to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

そして父になる

2013-09-29 23:16:30 | the cinema (サ行)

6年間育てた息子は、他人の子でした
製作年度 2013年
上映時間 120分
脚本 監督 是枝裕和
出演 福山雅治/尾野真千子/真木よう子/リリー・フランキー/二宮慶多/横升/田中哲司/風吹ジュン/國村隼/樹木希林/夏八木勲

是枝裕和監督が子どもの取り違えという出来事に遭遇した2組の家族を通して、愛や絆、家族といったテーマを感動的に描くドラマ
申し分のない学歴や仕事、良き家庭を、自分の力で勝ち取ってきた良多(福山雅治)。順風満帆な人生を歩んできたが、ある日、6年間大切に育ててきた息子が病院内で他人の子どもと取り違えられていたことが判明する。血縁か、これまで過ごしてきた時間かという葛藤の中で、それぞれの家族が苦悩し……

息子の慶多が良多の母校を受験するシーンで始まる、彼の勝ち組人生に訪れた大きな試練を描く
いつもの淡々とした是枝風味。
家族の絆がテーマであるだけに観客も幅広い年齢層でした。いつもの友人と鑑賞しましたが、
私達的には特別大きな感動はなかったですが、同じ列の女性は泣いていらしたようです....。

主人公は、どっぷりエリート意識の良多。
そこに不満も寂しさも感じながら、結局従ってきたみどり。

一方の斎木家は、時代に取り残された町の電気屋。貧乏暇ありの雄大は子煩悩。
開けっ広げで勝気な妻がバランスを取っているようにも見える。

病院側と弁護士を交えた両家の初顔合わせから、ぎこちなく一歩を踏み出す4人の親たち。

都会で上品に暮らす良多一家は、何から何まで目が届く一人息子。
対して手のかかる老人といたずら盛りの子供が3人もいて、賑やかでがさつな斎木家は、
東京と群馬を行き来する交流を始めるのだけれど…、
その過程が良多目線で語られる、父になるまで。


この映画では、「血にこだわるのは最低」のような(苦笑)感じも受けるんだけど、
多くの男は、拘っても仕方ないと私は思う。
だって、実感がないんだし、大抵の男は子供が生まれても、翌日から外に仕事に出るし。
大抵「アナタに似てる」という一言で目じりが下がったりしながら、
自分の赤ちゃんの頃の写真を親に見せられて納得したり、
消極的に育児に参加して(笑)、「歯が生えた」「歩いた」「喋った」ということを喜んで父親の実感が湧いてくるのではないかと思う。

生活環境も、そのスタイルも対照的な2家族の、どちらにも共感することなくでしたが、
良多の子供時代の環境(父の再婚で家出。彼もファザコンだった?)を思い出す瞬間、、
彼が撮った数より多い、自分の知らないあの日のショット…
「このままふたりでどこか遠くに行っちゃおうか。。」というみどりの姿には、
やはりグッとくるものがありました。

もし、自分だったらどうするか?!
これは子供の年齢も大きく関係して、父になる時も違ってくるでしょう。
そして―
子供は成長する。
やがて反抗期が来た時に、実の子ではない息子を相手にするその覚悟はあるのか....。
本当に難しい問題だと思う。

しかし―、ネタバレになるので白抜きにしますが、
人の人生を狂わせるこうした犯罪が、5年の時効だなんて許しがたい。

今年お亡くなりになった夏八木勲さんが、福山さんのお父さん役で嬉しかった!
夏八木勲さん、「永遠の0」でまたお目にかかりましょう♪


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2 コメント

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ゆうさん~♪ (kira)
2013-09-30 21:19:34
おお!さすがファンの鑑だわ~
腰痛にめげず、ご覧になってたのね~♪
私はその昔、ギックリをやった時は本当にひどくて、、うち捨てられた流木のように(笑)
ただ横になっていましたが、ゆうさん、エライ!

是枝監督は好きな監督ですが、
本作、極めて個人的な好みからすると、やはり女優陣が超~苦手なおふたり。
お上手なんですが、、今回も、苦手を克服までは至りませんでした。
さらに言うとリリーさんも苦手なんですよ~。
今回も、金銭にセコイけれど、子供にちゃんと愛情を示せるお父さん、上手かったですけど

「誰も知らない」でも「奇跡」でもそうでしたが、是枝監督はこどもを撮るのが素晴らしく巧いです!
「ミッション~?」「なんで!?」
そのあとにくる、ふたりの子供たちの行動にも性格が表れていて、
全てを理解出来ないながら、堪えているのが伝わってきましたねぇ、、、。

福山さん、どのシーンもよかったよっ
ボルタレンの力を借りて。 (ゆう)
2013-09-30 19:24:43
腰痛も何のその。
先行上映で観てきました。
レビュー書くのは少し先になりそうです。

私は是枝作品実は初鑑賞なんです。
海外の映画祭で賞を獲る作品に何となく
苦手意識があって、好きな俳優さんが出てなければ
観ないと思います。

大まかなストーリーは知っていたので、
二組の夫婦が、家族がどういう着地をするのか、
それが一番気になることで…。
『真夏の方程式』もそうでしたが、親子とは血縁
なのか、共に暮らした時間で生まれてくる情とか
絆の強さなのか…。
私は後者であってほしいと、どうか子供たちを
たやすく交換しないでほしいと願いながら
観てました。私自身の生い立ち(軽くカミングアウトします)と重ね合わせると、そうでなきゃ気持ちが
収まらないよ~!と。
映画は曖昧な感じで終わりましたが、おそらく
血ではなく、育ててきた6年間を選択し、
互いの家を行き来する、そんな付き合いが始まる
のかなと。
大人たちのうろたえかたとは裏腹に
渦中の子供たちが抗いようのない重い現実に
取り乱すことなくぐっと耐えてる様が切なかった
です。
福山さんが琉晴と自分の子供時代の写真を見比べてるシーンで使われてる写真は、本当に福山さんの
子供の頃の写真なんですよ。余談ですが(笑)

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