ミーハーのクラシック音楽鑑賞

ライブ感を交えながら独断と偏見で綴るブログ

N響はソヒエフと密接な関係を

2013-11-23 01:16:00 | N響
一昨々日(20日)サントリーホールで開かれたNHK交響楽団第1768回定期公演を聴きに行ってきた。指揮はトゥガン・ソヒエフ。ヴァイオリンは諏訪内晶子

【演目】
リャードフ/「魔の湖」
ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン協奏曲第2番嬰ハ短調
  ~休 憩~
チャイコフスキー/交響曲第5番ホ短調
《19時00分開演、21時00分終演》

1曲目。なんか煙ったいというか妙に気怠い曲なのだが、かといって重いといった感じはなかった。トゥガン・ソヒエフのお得意曲らしいが、決して面白い曲とは思えない。

2曲目。ヴァイオリン協奏曲のなかでも難曲中の難曲と言われる曲なので、諏訪内晶子も暗譜ではなく、珍しく譜面を用意しての演奏。この日の彼女の服は鮮やかなワインカラーのドレス。本当に彼女はどんな服を着ても惚れ惚れしてしまう。さて、演奏だがいつもの諏訪内ほどダイナミックではないにしろ、難曲をさりげなく事も無げに弾いていく。ショスタコ特有の奇怪なアクセントもしっかりと取り入れながらも、明瞭かつ爽快な音を繰り出していく。いつもは唸るストラディヴァリウス「ドルフィン」もこの日は、幾分控えめであったが、その艶と響きは十二分に観客を魅了していた。

3曲目。トゥガン・ソヒエフをトゥールズ・キャピタル管弦楽団で初めて聴いたとき、この人は将来のロシア音楽界(指揮者)を担う人になるだろうと思ったが、今回のN響定期2回の登場でそれは確信へと変わった。

前回の公演でも思ったが、彼はとにかく奏者たちを乗せるのが巧い。話はいきなり飛ぶが、芝居の世界では舞台の幕が開くまでは役者を導くのは演出家の仕事だが、一旦幕が開いたら舞台監督が役者を導いていく。その意味においては、現在のソヒエフは前者というより後者の方であり、若くして「巨匠」というより「職人」的な指揮者である。つまり、彼の指揮は自分の音楽を主張するというより、奏者たちの音楽をいかに引き出すのかということに重点を置いているような気がする。というより、今はN響というオケをいかに把握模索していると言っていいのかもしれない。となると、彼のように奏者の良い所悪い所を見極める力があれば、N響の潜在能力をもっと引き出してくれるに違いない。それゆえに、前回も書いたがN響は2~3年に1回は彼を定期演奏会に登場させて、密接な関係を築いていくべきである。


最新の画像もっと見る