電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

奇門怪招爛頭蟀

2020-08-24 00:15:00 | 邵氏電影

こんにちは。久々の更新です。

今回は邵氏作品から。ちょっと記事の題名読みづらいですが、キモンカイショウラントウシュツでいいと思います。

ちなみに、蟀=コオロギらしいです。当初のタイトルは『爛頭蟀』だけだったそうですが、物足りなさ等から改名されましたね。

『奇門怪招爛頭蟀』(78)

劇場公開が79年3月、製作時期は78年秋頃ということで、内容的にはこの頃に大流行した功夫喜劇片です。またこの映画、長年表に出ることの無かった幻の映画と言えるでしょう。

こちらで以前、9年ほど前に書きましたように当時は見ることは不可でした。邵氏の255本あった未確認作品の1本だったのです。監督は御存知、桂治洪。彼の作品は変わりダネも多くて埋もれてしまって見ることが出来ないものが多いですね。78年のコメディー作品『扮猪食老虎』もその1つ。これも修復され、またいつか現れるのを願ってます。

主人公は、ポスターにあるように、数々の忍術と武功を使うスーパーマン(?)という設定です。結構ハチャメチャですけど。演じるのは韓国材、材仔です。材仔はこの映画が作られた頃(78年)主役が多くなって人気も出てきたみたいですね。要するに今回もいつものドタバタコメディーです。

この映画では面白いことに、当時、作られたカンフー映画の題名(原題)がそのまま敵役の役名となっています。ちょっと皮肉なアイデアですね。あとで、ビックリするようなタイトルやスターが出てきます。邵氏の監督であった桂治洪は、思いっきり流行っていた映画を真似て、そのまま使い、もといパクり、それを楽しんでいるかのように、自分の映画に散りばめて観客を楽しませてくれた・・という感じでしょうか。

南拳北腿&金狐

まず最初に登場するのは"南拳北腿”。扮するのは大細眼。カンフー映画常連の彼ですが、珍しく邵氏に抜擢されてますが、その彼の功夫片をあの桂治洪が撮るというのは本当に信じられない話だと思います。

冒頭、黒店の茶屋にやってきた主人公。美人の店員が最初に出てきて、コワーイ人があとから出てくるというパターン。

お茶を飲むシーンにしても本当にうまい演技

次に出てくるのが、白扇子を持った"蛇形刁手"。後半で蛇拳を見せてくれてます。

オカマっぽい黄樹棠

ヒロイン阿珠(尤翠玲)の許婚だと思っていた主人公。

実はこの映画の設定としては、三世代前の曾祖父の時代に道士だったり、医者だった祖父。そして道場を営んでいた主人公の父親が道場破りに倒されるという先祖たちの前置きがまずありました。何コレ(?)

名前にそれぞれ爛という姓がついています。そう言えば邵氏には『爛頭何』(少林皇帝拳)もあったっけ。

次に広東十虎・蘇乞兒の門派で黄飛鴻が兄弟子だという師匠に弟子入りすることに。

インチキカンフー道場の師匠を演じるのは、王清河。ここでお約束の特訓シーン(パート1)をやってのけます。

それっぽい作りのセット

橋の上で待っているのは白髪の江島。うれしくなっちゃいますね。彼の名は"龍形摩橋"。呉思遠の『龍形摩橋』がいつの作品だったのか定かではありませんが、ここではその名前が付いてました。

 江島とのツーショット、最高!!!

簡単にやられてしまった主人公が向かったのは、どこかで聞いたことがあるような少林寺三十七房。修行というかほとんどシゴキみたいなシーンが見られますが、ここではカットしておきます。

邵氏だけに本物っぽいところにありえない役者が。

ここもインチキで、途方に暮れる主人公。町では、ヒゲの猛者(李海生)が何かを群衆に見せています。金を払い、ここで弟子入りする。とんでもない荒修行ののち、鉄布衫功のような術を身につけた(と錯覚させられた)主人公は、その場を去ります。

 いつしかヒゲを付けさせられるようになった李海生

調子に乗った主人公が町ではしゃいでいると、そこへ太いキセルを持った男が現れます。

 ジャーン

この人の登場で一気に格、もといテンションが上がる。

ここのシーンで濃い顔になった唐炎燦が現れ、名前を名乗り鷹爪鐵布衫だという。これも監督が呉思遠だったから標的はあの人ばかりだね。

 もみあげも大変濃い

またしても痛めつけられ騙されてしまった主人公は古びた寺院へ。そこにいるのは羅烈!。ケガ人を助け、厳しいながらも愛情を持ってキズの処置をする非情に頼もしい場面。強制的に弟子にさせられる。

 カッコいいね~。

ここで、本格的な修行を初めて体験する主人公。特訓シーン(パート2)が開始され、師匠はタバコをふかしてます。

水汲みならぬレンガ運びなどをやってくれます。

 これは酔拳のアレね!

そして、特訓を終え、師匠のキセルを持って、敵(南拳北腿、蛇形刁手、龍形摩橋、鷹爪鐵布衫)の男たちに今迄の借りを返しに出かける主人公であった・・・。映画の収支に勝利したのかどうかは判りませんが(笑)。

その他、野菜売り娘のベティ・ウェイ、そこへからむゴロツキ劉家勇(ノンクレジット)もチラりと顔を見せているのも一興でありました。終わってみれば、殺陣を付けたのはあの棒のオッサンこと、徐蝦がその1人として記録されていました。

とにかく桂治洪がこのタイミングで作ると、こうなったんですね。監督は異なりますが、同じ邵氏つながりで劉家勇の『痳瘋怪拳』(79)とかそんな映画を彷彿とさせる功夫片でした。

 

 (おまけ)ミツバチさん

 

コメント (6)
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