の爺さん・サイモン・ユエンが出演した作品の1本になりますが、高齢かつ多忙だったためかあまり動きがなくラストではなんと座ったままの出演でした。(この「睡拳」では吹き替えじゃなくてちゃんと本人がやってる部分もまだ動けている方だとは思いますけど。)この爺さんが出ているだけで映画のヒットに繋がるんですからねぇ。70年代後半のサイモン・ユエン作品も最近は大分視聴が可能になって来ました。唯一未見だった『老頭拳頭大饅頭』(79)も先日やっとの事で見れました。(内容的には??ですけどね(苦笑))またいろいろチェックしてみたいと思います。

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