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長引く可能性がある中国経済の減速の影響を、軽視するのは危険だ。

2015年10月03日 15時24分00秒 | 日記
 アメリカの雇用統計の数値も、事前の予測値より大幅に低かったが、心配されたNY株式市場は200ドル程度の上昇で取引を終了した。

 しかし、米国経済も決して順調であるとはいえず、FRBの金利引き上げは再度延長されると言う声が一般的だ。

 一方で中国経済の減少傾向は、そんなに簡単に復帰するようには思えず、田巻 一彦氏は「緩慢なショック」進行と表している。

 中国の各種経済指標のデータが、どうも信用しづらい為か、中国ウオッチャーの観方に、かなりの幅が生じている。

 速報値の中で、中国の物流の実績が推定できる鉄道貨物輸送量は、前年比マイナス15.3%と大きく落ち込んでいる。 この落ち込みはかなりのもので、中国の生産活動が大きく減少している事が推測される。

 中国の輸出や輸入の減速は、間違いなく周辺のASEAN諸国の経済の急減速として影響を与え、翻って日本と中国、ASEANとの取引減少も間違いなく発生するであろう。

 中国の国内需要も、乗用車の販売数量が前年比でもマイナスに落ち込むことは間違いなさそうで、決して国内需要が順調とはいえないであろう。

 規模の大きな中国経済だが、実質成長率は7%と中国政府は述べているが、せいぜい3~5%程度になるのではないかとの見方がもっぱらのようだ。

 この長引く中国経済減速の影響を軽視して、果して大丈夫だろうか?

 日本の経済が穏やかに回復しているという日銀の発表はあるが、中国の影響を無視できないだけに、充分な景気対策を行う必要性があると筆者は観ているのだ。


(ロイターより貼り付け)

コラム:リーマン危機と違う「緩慢なショック」進行か
2015年 10月 2日
田巻 一彦

 [東京 2日 ロイター] - 中国発の世界経済減速は、短期的に反転・回復基調に入るとの楽観論が日本の政策当局や一部のエコノミストから出ている。しかし、反転するとの確かな「証拠」は見当たらない。

 そればかりか日本では、生産の減少に歯止めがかからず、「緩慢なショック」現象が継続するリスクが浮上している。リーマンショックとは違った展開のショックが進行しているリスクに、今こそ最大限の注意を払うべきだ。

<8月の国内生産計画、大幅下振れの裏側>

 市場では、1日発表の日銀短観での業況判断の悪化が小幅で、設備投資計画も強気が維持され「想定より強めの内容」(国内銀関係者)との声が漏れている。日経平均.N225も1万7500円台を回復し、「地固め」という見方さえ一部の市場関係者から出ている。

 だが、私の目からは、そうした楽観的な見方に立っている市場関係者が、日本の鉱工業生産の「変調」に気付かない素振りを見せていることに強い違和感を感じる。

 多くの市場関係者は、8月生産が事前のプラス予想から前月比マイナス0.5%と減少したことに注目。「単月の振れが大きいので一喜一憂しない」(国内市場関係者)との受け止めが多かった。

 だが、その見方は表層的だ。同時に発表された9月予測値は同プラス0.1%、10月が同プラス4.4%だが、経済産業省の試算では、7─9月は前期比1.1%低下と、2期連続の減産となる見通し。

 同省幹部は「8月の生産計画と比べた実積率は4.2%も下振れた。これほどの見込み違いは東日本大震災以来であり、9月は前月比低下が濃厚、10月も4.4%上昇が低下に転じる可能性も否定できない」と述べている。

 なぜ、そうした生産計画の大幅な下振れが起きているのか──。それは世界経済減速の「起点」である中国で、経済下押しの力が依然として継続しているからであり、その結果として周辺の東南アジア諸国の景気が、下方シフトしているからだ。

