宮部みゆき作「おまえさん」の上と下を読みました。
同じ作者の「ぼんくら」「日暮らし」の中の主人公、本所深川の同心、筒井平四郎と甥の美少年弓之助が活躍します。二人を囲んで、煮物屋のお徳さん、政五郎親分、なんでも覚えてしまう、「おでこ」とよばれる三太郎に加えて、今回は、新しいキャラクターが3人登場します。
新米の同心、間島信之輔と大伯父の本宮源右衛門、さらに弓之助の三番目の兄の淳三郎です。
新米の間島はまじめ一方で女心がわかりません。
それに対して淳三郎の方は女ごころをよく知っていて、ここぞという時に活躍します。商人だけれど剣術を学んでいて腕も経つ男です。
間島の大伯父源右衛門は八丁堀の変わり者で、「ご隠居」と呼ばれ、一家の居候で親戚中をたらいまわしされている老人です。
この老人は学問もあり、剣術もたつのですが、いつも居眠りしています。
源右衛門はお徳さんのお店の2階で寺子屋を開いて弓之助たちを教えることになります。
弓之助が謎解きをしますが、いろんな手掛かりを与えてくれるのはこのような人々です。
富くじにあたったために、神様として祭り上げられてそのあげく身をもち崩してしまう仙太郎という男がいます。
失恋して川に身投げをしようとして助けられた女中が「これからどうしたらいいか」と悩んでいると、源右衛門は「本を読んで勉強しなさい。」と言います。
おもしろいのは仙太郎の罪を少し軽くしてやろうという工作の一つとして、平四郎が上役にわいろを贈りますが、そのわいろと言うのはお徳さんが腕によりをかけて作ったごちそうを詰めた重箱なのです。
小説の中で食べ物をおいしそうに書いている箇所を読むのが好きです。
宮部みゆきさんのこの「ぼんくら」シリーズと畠中恵さんの「しゃばけ」シリーズ、
上橋菜穂子さんの「守人」シリーズに料理の上手な男性がでてきます。
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