今年で創立125年を迎えるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は、やはりウィーン・フィルとともに燦然と輝く特別な存在。
そんな別格オケで、コンサートマスターというこれまた別格の重責を25年間担ってきた首席コンサートマスターが安永徹さん。その安永さんが来年の3月をもって、定年の任期を8年残してベルリン・フィルを退団することになった。
安永徹さんは、1951年生まれ。
13歳の時から江藤俊哉氏に師事して、1971年の第40回日本音楽コンクールで第1位を受賞。75年にベルリン芸術大学に留学して、ミシェル・シュヴァルベ氏のもとでさらに研鑚を積む。77年にベルリン・フィルに入団、、、した時もおそらくニュースになったのではないかと推察するが、83年のコンサートマスター就任時は、もはや日本ではちょっとした”事件”だったそうだ。ベルリン・フィルの構成員は現在でもドイツ人が高く、その頃は東洋人への人種差別や偏見も無きにしも非ずだったのではないかと思われ、今でこそ国際的なコンクールで日本人の受賞者の名前を見ないことがないくらい日本人の実力が知れ渡っているが、世界のベルリン・フィルの顔に日本人が就任したことを”快挙”と受けとめられたのではないだろうか。
「私が偉いのではなく、私を選んでくれた同僚に感謝したい」というのは、今朝の新聞によせられた安永氏のコメントである。
音楽は実力主義、音楽的に信頼できるコンマスが必要だったのであり、そこに人種は関係ないと考えれば、氏の謙虚な人柄もあるがやはりそれだけの音楽性をもっていることになる。しかし、「優しさと怖さをもった特別な存在」だった”あの”帝王カラヤンに従がえたことは、私は文句なく「偉い!」と言いたくなる。
「指揮者を尊敬し、肯定的に受け入れば、オーケストラは正しい方向に向かう」
それもベルリン・フィルだから言えるのではないろうか。
現在、安永さんは57歳。
25歳を超えると技術的なテクニックを身につけるのは難しいとおっしゃっていたが、演奏家としては円熟の期を向かえる。また、教育者としての期待も高まる。九州ご出身だが、今後の生活拠点は北海道・旭川近郊。何故、こんな遠くのしかも極寒の地に?
以前、安永徹さんの対談集「音楽って何だろう」の著書を読んだ時の記憶では、一度車両荒らしによって盗まれたことのあるモンタニアーナを使用されていたが、現在は、日本音楽財団より貸与された1702年製ストラディヴァリウスの「Lord Newlands」を使用されている。
自分の演奏に一度も満足したことがないと謙虚におっしゃる安永氏が、名器と伴に日本でのソロ活動や室内楽が増えて、ベルリン・フィルで培われた素晴らしい演奏を聴けることが楽しみである。
■アーカイブ
・「コンサートマスターは語る 安永徹」
・『カラヤンの美』
そんな別格オケで、コンサートマスターというこれまた別格の重責を25年間担ってきた首席コンサートマスターが安永徹さん。その安永さんが来年の3月をもって、定年の任期を8年残してベルリン・フィルを退団することになった。
安永徹さんは、1951年生まれ。
13歳の時から江藤俊哉氏に師事して、1971年の第40回日本音楽コンクールで第1位を受賞。75年にベルリン芸術大学に留学して、ミシェル・シュヴァルベ氏のもとでさらに研鑚を積む。77年にベルリン・フィルに入団、、、した時もおそらくニュースになったのではないかと推察するが、83年のコンサートマスター就任時は、もはや日本ではちょっとした”事件”だったそうだ。ベルリン・フィルの構成員は現在でもドイツ人が高く、その頃は東洋人への人種差別や偏見も無きにしも非ずだったのではないかと思われ、今でこそ国際的なコンクールで日本人の受賞者の名前を見ないことがないくらい日本人の実力が知れ渡っているが、世界のベルリン・フィルの顔に日本人が就任したことを”快挙”と受けとめられたのではないだろうか。
「私が偉いのではなく、私を選んでくれた同僚に感謝したい」というのは、今朝の新聞によせられた安永氏のコメントである。
音楽は実力主義、音楽的に信頼できるコンマスが必要だったのであり、そこに人種は関係ないと考えれば、氏の謙虚な人柄もあるがやはりそれだけの音楽性をもっていることになる。しかし、「優しさと怖さをもった特別な存在」だった”あの”帝王カラヤンに従がえたことは、私は文句なく「偉い!」と言いたくなる。
「指揮者を尊敬し、肯定的に受け入れば、オーケストラは正しい方向に向かう」
それもベルリン・フィルだから言えるのではないろうか。
現在、安永さんは57歳。
25歳を超えると技術的なテクニックを身につけるのは難しいとおっしゃっていたが、演奏家としては円熟の期を向かえる。また、教育者としての期待も高まる。九州ご出身だが、今後の生活拠点は北海道・旭川近郊。何故、こんな遠くのしかも極寒の地に?
以前、安永徹さんの対談集「音楽って何だろう」の著書を読んだ時の記憶では、一度車両荒らしによって盗まれたことのあるモンタニアーナを使用されていたが、現在は、日本音楽財団より貸与された1702年製ストラディヴァリウスの「Lord Newlands」を使用されている。
自分の演奏に一度も満足したことがないと謙虚におっしゃる安永氏が、名器と伴に日本でのソロ活動や室内楽が増えて、ベルリン・フィルで培われた素晴らしい演奏を聴けることが楽しみである。
■アーカイブ
・「コンサートマスターは語る 安永徹」
・『カラヤンの美』
>近い将来、本のような形で書いていただければと思います
本当にそうですね。
私の勝手な想像ですが、安永さんは意外と?気難しいかたのようにお見受けしておりますが、もし出版されたら私も必ず読むと思います。
ベルリン・フィルで長くご活躍された安永さんは、単にアジア人というだけでなく、音楽家としての地位を築かれるまで様々な困難があったかと想像しております。次世代の方に、きっと勇気を与えるような物語をもっている方。誰か執筆を依頼して欲しいですね!
>安永さんはじめ、小沢征爾さん・・・
本当にキラ星の如く素晴らしい音楽家が並んでますね。日本人音楽家の躍進はめざましいばかりですが、
おっしゃるように先人の軌跡の轍があってこその今の華やかな日本人、アジア人の活躍という面もありますよね。
>国民栄誉賞とか授与しないのでしょうか?
クラシック音楽は幅広い大衆向けではないので、美空ひばりさんのような国民栄誉賞は向かないかもしれませんが、
そうですね・・・小澤さんあたりは可能性があるかも?
いずれにせよ、音楽は国内の賞ではなく高い評価を歴史が刻むことになると期待しています。
安永さんは退団後は、北海道に住んでらっしゃるようなので、私も機会があったらリサイタルに行きたいと思っています。