千の天使がバスケットボールする

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樫本大進さんがベルリン・フィルのコンサートマスターに

2009-06-19 12:00:34 | Classic
ベルリン・フィルハーモニー:コンサートマスターに樫本さん就任へ
-2代続け日本人


「ドイツの音楽関係者によると、世界の最高峰のオーケストラ、ドイツのベルリン・フィルハーモニーのコンサートマスターにドイツ在住のバイオリニスト、樫本大進さん(30)の就任が内定した。ベルリン・フィルの日本人コンサートマスターは3月で退任した安永徹さんに次ぎ2人目。ベルリン・フィルでは安永さんの後任を募集、世界第一線のソリスト数人が最終候補に残り、審査を受けていた。樫本さんは9月から今後約1年、試用期間として同フィルでコンサートマスターを務め、団員の3分の2以上の賛成を得てから完全な契約を結ぶことになる。樫本さんはロンドン生まれ。3歳からバイオリンを始め、ドイツ・リューベック音楽院でザハール・ブロン氏に師事。ケルン国際バイオリン・コンクール、ロン=ティボー国際音楽コンクールなどで優勝。(09年6月19日毎日新聞)

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おろろいた!(←「驚いた」とは微妙にニュアンスが違うので)
樫本大進さんの実力を考えれば世界最高峰のベルリン・フィルのコンサートマスターに内定するのも驚きに価しない。東洋人への差別もなく、日本人音楽界のめざましい活躍ぶりと実績を考えれば、安永徹さん就任時の”事件性”はもはやない。どうして驚いたかというと、樫本さんと言えば、ザハール・ブロン門下生の3兄弟の三男坊。長男のワジーム・レーピンや次男のマキシム・ヴェンゲーロフと同じように、ソリストととしての王道を行くのだ思っていた。それが、ベルリン・フィルとはいえオケのコンマスに!?樫本さんが、ベルリン・フィルをバックにソリストとしてコンチェルトを弾く姿を想像していたが、今後はコンマスの席に座る。ビクトリア・ムローヴァが金髪、革の服で登場して以来の私にとっては驚きであり、だから私にとっては”事件”なのだ。

送られてきた高校の同窓会報の最新号の表紙に、母校出身の樫本さんとほぼ同世代のある男性ヴァイオリニストの写真とインタビューが掲載されている。
偶然、彼が学生の時受賞した時の音楽コンクールの予選を聴いていたのだが、その後、彼は藝大から米国や欧州に留学して、今は地方オケのコンサート・マスターに就任している。
彼によるとコンマスのお仕事は「指揮者とオーケストラを繋ぐ中間管理職の要素があるが、ソロやカルテットではできないスケールの音楽ができる」そうだ。大学在学中は、コンマスというのは頭になかったが留学して勉強をしているうちにコンマスもやりつつ、オケから声をかけていただき就任したとのこと。
コンマスのメリットとして次の三点がある。

①経済的な安定・・・ソリストになれれば高額な報酬を受け取り、世界中を飛び回り自由に好きな音楽だけ演奏できるというイメージだったが、不況になればなかなかそうもいかないのかも。

②出会いが増える・・・いろいろな人と知り合ったり、いろいろな人の演奏を間近で聴け、指揮者のいろいろな音楽を感じられる

③コンマスをしていると他からのオファーもはいる

彼にとっては結果、プラスになることが多いということだ。現在、彼は半分をオケの仕事で地方で過ごし、半分は東京でカルテットやデュオの活動に加え、リサイタルや初のソロアルバムもリリースと今後の活躍が期待される。
それでは、樫本大進さんにとってもコンマス就任のメリットは。
毎年のように世界的なコンクールの覇者が現われ、競争が激しく百花繚乱状態のヴァイオリニストたちの中で、ベルリン・フィルのコンマスということで世界的にも知名度は一気にあがった。音楽界だけではなく、これで国内では幅広く経済産業界にも彼の名前は認知されるだろう。華やかなソリストととしてのイメージはなくなるかもしれないが、経済的な安定のもと地道にソリストととして音楽の本質を追求した活動ができる。唯一心配なのは、時間の制約がでることではないだろうか。地方オケのコンマスのオファーを承諾した某氏のポイントは、コンマスが3人いて時間の拘束が少ないことだった。なんとなく、最近の若者は車を買わないという動向を思い出した。
ザハール・ブロン氏に育てられ、ドイツ音楽の真髄を理解するためにドイツ人に学びたいとフライブルク音楽大学に移り、ベルリン・フィルのコンサートマスターを務めていたライナー・クスマウルに師事して研鑚してきた樫本大進さん。ベルリン・フィルの第一コンサートマスターになるのは、自然の流れだったのかもしれない。そして、バルリン・フィルにとってもメリットがあるはず。いずれにしろ、これからは樫本大進さんのもう一つの顔を私たちは楽しめることになるのだ。
*チケットを買えない方に朗報、ネットで見ることができるそうだ。
詳細は、JIROさんのブログでご確認を。(JIROさん、リンクの件、ありがとうございました。)

■先輩の軌跡
「コンサートマスターは語る」安永徹著
ベルリン・フィルを退団する安永徹さん
映画『ベルリン・フィル 最高のハーモニーを求めて』


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5 コメント

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赤穂で音楽祭 (calaf)
2009-06-22 20:44:37
こんばんは。地元の新聞からですが、樫本大進さんが赤穂市で赤穂音楽祭の中心人物となっておられます。今年聴きにいこうかなと思っていたのですが、ベルリンフィルに行ってしまっては今年はどうなるのでしょうか?コンサートマスターは数人(3人?)おりますので、何とかなるのではないかと思っております。

http://www.city.ako.hyogo.jp/IMFA/playback2007/index.html

上記が赤穂音楽祭関連のサイトです。
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calafさまへ (樹衣子*店主)
2009-06-22 22:01:18
そんな音楽祭があって樫本さんが中心人物になっていたのですね。

>何とかなるのではないかと

これは是非、何とかしていただきたいですね。何しろ樫本さんは未来の大器ですしね。
そう言えば、全然別件ですが、秋か来年の冬あたりに京都・倉敷方面に旅行しようかと計画しております。あくまでも予定ですが・・・。
決まりましたら、ご連絡しますね!
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別件了解! (calaf)
2009-06-22 23:19:11
有朋自遠方来、不亦楽乎

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素晴らしいニュースですね (romani)
2009-06-23 08:15:10
ビッグニュースでしたね。
清水直子さんがソロヴィオラ、そしてその対面に樫本さんというステージを想像するだけで、わくわくします。
彼のヴァイオリンは、昔から一種独特の雰囲気というか、どこか男の色気のようなものが感じれらて、日本人には珍しいタイプだと感じていました。
コンマスといえども個性が求められるベルリンフィルには、うってつけかもしれません。
試用期間中にラトルや団員のハートをがっちり掴んで、正式就任してほしいですね。
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めでたいニュースです (樹衣子)
2009-06-23 22:31:15
>romaniさまへ

本当に素晴らしいニュース・・・だと今は楽しみにしています。
しかし、当初この報道に接した時は、たとえ天下のベルリン・フィルとはいえとまどいも感じました。
樫本さんが、コンマスに就任するとは。誤解を招きやすいたとえですが、ソリストは元祖フリーターか起業家、コンマスやオケの団員はサラリーマン。
けれども、今では彼の決断と採用したベルリン・フィルに感謝の気持ちです。

>清水直子さんがソロヴィオラ、そしてその対面に樫本さんというステージを想像するだけで、わくわくします

今後のベルリン・フィルの音の変化だけでなく、おふたりの多方面の活躍を期待しています。
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