 この景気下降トレンドは、短期的に終息するというのが、楽観的シナリオを支持する人たちの拠って立つ理由だが、どうも根拠が危なくなっている。

<中国の輸入・鉄道貨物輸送が大幅マイナス>

 財新/マークイットが発表した9月の中国購買者景気指数(PMI)改定値は、製造業PMIが47.2と6年半ぶりの低水準となり、これまで堅調だったサービス業PMIも50.5と改善・悪化の分岐点となる50.0に接近してきた。

 8月の鉄道貨物輸送量は前年比マイナス15.3%と大きく落ち込み、1─8月も前年比マイナス10.9%と国内での物流が停滞していることを示している。鉄道が道路輸送に貨物を奪われているとの指摘もあるが、それだけではなさそうだ。

 と言うのも、8月の中国の輸入が前年比マイナス13.8%と大幅に落ち込み、マイナスも10カ月連続で減少しており、国内経済の停滞をうかがわせているからだ。

 最近、日本企業の幹部の中でひそひそとささやかれていたのが、中国企業の収益がかなり打撃を受けているという話だ。自社の売り上げや利益水準の減少を懸念しているとの声を、直接聞いたという日本企業幹部に共通しているのは「かなり先行きは暗い」という印象だ。

 実際、世界の市場を震撼とさせた9月28日発表の8月工業部門企業利益は、前年比マイナス8.8%と2011年の統計開始以来、最大の落ち込みとなった。

 こうした中国経済の「スランプ」は、周辺国の経済不調へと波及。8月の中国輸入のうち、ASEAN(東南アジア諸国連合)からは前年比マイナス4.1%と前月の同プラス0.2%から急ブレーキがかかり、中国からASEANへの輸出も前月の同プラス1.4%から同マイナス4.6%へ急減。ASEAN経済の急減速ぶりを示した。

 新興国の不振は、世界経済全体の勢いを削ぐ格好となっており、世界貿易機関(WTO)が9月30日に発表した2015年の世界貿易伸び率予想は、4月時点の3.3%から2.8%に下方修正された。

<自動車販売マイナスのなぞ>

 一部のエコノミストは、中国の製造業は確かに減速しているが、個人消費は堅調だとの見方を崩していない。しかし、典型的な耐久消費財である自動車販売が、足元で前年比マイナスになっているのは、どう説明したらよいのだろうか。

 中国汽車工業会によると、8月の国内自動車販売台数は、前年比マイナス3.0%。前月の同マイナス7.7%から落ち込み幅は縮小したが、同工業会幹部は、2015年の中国国内での自動車販売は、前年比マイナスに転落する可能性があると述べている。

 また、強気派が最大の根拠にしている中国の国内総生産(GDP)に対しても、一部では懐疑的な目が向けられている。

 ロイターが9月下旬に実施した多国籍企業の中国事業部幹部13人を対象にしたインタビューでは、9人が実際のGDPは公式統計で示されている7%ペースの成長を下回る3─5%ではないかと実感していると回答した。

 人民元切り下げで輸出を振興し、供給過剰を緩和させる作戦も、8月の世界的な市場混乱で実施が当面、困難になった。その結果、「漢方」的なアプローチでジワジワと血行が良くなる治療法を取るしかないという状況に直面したのではないか。

 経済対策を打っても、対症療法的なアプローチしか残されていないことを、多くの市場関係者はいずれ認識することになると予想する。

 ジェイコブ・ソール氏の著書「帳簿の世界史」によると、かつて太陽の沈まぬ帝国と言われたスペインは、新大陸の銀山や銅山から産出される銀や銅の価値の2倍のコストをかけて、ネーデルランドの独立を抑える戦争をしていたが、正確な収支は当時の国王・フェリペ2世も把握していなかったという。

 正確な経済データの把握が、妥当な経済政策選択の出発点であることは、今日も16世紀のスペインでも同じことだ。中国経済の実態が、正確に把握できたと世界の市場関係者が認識するまで、現在の混乱は継続し、「緩慢なショック」は進行する可能性があると指摘したい。

(貼り付け終わり)