◆地震のニュースにおどろき、廊下にあった書棚を移動した。 書棚につまっている書物を、床におろし、ほこりをはらい、両腕でかかえて移動させるという作業は、心が騒ぐ。 ふるえる。狂乱する。 ◆廊下には、部屋からはみだした書棚が3つ並らんでいる。 これが、地震で倒れると、WCに入っていた場合、ドアが開かなくなる。 同じように洗面所もフロも開かなくなる。 これらの窓からの脱出は、どれも奇妙な窓の構造のため、むつかしい。 閉じこめられると、救助を待つ以外にない。 ◆これは困るということで、3つの書棚のうち、1つは居間に移動。 2つ目の文庫本専用の薄くて背が高いタイプは真ん中で切断し、上の部分を居間に、下の部分を玄関フロアーに移動。 最後の1つはどうしても置き場がないので、現在、段ボール箱に詰めこんでいる。 ◆その日、最高に心がふるえたのは『現代英米倫理学』(Ⅰ巻~Ⅴ巻)だった。 買ったのは20歳の頃。 30年ぶりに堅い表紙をひらくと、プーンと遠い昔の匂いがした。 当時のわたしは倫理学に熱中していた。 規範倫理学、応用倫理学、メタ倫理学、このうちメタ倫理学がわたしにとって未知の分野だった。 そのメタ倫理学の論文集が『現代英米倫理学』である。 小脇にかかえ、踊るように下宿に帰った。 ◆ウィルフリッド・セラーズの編者序言。 「わたしたちは、どの論文をえらぶかについてまじめに長いあいだ思案した。多くの場合、わたしたちの考えをきめることがきわめて困難であった」。ほほうぅぅぅ! 「熟慮の場合には、最終の欲望……行為の直前の欲望……が、われわれの意志とよぶものになる。」ほほうぅぅぅ! ◆自分の精神状況から数センチへだてられた、翻訳調の言いまわしに「ほほうぅぅぅ!」「ほほうぅぅぅ!」と感嘆している青年は、このあと、自分がだれと出会い、だれと別れることになるのか? どこに住み、どんな仕事をすることになるのか? 要するに現在、わたしが履歴書に書いているようなことは一切、知らない。 ◆廊下で、その日、『現代英米倫理学』をかかえ、立ちあがったとき、わたしの身体が宙に浮いた。 稲妻に打たれたように森、山、家々、出会った人々……、自分の生涯の光景が一瞬照らしだされて見えた。 この光景は、わたしにとってはノンフィクションだが、青年にとってはフィクションだ。「嘘だろう?」という青年の声が聞こえた。 ◆写真はJR八戸線沿線・陸奥湊駅付近 ![]() にほんブログ村 ★わたしの公式ホームページにも、ぜひ、来てください。公式ホームページには、トータルの、全身の、わたしが存在します。待ってまっせぇ~ィ !!!!!!!!!! ☆公式ホームページへ ★わたしのWEB無人駅線のページにも、ぜひ、来てください。あっというまに、魂が無人駅線の世界に、全身、移動できます。待ってまっせぇ~ィ !!!!!!!!!! ☆WEB無人駅線ページへ |
最新の画像[もっと見る]
-
★紙垂が美しい!! 6ヶ月前
-
★紙垂が美しい!! 6ヶ月前
-
★紙垂が美しい!! 6ヶ月前
-
★紙垂が美しい!! 6ヶ月前
-
★紙垂が美しい!! 6ヶ月前
-
★紙垂が美しい!! 6ヶ月前
-
★書架が乱れているなぁ~(ノ_・。) 2年前
-
★オーバーヒート、停止をくりかえしよくがんばった!僕にはもうシュレッダーで粉砕するものもなくなったよ 6年前
-
★オーバーヒート、停止をくりかえしよくがんばった!僕にはもうシュレッダーで粉砕するものもなくなったよ 6年前
-
★書架中段にあった『素顔』(三浦哲郎)が目に止まった。「酒場まで」を読む。「うまい」と思った! 6年前
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます